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無花果はいちじく

 =無花果(いちじく)=
 クワ科 イチジク属  “からだに優しい!健康フルーツ”

 甘くておいしいだけでなく、色々な効力を持っているイチジク!原産の西アジアから
中国を経て日本に伝わった時には、薬用の木として利用されていました。
 イチジクは近年の健康ブームによって大きく見直された栄養豊富なヘルシーフルー
ツです。赤い粒々・かすかな酸味と上品な甘さが特徴的で、特に女性からの人気の高さ
は格別です。

 【歴史】
 イチジクの原産地はアラビア半島南部とされ、旧約聖書(創世記)のアダムとイブの
物語にその葉が登場する通り、果樹の中では最も古い果物のようで地中海沿岸諸国では
紀元前から栽培されていました。
 イチジクは世界各地で知恵の木、生命の木と言われているように、古代ギリシャ時代
には体力や脚力を増強するため競技者が好んで食べていたようです。
 イチジクはアラビアから小アジア地方に渡来しさらに西進して、地中海沿岸諸国に伝
わり、8〜13 世紀頃には中国に、16 世紀にはアメリカに導入されました。
 日本に入ってきたのは、わりあい遅く江戸時代初め(1624〜1644)に中国を経て長崎
に渡来したといわれています。

 【分類】
 イチジクは花の種類や受粉の必要性の有無により園芸的には、カプリ系・スミルナ
系・サンベドロ系・普通系の4 種類に分類されます。

 (カプリ系)
 小アジア及びアラビア地方の野生種で、栽培種の祖先とみなされます。花托内に雄花、
雌花及び虫えい花があり、虫えい花が小昆虫ブラストファーガの発育場所となっている
ため、食用には適していませんが受粉用とし利用されています。

 (スミルナ系)
 小アジアのスミルナ地方に栽培されていたことからこの名が付きました。花托に長花
柱の雌花しかできないため、結実にはカプリ系の受粉が必要です。種子には油脂が含ま
れていることから、乾果にすると特有の香味があり品質的にも優れたものになります。

 (サンペドロ系)
 第1 期果(夏果)は普通系と同様に受粉しなくても単為結果をしますが、第2 期果(秋
果)はスミルナ系と同様に結実には受紛が必要となります。日本の夏果専用種はこれに
属します。

 (普通系)
 最も普通のイチジクで、果実は第1期果(夏果)・第2 期果(秋果)ともに受粉しな
くても単為結果をします。このタイプに属する品種は極めて多く、日本の夏秋兼用種な
らびに秋果専用種はすべてこれに属します。

 【品種】
 イチジクの品種は数百種ありますが、日本にはこれまでにカプリ系・スミルナ系・サ
ンベドロ系及び普通系の品種が40 種ほど欧米より導入されています。
 これらの中から「桝井ドーフィン」と「蓬莱柿(ほうらいし)」の2種が、実の大きさ・
収穫性・日持ちの良さで他の品種よりも優れていたことから、日本の主要品種として広
く普及しました。

 ●桝井ドーフィン
 現在日本で栽培されているイチジクのほとんどが「桝井ドーフィン」という品種で、明
治42 年に広島県の種苗業者、桝井光次郎氏がカルフォルニア州から導入したものです。
 当初はドーフィンの名で販売されていましたが、秋果が着き、また夏果の果形もドーフ
ィンと異なることから、桝井氏の名前を付けて「桝井ドーフィン」と呼ばれるようになり
ました。本種は大粒で採集期間が長く、成熟しても裂果が少なく輸送性に富むことから、
現在、日本での主要品種となっています。

 ●蓬莱柿(ほうらいし)
 ポルトガル人によって寛永年間(1624〜1644)に伝えられ、それが今日の在来種とな
っています。別名、日本種・唐柿とも呼ばれ、耐寒性があるため東北地方でも植栽され
ていますが、南は九州・四国地方と広範囲にわたり分布しており、桝井ドーフィンに次
いで約2 割のものをこの種が占めています。
 蓬莱柿は甘みが強くて美味しい品種ですが、熟すと先端の目が大きく開いてしまうた
め、商品としての評価が低いことや輸送に適さないこともあり市場へはあまり出回りま
せん。

