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みかん博士になれるかな?

=温州(ウンシュウ)ミカン=

Satsuma mandarin(英) 温州蜜柑(和) 柑橘類ミカン科

“ミカンは健康に良く、癌抑制効果も抜群の果物”
ミカンにはビタミンC が多く、風邪の予防になると言われています。また、最近ではガン抑制
成分β―クリプトキサンチンが温州みかんに一番多く含まれていることがわかり、外国からも
大いに注目されています。その他にもアトピーに良いとかいろんなビタミンや栄養素が含まれ
ていて、健康維持には欠かせない果物です。

【原産地】
かつてはミカンと言えば、和歌山県で栽培されていた紀州みかん(小ミカン)のことでしたが、
現在この品種は正月のお飾り用としてわずかに生産されているだけで、温州ミカンにその座
を奪われました。温州ミカンは日本の代表的カンキツ類で、皮が薄くてむきやすく、舌触りがよ
くて種無しで食べやすいのが特徴です。
温州と書きますが,原産は熊本県天草に近い鹿児島県長島の東町とされています。
300 年以上前に発見された品種で、中国から伝播したカンキツ類の中から、突然変異ででき
たと考えられています。
以前には、冬の風物詩であったミカンも、品種改良とハウスなど栽培技術の発達や保存法
の改良が進んで、初夏から翌春にかけて長期間楽しめる果物になっています。また産地も関
東から沖縄までと広く、美味しいミカンを食べるのには時期にあった地域と品種を選ぶことが
何よりも大切になってきます。

【品種】
温州ミカンの品種はいろいろありますが、収穫時期によって早生系・普通系という呼び方が
行われています。早生系は9 月から11 月頃に出回るもので、皮が薄くて甘みが強く、温州ミカ
ンの中でも味は一番と言われています。特に早く登場するものを極早生といい自然に成熟し
たものは、果皮の色に青味が残っていても酸味は少なく甘みがあります。普通系というのは
12 月から翌年3 月頃迄出回るもので、果皮は充分色づいて鮮やかな橙色をしています。また、
ハウスミカンの栽培も盛んで、5 月〜10 月頃にかけて出回り、甘みが強く、果汁も豊富な美味
しいミカンを食べられるようになりました。

★ハウスミカン
極早生や早生の温州ミカンをビニールハウスで覆い加温することによって、開花を早め早く
から収穫するもので温室ミカンとも呼ばれています。雨も遮断するため、成熟期を乾燥状態に
保つことができ高品質のミカンの生産が可能になりました。

★極早生種
早生温州の枝変わり(芽状変異)で生まれた新品種群で、9 月中旬〜10 月中旬に熟期を迎
えます。沖縄や西南諸島では8 月中旬から出荷ができます。
宮崎で発見された日南1 号は、興津早生の枝変わりで、極早生の代表的な品種ですが、こ
の他にも和歌山で発見され幅広く栽培されている宮本早生や長崎県大西海で発見された岩
崎早生、佐賀県で発見された上野早生等があります。

★早生種
10 月下旬〜12 月上旬に完熟期を迎える品種群です。代表的な品種に宮川早生があります。
完熟させても味ボケしないので糖度をあげるために収穫期を遅らせて出荷することができま
す。興津早生は宮川早生にくらべて果形が扁平で、糖度も少し高く、熟期も1 週間程早めで
す。

★中生種
普通系品種より少し早い11 月下旬〜12 月上旬に収穫される年内出荷用の品種群です。代
表的な品種に糖度の高い南柑20 号がありますが、風土・気象条件を選ぶので栽培には細心
の注意が求められています。
この他に、収穫期が11 月中旬〜下旬で青島の金峰や貯蔵して出荷されることが多い青島
温州の実生系、青島4 号等があります。

★普通温州
12 月上旬〜1 月上・中旬に出荷される早熟系と、12 月中旬〜下旬に収穫・貯蔵して高品質
品として出荷される晩熟系があります。同じ品種でも生産地によって出荷方法が違ってきま
す。
早熟系の代表的な品種である大津4 号は、神奈川県では貯蔵して1 月に出荷されますが、
九州では年内出荷用に栽培されています。
晩熟系で代表的なものに青島温州があります。袋がやや厚めですが、大果で糖度の高い
貯蔵用のミカンです。晩熟系にはこの他に、和歌山県特産で糖度がきわめて高く、着色の良
い丹生系、同じく高糖度系で、福岡県で発見された今村温州や高知県で発見された十万温州
等があります。

