=金 柑(きんかん)= 《ミ カ ン 科》 “健康管理や美容効果に” 一日3〜5 個の金柑を食べましょう 金柑は古くから風邪の民間薬として知られています。抗菌作用のあるビタミンCをレ モン果汁とほぼ同量含みますし、毛細血管を強くしたりビタミンCの吸収を良くする働 きのあるビタミンPの一種「へスペリジン」も含まれていますので、喉の炎症を押さえる など風邪の予防となるほか、動脈硬化・高血圧などを予防する働きもあります。 また、βカロテンやビタミンEも多く含み、果物としては珍しくカルシウムも含まれ ていますので、体内の血液循環を良くしストレスを和らげる効果も期待できるようです。 その他、植物繊維のペクチンや有機酸・芳香成分などで胃腸の働きを整えて便秘も解 消してくれます。健康管理や美容のためには、一日3〜5 個の金柑を食べることが良い そうです。 ※ 金柑はみかん類の中では最も小さい果実で、皮ごと食べるのが特徴で甘みや栄養も 皮に多く含まれています。 【来 歴】 金柑の原産地は中国です。日本には14 世紀に「丸きんかん」という品種が渡って来た のが最初です。その後「長きんかん」と言う品種が江戸時代前期に渡来したしたと言われ ています。現在日本で生産されているのは、ほとんどが「寧波(にんぽう)」(別名:明 和)と言う品種です。中国の浙江省原産で1826 年に中国の商船が遠州灘(静岡県沖) で難破し、修理のために静岡港に寄港した時に地元の人が船員に砂糖漬け金柑果実をも らい、その種子を播いたのが栽培の始まりと言われています。 【品 種】 ★明和(寧波=にんぽう)金柑 生産地は福岡・宮崎・鹿児島・高知・和歌山・長崎・静岡等で、日本で栽培されている ほとんどの金柑がこの品種です。 果形は直径2cm 程の短卵円形で、一果当り10〜13g 程度。江戸時代に伝来し、栽培が 容易で風味もよく品質が良かったことから日本の代表的な品種となっています。 ★丸金柑 日本に最初に伝わった品種で丸実金柑(マルミキンカン)とも呼ばれています。果形 は丸形で、一果当り6〜8g 程の大きさです。 果皮は甘く香りも良いが、果肉にはやや酸味があります。 ★長金柑 江戸時代前期に日本に伝わった品種で長実金柑(ナガミキンカン)とも呼ばれていま す。果形は長楕円形で、一果当り10〜12g 程の大きさです。 果皮が厚いので品傷みが少なく寒さにも強いのですが、酸味が強いのが難です。 ★長寿金柑 中国福州・南京原産で福州金柑(フクシュウキンカン)とも呼ばれ、重さが35〜40g の大形品種です。果皮は濃橙色で厚く、多汁でほどよい酸味ですが、生食には不向きで 観賞用として利用されています。中国を始めアメリカ・西インド・ヨーロッパなどでも 栽培されています。 ★豆金柑 名前の通り1g 程の小さな品種です。果肉が殆ど無く種ばかりのため食用ではなく、 主に盆栽などの観賞用にされています。 【出回り期】 11 月〜4 月まで出回るが、出荷最盛期は12〜2 月にかけてになります。 【栽培方法】 栽培方法には「施設物・露地物」の2 タイプがあり、従来は露地栽培が主体でしたが、 近年ではハウス栽培を導入し、大玉で食べやすく美味しい金柑(完熟金柑)の生産拡大 に努めています。 【見分け方】 表皮が濃い橙色で表面にツヤがあるものを選びましょう。また、ヘタ枯れが無く香り の良いもの、そして実が締まり重量感のあるものを選ぶことがポイントです。 |