 ●角田(かどた)
 石川県でも少量しか栽培されていない貴重なイチジクです。表皮は青い色ですが甘み
の強いのが特徴です。
 そのほとんどは加工用として料理店やお菓子屋に納められ、八百屋・スーパーなどの
一般店頭に並ぶことは、ほとんどありません。

 【選び方】
 甘みのある美味しいイチジクを求めたい時には、やわらかくみずみずしいもので、形
が大きくヘタの近くまで熟したものを選ぶとよいでしょう。
 果物の中でもイチジクは最も傷みやすいものの一つで、特に「目」と呼ばれている果
実の先端部が割れているものや果肉全体がしっとりとしているものは腐敗しやすいの
で注意しましょう。

 【保存方法】
 適温=0℃・適湿度=90〜95%この条件で約2 週間の保存が可能です。
 常温では1〜2 日。ラップに包み冷蔵庫(7〜10℃)で保存すれば5 日位は持ちます。
 ★お買い求めになりましたら、できるだけ早めに食べるのが一番です★

 【食べ方】
 新鮮な果実を生でそのまま食べるのが一番ですが、アレンジ次第で幅広い賞味を楽し
むことができます。

 (生食)
 イチジクはナイフなど使わなくても、茎の部分から皮を剥くと簡単にとれます。食べ
る前に1〜2 時間冷やすと、より一層おいしく食べられます。

 (イチジクのジャム)
 イチジクの皮を剥いてつぶし、ワイン(好みで赤か白どちらでも)・蜂蜜・水を加え
て弱火で20〜30 分煮含めます。ドロッときたら火を止めそのまま冷まし、冷蔵庫でさ
らに冷やして出来上がりです。

 (イチジクの生ハム巻)
 イチジクを一口大の縦に切り生ハムを巻きます。そこにレモンの絞り汁をかけたら出
来上がりです。

 (イチジクの天ぷら)
 イチジクを縦に四つ切りにした後、塩少々を加えた濃いめの衣にくぐらせて高温でか
らっと揚げて出来上がりです。
 油とイチジクのジュ―シーな甘さが、絶妙な旨味を引き出してくれます。

 【栄養特性】
 イチジクにはかなり多くの糖分(果糖・ブドウ糖)が含まれています。ビタミン類の
含有量はそれほど多くありませんが、フィシンというタンパク質分解酵素をはじめとし
ていろんな酵素が含まれています。
 葉・茎から出るベタベタした白い液にもタンパク質分解酵素が含まれ古くから薬用と
して、イボとり・虫下し・便秘・解毒・痔などに使われてきました。生食にすると喉の
痛みを治し、消化を助けるといわれているのも、これらの酵素の働きによります。
 イチジクの白い液にはプソラレという成分が含まれていますが、皮膚が荒れ痒くなる
ことがありますので、果汁を口の周りに付けたままにして置かないよう注意しましょう。
 乾果は漢方で緩下剤として用いられ、民間薬としても古くから痔疾向けのほか健胃剤
として用いられています。
 乾葉は胃弱・貧血のほか、女性の冷え性に対する薬湯効果があるといわれています。

イチジクの成分表 (可食部100g中)
エネルギー 有 機 質
水 分 タンパク質 脂 質 糖 質
43kcal 87.7g 0.6g 0.1g 10.4g

ミ ネ ラ ル
カルシウム リ ン 鉄 分 ナトリウム カリウム
26mg 13mg 0.3mg 2mg 130mg

ビ タ ミ ン
カロテン ビタミンB1 ビタミンB2 ビタミンC ナイアシン
12μg 0.03mg 0.03mg 2mg 0.2mg

 【名前の由来】
 イチジクの呼び名は、ペルシャ語で「アンジ―ル」と呼ぶことから中国では「映日果(イ
ンジェークォ)」と音訳され、さらに日本に伝わる時に「イチジク」と転音したという説
のほか、実が1日1個ずつ熟すところから「一熟(イチジュク)」が転音して「イチジク」
になったとも言われています。
 漢字では「無花果」と書くのですが、果実の内側に多数の小さな花をつけるので、外
から花を見ることができないためです。
 皆さんが食べている部分は、小さな花のかたまりなのです。
丸果石川中央青果梶@やさい・かじつの情報 ’05 9月号より抜粋


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