=ぶ ど う(葡 萄)= Grapes(英) ブドウ科 ブドウ属 “疲労回復効果抜群の果物!ブドウを食べましょう” ブドウは特にビタミンやミネラルが多いわけではありません。品種によって多少の差 はあるもののどれも甘みが強いのが特徴です。この甘みの元になっているブドウ糖や果 糖は、食べるとすぐに無駄なくエネルギーとなってくれます。 普通、炭水化物などの糖質は、唾液に含まれる成分アミラーゼによって二糖類に分け られ、さらに小腸でブドウ糖に分解されてから吸収されます。しかしながらブドウの糖 質は単糖類なので、分解の時間が必要なく摂取後すぐにエネルギーになる為、疲労回復 に適した食べ物といえます。 【歴史】 ブドウの起源は、中央アジアから小アジアに自生していた一つの野生種から生まれた もので、現在世界中で最も多く作られている果物です。特にワイン(ブドウ酒)の原料 としては、その歴史は古く紀元前3,000 年頃のエジプト文明の時代から栽培されていて、 ピラミッドからブドウ酒についての記述が発見されたことからも窺うことができます。 日本でのブドウの栽培は、平安時代末期に現在の甲州ブドウのルーツが発見・栽培さ れたのが始まりとされ、600 年経った江戸(元禄)時代に急速に普及し、明治時代に入 ってから近代的な栽培が行われたようです。 |
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【品種】 ブドウの品種は大別してヨーロッパ系(ビニフェ種)とアメリカ系(ラフルスカ種) さらに、これらを改良して作られた欧米雑種があります。世界中に普及しているワイン 用のブドウはヨーロッパ系で、温暖で乾燥した気候を好み、皮が厚く粒が小さいのでワ インを作るのに適しています。アメリカ系はミシシッピー川の流域など湿潤な地域で栽 培されていますが、ニューヨーク州など寒い地域でもよく育ちます。皮がむきやすく果 汁・生食用としても優れています。日本のブドウは病気や雨・寒さにも強い欧米雑種が 主流です。 日本で栽培されている代表的な品種にはデラウェア・巨峰・ピオーネ・甲斐路・甲州・ キャンベルアーリー・ベリーA・マスカットなどがあります。 ●デラウェア アメリカ東部のデラウェア州で発見された欧米雑種で、巨峰とならび日本で最も多く 生産されているブドウです。本来は種子のある品種ですが、ジベレリン処理され種無し で出荷されます。果粒は小さく濃い紅色で、糖度は高く酸味とのバランスもよく取れ、 しかも上品な芳香もあります。 ●巨峰 静岡県で生まれた欧米交配種ですが、日本国内で最も多く作られているブドウです。 粒と房が大きく、果皮は美しい紫黒色。果皮と果肉の分離は中程度ですが種離れがよく、 多汁で糖度も高く食味が良いことから日本が世界に誇る高級品種の一つと言えます。 ●ピオーネ(種無し) 紫黒色の大房系の中でも最高の品質とボリュームを持っていて、顆粒は巨峰よりやや 大きく日持ちも良く、しかも脱粒性も改良されていることから贈答用としての人気が高 まって来ています。食味は濃厚で肉質が巨峰より締まっていて鮮度維持が容易なので生 産者からの人気も高まっております。 ●甲斐路 果皮の色は鮮紅色で外観優美、花のように美しい品種です。また、果皮が強く脱粒も しないので輸送性・貯蔵性はブドウの中で最も強いものの一つにあげられます。品質は 最高で独特のコクと旨味を持ちマスカットの香りを漂わせ、消費者アンケートでも人気 第1 位を誇る品種となっております。また、果皮と果肉が分離しにくいので、皮をむい て食べるとより美味しく召し上がれます。 ●甲州 このブドウは山梨県が原産地で栽培歴は800 年といわれる歴史的な品種であり、紫紅 色で、顆粒も多く独特の色を出す品種です。品質は風味良く、多汁で果皮は厚く果肉と の離れもよいので食べやすく、酸味は適度で渋味も若干ありますが香りはしません。 また、生食用のみならず日本の白ワインの原料としてもbPの地位を誇ります。 ●マスカット 正式な名前はマスカット・オブ・アレキサンドリアで、アレキサンドリアとも呼ばれ ています。エジプト原産でクレオパトラも食べたと伝えられ世界的にも人気の高い欧州 系品種です。果皮は透明度のある美しい黄緑色で、マスカット特有の強い芳香を持って います。甘みは強く酸味が少ない、コクのある味わいを持った品種です。 |
