梅は本来ならば果実ですが、近江町市場では主に季節野菜を扱っているお店で販売しています。
とはいえ、果実としての梅の実力を知っていただきたいためにこのページを作りました。
梅【うめ】
(英)Japanese apricot
バラ科 サクラ属
“梅干しは若返りの妙薬”
梅干しを食べるともちろんですが、聞いただけでツバがよく出てきますが、このツバには重要な役割があり、デンプンを糖化するプチアリンという酵素や、パロチンというホルモンが内分泌されています。
パロチンは、老化防止ホルモンとも若返りホルモンとも呼ばれ、骨や歯など全身の硬い組織に働きかけ、新陳代謝を盛んにし機能に活を入れてくれます。
【原産地】
梅の原産地は、中国の湖北省や四川省であろうと云われており、約3,000年前に栽培が始まったとされています。
日本でも古来から栽培されて来ましたが、当時は観賞用の花として利用され、果実としては副次的なものであったようです。果実としての利用が多くなるのは、江戸時代に入ってからですが、本格的に栽培されるようになったのは明治末から大正初期にかけてであります。当時は、梅漬けが主力でしたが、昭和37年に家庭での梅酒の製造が許可されたことで需要が増えるとともに栽培も盛んになりました。
【品種】梅の品種って、一体何種類あるの?
梅の品種は約300種類以上あるといわれています。梅は気候と土壌に対する適応範囲が広いため沖縄から北海道にわたって栽培されていますが、その品種を大きく分けると、食用として果実を利用する実梅(みうめ)と観賞用の花梅(はなうめ)に区分されます。実梅の品種は全国で100種類ぐらいあると云われていますが、全国的に栽培されている品種は極めて少なく、それぞれの地方の風土に適した品種が定着し産地を築き上げて来ました。
主力品種
○南高梅(なんこうばい)
和歌山県の南部川村原産の梅で、果実の色は緑色ですが、完熟に近ずくにつれて黄色味をまし、表面の一部は紅色をさすものがあります。大きさは25〜35g程ですが、果肉が厚く肉質もよいので、まさに梅干しにするのにもってこいの梅です。「梅の王様」と呼ばれていることだけあり、市場では最高級のブランド品として人気があります。
○古城梅(こじろううめ)
和歌山県下で多く栽培されており青梅としては一級品の品種です。果実の色は緑色で大きさは25〜30g程ですが、肉厚で種が小さく、梅酒用やジュース用に適しています。
○紅映(べにさし)
福井県三方町で実生選抜された品種です。果形は丸く、果実の色は濃緑色で光沢があり、陽の当った所は紅色に着色します。大きさは22〜30g程度の中玉ですが、種が極めて小さく、果肉歩合が92%と高いことから梅干し・梅酒のいずれにも適します。
○剣先(けんさき)
果形は楕円形で,果実の色は緑色です。大きさは25g前後で種が極めて小さく、果肉歩合も93%と高いのですが、熟度が上がりにくいので梅干しには適さず、梅酒専用の品種です。
○石川一号(藤之梅)
石川県羽咋郡志雄町で選抜された品種です。果形は円形に近く、果重は25g前後の中粒。果実の色は淡い緑色で、陽の当った所は淡紅色に着色します。種はやや大きめながら果肉はそこそこ厚く、品質的にも優れていて梅干し用・梅酒用どちらにも適しています。
○白加賀(しらかが)
加賀の白梅とも呼ばれて江戸時代から栽培されています。特に関東地方に多い品種ですが、果形は短楕円形で、果重が30〜40g、果実の色は淡緑黄色で、陽向面は淡い紅色を帯び品質的には優れております。梅干し・梅酒どちらにでも適します。
○小梅(こうめ)
実・花・葉共に小さく、実の大きさも5〜8g程度の小さな梅で、小梅漬けとして重宝されています。品種では「甲州最小」・「竜峡小梅」が有名ですが、その他にも「甲州深紅」・「美川小梅」・「白玉」等があります。
【見分け方】
梅は収穫の時期あるいは品種によって青味の濃いもの、黄緑・紅色がついているものなどがあります。いずれも香りが良く、種が小さく、外観に丸みがあるものが、果肉が厚くて良い物といえます。
梅干用・・多少黄色から完熟に近いものが、最も美味しい梅干し・しそ漬けが出来ます。青い未熟なものは皮や実が硬くなり、せっかく漬けても良いものになりません。
梅酒用・・青味の濃いもの、黄緑・紅色がついているもの、いずれも良いのですが、さわってみて果肉が固く感じるものの方が、香りとコクのある梅酒ができます。
梅ジュース用・・青いもの、熟したものいずれでも結構ですが、小梅は果肉が少なくジュース用には適しません。
【効用】
昔から健康食品として親しまれている梅干しですが、健康食品と言われる理由は、梅干の中には体にとって必要な物がたくさん含まれているからなんです。
★疲労防止・疲労回復
人間の体のエネルギーとなっているのがグリコーゲンと呼ばれる栄養素です。運動したり、働いたり、体のエネルーギ(グリコーゲン)を使うと、がんばりがきかなくなり、乳酸という疲労物質が溜まります。
梅干しの主成分であるクエン酸は乳酸の蓄積を防ぎ、タンパク質・でんぷん・脂肪を効率よく燃焼させてエネルーギに変えてくれます。
★殺菌・抗菌効果
梅干しの酸っぱさのもとであるクエン酸が、口から入った細菌に負けないように胃の粘膜を増強し、胃酸や唾液の分泌を盛んにして、食中毒の原因となる細菌の活動を抑えてくれます。
