いよいよ北の大陸への旅立ち間近。
新たな地を前に、使命の重さを噛みしめる4人の勇者達。
 
パーティーメンバー
戦士=オスカー 赤魔術士=オリヴィエ 白魔術士=リュミエール 黒魔術士=クラヴィス
橋を修理するコーネリア兵=エリューシオン大神官他、民一同
                
コーネリア北の橋
 
工兵指揮官「光の戦士達のために、橋をつくるですー」
 
工兵1「つくるですー」
 
工兵2「トンテンカンテン、橋をつくるですー」
 
工兵3「頑張ってつくるですー」
 
工兵指揮官「できたですー。光の戦士達のための橋が完成したですー。ばんざーい」
 
兵一同「ばんざーい、ばんざーい」
 
コーネリア城下
 
 
戦「おお、いよいよ橋の完成か!」
 
赤「この橋を超えて、私達はいよいよ次の大陸に旅立つんだね!」
 
白「この橋を超えた向こうには、わたくしたちの知らない大陸が…そして、世界の平和を取り戻すための、
大いなる戦いがまっているのですね…ああ、なんだか、目眩が…」
 
戦「リュミエール、しっかりしろ!この先、何があろうとも、俺はお前を支え、守ると誓おう」
 
白「オスカー、あなたがいて下さる限り、わたくしはくじけません…」
 
赤「はいはい、もう感動の誓いは終わったかなー?さて、これからの予定を立てないとね」
 
戦「情緒のないやつだな。まずは橋を超え、次の町に行き、そこで何が起きるかはお楽しみ、ってやつだろ?」
 
赤「その通りだけどさ、次にどこへ行くか、判ってるの?」
 
戦「……????どこだ…?」
 
赤「あー、やっぱり…実は私も知らないんだよ」
 
戦「がくっ。それで俺を責めるのか?お前は?」
 
赤「責めちゃいないよ。たださ、私ら、まーだ、どっかで話し損なってる人がいるんじゃないかと思ってさ。
町を出る前に、もう一度、一通り人の話を聞いて、それから、アイテムとかの準備を整えよう。
それから、地図の見方ちゃんと判ってる?」
 
戦「地図?そんなもん、あったか?」
 
赤「…やっぱりね…そうだと思ってたよ。クラヴィス、説明してやって」
 
黒「…Bボタン+スタートで、ワールドマップを見ることが出来る…マップ切り替えで特定の地域だけを見ることも
可能だ…」
 
白(ボタンをピッピッ)「あ…本当です…これで、ガイアの神殿の位置も、あらかじめ知る事ができたのですね」
 
戦「そんな貴重な情報を、何故今まで黙っていたのです!」
 
黒「知っているかと、思っておったのだ…」
 
戦「…まあ、いいです。これで、大陸の一番近い町を探しましょう。(ピッピッ)」
 
白「橋を渡って…2ヶ所ほど、行ける所がありますが…場所の名前が、まだ載っていないのですね」
 
戦「行ってみれば判るだろう。どちらかが、次の目的地だ」
 
赤「そうだろうね。それじゃ、魔法の買い残しとか、アイテムとか揃えて、出発しようか」
 
戦「ちょっと待て。通常であれば、先へ進めば進むほど、店には強力なアイテムが売られているはず。
ここで散財するよりも、次の町で買いそろえた方が良くないか?」
 
赤「そうかな?それじゃ、回復アイテムだけそこそこ用意して、次に行く?」
 
黒「ふ…その判断が、取り返しのつかない事を招くこともあると、考えたことはないのか…?」
 
戦「むかっ。何を仰りたいのですか?クラヴィス様」
 
黒「ひとつ話をしてやろう…判断ミスをした愚か者の話だ…」
 
戦「拝聴いたしましょう」
 
赤「何もそんなマジにならなくたってー」
 
白「オスカー…リーダーとしての、責任感に燃えているのですね」
 
赤「それは違うと思うよ…リュミちゃん…」
 
黒「…その者は、お前と同じ『行けば判る』がモットーだった…。出発点付近では、すでに向かうところ敵なしだったその者は、その先も似たようなものだろうと高をくくり、情報もろくに集めず、準備もそこそこに橋を超えた…。
だが、橋の向こう側には、こちらとは比べものにならぬほどの、強敵がひしめいていた。
結果、その者は、数分と持たずに、出発点に逃げ戻ってきたそうだ…」
 