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【選び方】 果皮にみずみずしい張りがあり傷のないもの、果軸が太く青々しているものが新鮮で す。ブドウは房の先に行くほど酸味が強くなるので、先の方を食べて甘いものであれば 間違いがありません。また、果皮が黒いブドウは表面に白い粉がふいていることがあり ますが、これはブドウの糖分が果皮に出て固まったものなので、甘くて美味しいブドウ という証拠です。 一般的に、黒紫や赤色のブドウは果皮の色が濃いものが、また、黄緑色のブドウは黄 白色になったものが熟しています。大房のものより中房のものが旨味があります。 【食べ方】 食べる時は、一粒丸ごと口に含み、皮と種をだして食べて下さい。先に皮だけ剥いて しまうと、ちょっと上品なようですが栄養と旨味を逃がしてしまいます。 また、選ぶときと同様に、房の先から食べ始めると、最後まで甘みを感じながら食べ ることができます。 【栄養特性】 ブドウは鉄・カルシウム・カリウム・銅・亜鉛などのミネラルがまんべんなく含まれ ていますが、それぞれの含有量はあまり多くありません。しかし、人間の身体が正常に 働くには欠かせない栄養素です。鉄分が不足しますと血液状態が悪くなり、貧血症にな ります。また、亜鉛が不足しますと食物の味がわからなくなる味覚障害を起こしてしま います。 ブドウの甘さのもとはブドウ糖と果糖です。ブドウ糖は人間の血液中に一定量が存在 し、不足するとエネルギー不足になって身体がだるくなったりします。即効性のあるカ ロリー源なので、摂取するとすぐ元気が出てきます。 酸味の主成分はリンゴ酸と酒石酸ですが含有量は少なめです。ペクチンは最大0.4% と比較的多く含まれています。 |
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ブドウの成分表 (可食部100g中)
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●ブドウのポリフェノール効果 ブドウといえば赤ワインで注目されているポリフェノールが豊富です。特にブドウの 皮にはポリフェノールの一種であるアントシアンが多く含まおり、ブルーベリーと同じ ように目に良いと言われています。 ポリフェノール自体は、活性酸素を除去する抗酸化作用が高いので、若返りはもちろ んですが、コレステロールの酸化を抑制してくれるので動脈硬化やガン・心臓病などの 生活習慣病の予防に効果的です。 ★ポリフェノールは実より皮に多く含まれているので効率良く摂りたいと思うのなら、 皮ごと加工したワインやブドウジュースがお薦めです。 ●干しぶどうの効果 ブドウに関係のある食品で赤ワインと干しブドウが栄養価が高いと言われています。 生のブドウには、特に強調できるような栄養素はありませんが、干しブドウにはビタミ ンB1と鉄・カリウム・カルシウムなどのミネラル類や食物繊維がタップリ含まれています。 そのまま食べる以外にもサラダに加えたりフルーツケーキに混ぜたりと色々な食 べ方ができます。 ★生のブドウよりも高カロリーなので肥満を気にする人は食べ過ぎないように注意し ましょう。 【保存方法】 ブドウは室温で保存しても比較的日持ちがするので、夏場でもそんなに慌てて食べな くても2〜3 日は大丈夫です。冷蔵庫へ入れる場合は紙に包んでからポリ袋に入れてお けば、1週間ぐらいは保存することができます。ただし、古くなれば味も栄養価も落ち てきますので、なるべく早く食べるようにして下さい。 すぐに食べられない時は、新鮮なうちに1粒ずつ房から外して冷凍しておいても美味 しく食べることができます。 |
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=こんなこと知っている= ★ワイン用のブドウもいろいろ ブドウが世界中で広く生産されているのは、ワインの原料になるからです。特にヨー ロッパ種は優れたものが多く、カベルネ・ソービニヨンやメルローなどが有名です。ま た、国産では、主にマスカット・ベリーAや甲州がワイン用に栽培されている品種です。 |
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