【美味しいミカンの見分け方】
(1) 色 ミカン独特の橙色が濃いものが美味しいとされていますが、沖縄や九州から
の極早生種や早生種は、果皮が緑色でも酸味が低い状態で出荷されますので美味しいです。
(2) 形 腰高な果実の味は遅れ花の実で酸がやや多く、糖が低くなりがちです。
これに対して扁平な形をした果実は酸味が低く、糖が高い傾向になります。
(3) 感触 果皮が柔らかく、しっとりした感じのものが良いとされています。
一般的には肌が粗く,油胞(粒状の脂を溜めた細胞)が飛び出すように見えるものは、果汁が少な
かったり味が淡白だったりします。油胞は生育旺盛な果実に多く大果に良く見られます。
でも、栄養分が生育に取られてしまう大果の肌の粗いものは、果実に溜まる糖分が少なくなる傾
向があります。
(4) ヘタ ヘタの色は橙黄色に着色しているものを選ぶようにします。
ヘタが緑色のものは収穫時期が早く、貯蔵して着色させたものに多く見られるからです。
樹上で完熟させたものはヘタも着色しますので、ヘタ周辺の果皮がリング状に濃橙赤色になった
ものは、果実の糖分も十分に乗っています。
秋に気温が高く長雨にあうと、皮と実(果肉)が浮いてきます。このようなミカンを浮皮(うきかわ)
と言い、余分な水分を含んでいるので大味なミカンになります。
また、鮮度が落ちてくると、シナビて表面のツヤが低下し、ヘタ枯れを生じます。
反対に、夏場に雨が少なく、水分不足の状態が続いた時に出来る「菊ミカン」と言うとても美味し
いみかんがあります。皮も袋も非常に薄く、表面が凸凹になります。皮と袋の間にほとんど隙間
が無く、非常に剥きにくいものですが、糖度も酸度も非常に高いので、とてもコクがあります。
しかし、中には酸っぱく感じるものもあるので、そのようなミカンに当った場合、少し置いておく
と適度に酸が抜けて美味しいみかんになります。
外観は同じようなミカンでも、産地や品種によって味も違ってきます。
果物店では、時期に応じて、最も美味しいミカンを何種類か仕入れますので
「甘いミカンが良い」「コクがある方が良い」などと好みを言って買ってください。

【保存】
ミカンは常温の10℃〜20℃が保存の最適温度です。部屋の温度が高い場合は冷蔵庫の野菜
室で保存して下さい。
箱で買った場合は、まず蓋を開け腐敗果があるかないか確かめましょう。確認が終わったなら
中のミカンを少し取り出し、蓋を開けたままで風通しを良くしてから涼しい所に置いて保存して下
さい。

【栄養と効能】 ※ミカンはビタミンの優れた供給基地
ミカンには免疫力をアップさせるビタミンC が含まれています。しかしビタミンC の量は、他の
果物に比べて決して多くはありません。ミカンが特に優れているのは、効率良くビタミンC の摂
取ができると言う点です。
ビタミンC はとても壊れやすい性質があります。熱は勿論のこと水洗いをするだけで壊れて
しまいます。ミカン以外の果物は皮をむいてから口に運ぶまでの間にも空気に触れて酸化し、
ビタミンC がどんどん減っていきます。その点ミカンは、皮や袋がビタミンC をしっかりガードし
てくれますので、ビタミンA やE と共に効率良く摂取できます。

=温州ミカンの驚くべき効用=
“風邪をひいたらミカンを食べなさい”とよく言いますが、ミカンには風邪に効くだけでなく,い
ろんな所に元気の源が潜んでいるのです。
ミカンの実には・・
〇免疫力をアップする「ビタミンC」
〇疲労回復する「クエン酸」
〇ガン予防効果が期待できる「βクリプトキサンチン」
ミカンの袋・スジには・・
〇便秘解消に有効な「食物繊維」
〇血管と血液を元気する「ヘスペリジン」
ミカンの香りには・・
〇眠気を覚まし、頭をスッキリさせる覚醒効果
〇ストレスにより減少した抗体を回復させ、免疫力をアップさせる効果
=効果的にミカンを食べましょう=
〇一日2 個のミカンを食べれば一日のビタミンC の必要量が摂取できます。
〇袋もスジも食べれば食物繊維が4 倍多く摂れます。

丸果石川中央青果梶@やさい・かじつの情報 2004年12月号より抜粋