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【調理方法】 甘煮にして魚の付け合せなどに使う時は、金柑の表面に細かく縦に包丁を入れて柔ら かくなるまで茹で、中の種を竹串などで取り除き砂糖・みりん・水を加えて甘く煮る。 【保存方法】 低温障害を受けやすいので気を付けて下さい。保存適温は5〜7℃ですが、パックに入 れたまま冷暗所に置くのが良いでしょう。 ※保存期間:常温なら1 週間位、冷蔵庫なら2〜3 週間が目安です。 【栄養価】 果物の中では珍しくカルシウムが豊富に含まれています。果肉には100g 当り75mg・ 果皮には130mg と、生の果実の中では最大の含有量があります。 また、柑橘類ですからビタミンC(果肉で30mg・果皮で70mg)やカロテン・ビタミン A・ビタミンEなども多く、風邪の予防には最適な果物といえます。 その他、皮に含まれる成分には咳を鎮め、痰を抑える効果もあります。シロップ煮や マーマレードに使われるのも、こうした効果とのマッチングに適しているからでしょう。 さらに、胃や肝臓の働きを正常に整える働きもあります。 金柑(皮)とみかんの栄養価比較 (可食部100g 当り)
金柑の雑学!! キンカンは「金冠」と書き、金の冠・宝物を意味し、生活の豊かさを祈って食べたとい われます。 金柑の花は初夏〜秋にかけて、白い小さな花を2〜3 回咲かせます。 金柑の花言葉:《思い出》 金柑について中国に昔話が残っています。昔、若い誠実な夫婦が金鶏鳥という不思議 な能力を持った鳥を大切にしていました。ところが心の邪な母親がこの鳥を手にかけて しまいました。若い夫婦は涙ながらに金鶏鳥を葬ったところ、そこから黄金色の実をつ ける金柑の樹が育ったのです。 |
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金柑レシピ =金柑の甘煮= ★風邪の予防や喉の痛み緩和に是非作ってみて下さい。 材料(4 人分)・・金柑(500g)・砂糖(250〜300g)・塩(少々) (1) 金柑はよく洗った後へたを取り除いておく。 (2) 煮込んでる時に皮がはじけないように1cm 程の縦の切れ込みを5〜6 本入れる。 (3) 鍋に入れた金柑がひたひたに浸るくらいの水を入れ火にかける。 (4) 沸騰開始から5 分ほどで火を止め、金柑を冷水につけアクを取る。 (5) 再び鍋に金柑と浸るくらいの水を入れ火にかける。 (6) 沸騰したら鍋に蓋をして弱火で15 分程炊く。(アクはその都度取り除く) (7) 15 分経過したら砂糖を加え煮汁が1/3 程になるまで炊きつける。 (8) 煮汁が1/3 程になったら塩を加え溶けたところで火を止め冷ます。 (9) 冷めたら清潔な容器に入れて冷暗所に保存して下さい =金柑のシロップ= ★金柑の香りと味わい生かしたシロップ煮を作ってみよう。 材料(4 人分)・・金柑(12 個)・砂糖(80g) (1) 金柑はよく洗いへたを取り除いておく。 (2) 鍋に金柑を入れタップリの水を注いで強火にかける。 (3) 煮立ったら金柑が柔らかくなるまで4〜5 分ゆでる。 (4) ゆであがったらザルに上げ、冷水で洗った後水気を切って鍋に戻す。 (5) 鍋にひたひたの水とグラニュー糖を加えて火にかける。(煮立ったら落し蓋をし て弱火で10 分程煮る) (6) 火を消してそのまま冷ます。 =金 柑 酒= ★作り方も簡単ですから、風邪の予防に作ってみてはいかがですか! 材料・・金柑(500g)・氷砂糖(200g)・焼酎(1.8 リットル)・密閉容器 (1) 金柑はよく洗い、水気を拭き取った後ヘタを取り除いておく。 (2) 密閉容器に(1)の金柑と氷砂糖・焼酎を入れ、蓋を閉めて冷暗所に置く。 (3) 2 ヶ月程たってから容器内の金柑を取り出して飲む。(金柑も食べられます) |
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丸果石川中央青果梶@やさい・かじつの情報 平成18年1月号より抜粋 |