奥飛騨の名峰 笠ケ岳(4名)  2008年9月22日〜24日

9月22日(月) 曇後晴れ 清里(6:30)〜新穂高温泉(9:40)〜わさび平(10:55)〜ししうど原(13:30)〜鏡平小屋(14:25) 
9月23日(火) 晴れ 鏡平小屋(5:40)〜弓折岳(6:45)〜抜戸岳(10:00)〜笠ケ岳(12:00)〜笠ケ岳山荘(13:00)
9月24日(水) 晴れ 笠ケ岳山荘(6:00)〜抜戸岳分岐(7:00)〜杓子平(8:30)〜笠ケ岳登山口(10:50)〜新穂高温泉(12:00)


山行後記
 昨年から4人兄弟の私と弟2名と末弟の嫁さんの4名で年一回山登りを楽しもうと始めた登山の第2回目に選んだのが奥飛騨の名峰笠ケ岳。
私のところに前泊し早朝車で新穂高温泉向けに出発。明け方まで前線の影響でかなり強い雨が降っていたが出発するころは上がり曇り空となる。新穂高温泉の駐車場は北アルプスの飛騨側の登山基地のため満杯の状態でした。しばらくは左俣谷の林道を歩かされる。穂高連峰の飛騨側は砂防工事の爪痕がひどい状態です。国立公園内なのに県単位の行政の弊害が色濃く映し出される悪い例である。ロープウェイは建設するし一年もすれば砂岩で一杯になってしまう砂防ダムを沢という沢に次々と建設し景観上も悪いし税金の無駄使いの最たるものです。私の住む山梨県も岐阜県に劣らずの土建王国なので恥ずかしい思いです。

わさび平小屋で早めの昼食。水を補給し一路小池新道に向け歩く。ししうどが原を越え高度を上げ小さな沢筋に沿い尾根を乗り越えると小さな池が点在する鏡平に到着。池のほとりの木道を可愛い仕草でオコジョが一匹走り回っていた。カメラに収めようとするが小さな姿とすばしっこい動きでシャッターチャンスを逃がしてしまう。小屋に着いた頃は曇り空で穂高連峰は雲の中だったが16時頃に突然ガスが上がり快晴となる。小屋にいた皆がカメラを持って鏡池に走る。西に傾いた太陽が槍や穂高を照らし池の水面に映る絶好の条件が整った。静かな湖面にシャッターの音が響く。


  鏡池から槍ヶ岳

鏡池に佇む私

鏡池に映る穂高連峰

4時に起床。小屋の板張りのテラスの水滴が凍っている。0〜2度まで冷え込んだようだ。西空に傾いたシリウスやオリオンの三ツ星たちと23日の下弦の月が明けの夜空に美しさを競っているかのように輝いている。今日は快晴。
5時朝食。凛とした空気の中を出発。槍ヶ岳、北穂高、奥穂高、ジャンダルムが逆光の陰影で黒く沈んで北壁の険しさを際立たせている。上高地からの穂高連峰とは明らかに違う顔を見せている。良く整備された登山道を心も軽やかに高度を稼ぎ抜戸岳分岐に進む。このコースは裏銀座の名峰に向かう登山者の十字路である双六岳があるため比較的多くの人たちで賑わう。私たちは分岐から左に折れて奥飛騨の名峰笠ケ岳に道を取る。弓折岳、大ノマ岳、秩父平を超えて抜戸岳(2812m)に立つ。稜線のナナカマド、ダケカンバやウラシマツツジなどがこのところの寒さで色付きはじめ空高い秋色に映えて美しい。
ゴロゴロとした岩だらけの坂道を登ると笠ケ岳山荘に到着。カメラを持って山頂に向かう。北アルプスの最も西に位置するこの山頂からは360度の大パノラマが展望できる。目の前に槍ヶ岳、大喰岳、中岳、南岳、大キレットを挟んで北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳。槍から西鎌尾根に続く双六岳、三俣蓮華岳から左に黒部五郎岳、右に鷲羽岳、水晶岳その前に雲の平、その奥に野口五郎岳、赤牛岳、その左に大きな薬師岳、その奥には立山、剣岳。遠くに鹿島槍ケ岳に続く後立連峰。振り返れば白山、乗鞍岳、御岳、中央アルプス、南アルプスがそして富士山が遠くに見渡せる。
素晴らしい大自然の北アルプスを見ていると「世界遺産」に誰も申請しないことが不思議に思う。富士山が申請中とのことですが比べ物にならない偉大さを感じて畏敬の念さえ覚えます。最も私は世界遺産になると山を本当に愛する人々以外の物見遊山の観光客が押し寄せ無秩序な観光開発が行われてしまうのでそっとして置いて欲しいと願っています。



笠ケ岳山頂


杓子平からの笠ケ岳


穂高岳を背に笠ケ岳山頂


昨夜の19時過ぎに私たちが談話室で寛いでいる時に70歳くらいの登山者が小屋に到着し「妻が疲労したので少し下に置いてきて自分が先に小屋まで来た」と救助とも小屋に泊まることを早く伝えるためとも取れる言葉を発した。「妻はヘッドランプがあるので直に上ってくる」「登山口を8時30分に出たので19時ころまでには小屋に到着する予定だった」と平然と言い放ったのである。雨も降り始め気温も下がり始めたので心配になる。30分後に無事に奥さんは到着。ヘッドランプは電気切れで使用不能。「ザックの中でスイッチが入ってしまって電池が切れたようだ」と奥さん。私は家を出る時に点検していなく最初から電池切れだったと思う。「ネットの投稿記事でコースの歩行時間を調べて大丈夫と思った」と奥さん。あいた口がふさがらない。
・小屋の到着予定を19時に設定する。・奥さんを置いて来てしまう。・日頃歩いている自分の予定歩行時間を把握せずネットで調べる。などなど呆れるばかりである。ともあれ無事で何よりでした。

20時頃には雲海状の低い雲が空全体を覆いにわか雨も降り出したので心配していましたが4時30分に起床した時は雲ひとつない快晴の空が広がっていました。5時30分朝食。今日は抜戸岳分岐まで戻り笠新道を一気に下る。杓子平までの稜線でベニバナイチゴやクロマメノキの実を食べながら降りていると雷鳥の若鳥が突然に目の前に現れる。望遠レンズを持っていかなかったので残念。
杓子平で休憩。ここで笠ケ岳の雄大な眺めは見納めとなる。
新穂高温泉から平湯まで戻り「ひらゆの森」の日帰り温泉で3日分の汗を流し島々で大盛りそばを食べて帰路に着く。今回は天候に恵まれ最高の山旅となった。



鏡池で兄弟たちと ベニバナイチゴの実(雷鳥の好物) 笠ケ岳稜線の紅葉

クロマメノキの実(熟すと美味しい)

ミヤマリンドウ

黒部五郎岳(手前)と薬師岳