それから、梅干し独特の風味や香りを作り出しているベンズアルデヒドという成分が、殺菌や防腐効果を発揮するので梅干しをお弁当に入れるだけで細菌の繁殖能力を低下させてくれます。
★肝機能回復
二日酔いの人、疲れが溜まっている人など、肝臓の機能が低下して体がだるくなっている人には、肝機能を高める必要がありますが、梅干しに含まれているピルビン酸と呼ばれる有機酸は、肝臓の機能を活性化させ、高める効果があります。
★ガン・老化予防
ガンや老化の原因を作っているのが、活性酸素の一つである過酸化水素です。梅干しを食べたとき、見たときに出る唾液には、アミラーゼやカタラーゼなどの酵素が含まれています。カタラーゼには、過酸化水素を水と分子状酸素に分解して毒性を消す作用がありますので、ガンや老化を抑制してくれます。
★血管のつまりを改善
最近注目されているのが「ムメフラール」という物質ですが、青梅を煮ることでクエン酸と糖の一部が結合して出来るもので、冷え性や肩こりを改善してくれます。
★消化促進
梅干しを食べる時に出てくる唾液には、糖を分解する成分の消化酵素プチアリンを含んでいます。そのプチアリンが、糖を胃で分解する前に分解を始めるので胃への負担が軽くなり、消化を促進してくれます。
★カルシウムの吸収を助ける
海草・牛乳・小魚などカルシウムを含んでいる食べ物はたくさんあるのですが、カルシウムそのままでは体内に吸収されにくいという性質があります。しかし、梅干しに豊富に含まれているクエン酸と結びつくことでカルシウムが吸収されやすくなります。
★整腸作用
梅干しは、すっぱいので酸性食品と思われがちですが、アルカリ性食品なんです。日本の食生活問題である血液の酸性化は、梅干しに含まれている有機物が、酸性の食品に含まれている酸化物を減少してくれます。そして、血液をアルカリ性に保ってくれます。また、うめの有機物は、からだの新陳代謝を促がしてくれるので、疲労物質も溜まることなく、血液を浄化し、血管の老化も防止してくれます。
“梅は三毒を断ち、その日の難を逃れる”
「三毒」とは、すなわち食べ物の毒・血液の毒・水の毒のことです。
食べ物の毒とは食物中に付着する病原性バクテリアなどのことで、梅に含まれるクエン酸がこれに対し抗菌・整腸・解毒といった作用をします。
血液の毒とは乳酸など疲労のもとになるもので、梅の成分の一つであるピクリン酸によって肝機能の活性化を促がします。肝臓は口から入った食べ物の異物を安全な形に代謝する解毒機関の役割を果たしているので、活性化させることによって血液に浄化をもたらすのです。
水の毒とは水に含まれる病原菌で、梅の青酸配糖体の分解産物で代謝が促され、また梅に含まれるミネラル(K・Mg・Ca等)で不要な水分(過剰Na)を除去します。そして梅の強い抗菌作用で病原菌を除去します。
梅酒の作り方 食前酒に向く甘いリキュール
○材料(約2g分) ・青梅1s ・35度以上の甲類焼酎(1.8g)
・氷砂糖200〜500g
○作り方の手順
@ 梅は流水で洗い、完全に水気を拭き取ります。
A 熱湯で消毒した保存ビン(4g用)に氷砂糖を適量敷き、梅適量をその上にのせます。さらに氷砂糖、梅と2〜3回に分けて交互に入れ、いちばん上に氷砂糖がくるようにします。
B 焼酎を注ぎ、ふたをきつく閉めて冷暗所に置き、時々びんをふります。
※ 約3ヶ月程経てば梅のエキスが出ますので、飲むことができます。し
かし、梅酒は置けばおくほど熟成され、コクが出てきますので、1〜2
年待っていただいたほうが美味しくなります。
梅干しの作り方 あなたの健康は、一日一個の梅干しから
○材料 ・梅(よく熟したもの) ・塩(粗塩)=梅の分量に対して20%
・赤じそ=梅の重さに対して20%
○作り方の手順
@ 梅を水洗いし、水気を切ります。
A 容器に梅と塩(全量の2/3)を交互に入れ、残りの塩をいちばん上に入れます。後は蓋をし、梅の重量の1.5〜2倍の重石をのせ冷暗所に置いてください。
B 3〜4日して塩が溶け、水(梅酢)が上がってきたら、重石を半分にして赤じそが店頭に出てくるまで待ってください。
C 赤じそは葉のちじれたものを求め、よく洗った後、水気をとって下さい。水気を取った赤じそは分量の5%の塩で揉み、アク抜きをし、さらに5%の塩で再度アクを揉みだした後、梅の上に入れ重石はしないで中蓋をして土用まで置いてください。
D 7月に入り土用の天気の良い日を選び土用干しをします。最初の3日は汁気を切って日中は干し、夜には梅酢に戻し、次の3日は夜干しにして昼は梅酢につけときます。日干しをする時は、しその葉や梅酢も天日に当ててください。干しあがったら梅干しと、しその葉は他の容器にいれ保存してください。
☆甲(きのえ)申年の梅の不思議
平成16年は、60年に一度の甲申年(きのえ・さるどし)です。古来より申年には自然界に天変地異が起きると言われています。平安時代、村上天皇が都で流行った疫病を梅で救ったと同時に、自らも梅の力で克服したと言われています。それ以来、申年の梅は縁起がよいと重宝され、《申年の梅には神の力が宿る》とまで言われているのです。
参照:丸果石川中央青果梶@やさい・かじつの情報 ~16年6月
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