白「…」
 
赤「…」
 
戦「…それは、誰のことですか…?まさか…」
 
黒「私達が、未来に体験する出来事だ」
 
赤「いやーーー!!そんな、数分で逃げ帰るなんて、みっともなさすぎーーー!!」
 
戦「光の戦士としての、面子が…誇りが…」
 
白「落ち着いてくださいませ、お二人とも!必ずしも、同じ結果になるとは、限らないではないですか!
あらかじめ準備をしっかりとし、セーブもこまめに取るようにすれば、きっと大丈夫です」
 
黒「…もう一つ、別の愚か者の話がある…」
 
戦「(ギク)な…どういう話ですか」
 
黒「それは、前の失敗を教訓とした、2度目の冒険の話だ…。その者は、今リュミエールが言ったとおりに
回復アイテム、セーブアイテム共に揃え、新たな大陸に旅立った…アイテムで回復し、セーブをとり…そうやって、
次の町を目指した…。だが、道程の半ばを過ぎ、その瞬間は来た…。疲れ切っていた仲間の1人が
ついに力つきたのだ…。前にセーブをしたところからやり直しても良かったのだが、体力の低下は、もはやどうにも変えようのない事実…結局、思い切って彼等は先へ進むことにした…。そして、悲劇は続いた。
疲れ切ったところへ、力つきた仲間を抱えての旅路。
彼等は、敵を見たらすかさず逃げるようにしたが、やはりもたつき、攻撃を受けることもあり、ようやく町にたどり着いたときは、4人のうち、3人までが力つきた状態だったという…。どうした?皆、青ざめているな…」
 
赤「青ざめてるって…不吉なーーーー!」
 
白「そ、それは…恐ろしい…」
 
戦「3、3人までもが力つきていたとは…それでは残った1人は、さぞかし肝を冷やしたでしょうな…はははは」
 
赤「オスカー…びびってるのに、無理して強がりいってんじゃないよ」
 
黒「だが、真の恐怖はここからだった」
 
戦「まだ続きがあるんですか!?(悲鳴)」
 
黒「やっと次の町に来たその者は、まず、教会に飛び込んだ。力つきた仲間を蘇らせるために…。
だが、…次の町での、復活の儀式にかかる金は、前の町よりも格段に高かったのだ。
2人を蘇らせたところで、資金が底をつき、とりあえず宿屋で休んてから、金を稼ごうと考えた…。
だが、宿賃の高さに、泊まることすらも出来なかった…。結果、その者らは、メンバーが1人欠け、いる者も皆、
瀕死の状態で、復活資金と宿代を稼ぐために戦わねばならなかったのだ…」
 
赤「…嫌だ…そんな綱渡り自転車操業のモンスター退治だなんて」
 
白「オリヴィエ…心なしか、涙目です」
 
赤「リュミちゃんだって、顔は真っ青、涙がじんわり、冷や汗じっとり滲んでるじゃない」
 
戦「クラヴィス様…それはネタですよね?俺達の気を引き締めようと…」
 
黒「残念ながら、事実だ。全ては、未来に起こるべき事…」
 
戦「嫌だーーーー!!!そんな事態は絶対に回避してみせる!リュミエール、オリヴィエ!レベル上げの資金稼ぎだ!時間がかかろうとも、余裕が出来ないうちは、絶対に旅立ったりせんぞ!」
 
赤「そうだね。せっかく、突貫工事で橋を造ってくれたこの町の人には、悪いけどさ」
 
白「ちょっとお待ち下さい!そ、それでは、真の旅立ちは、一体…?」
 
戦「リュミエール…心配するお前の気持ちはよく分かる…。だが、中途半端な実力で旅立つなど、
この俺のプライドにかけてできんのだ!」
 
赤「私もそんなみっともない真似は、ぜーったいに嫌!そんな無様な真似さらすくらいなら、ずっと修行してたほうがましだね」
 
白「ああ、オリヴィエまで…」
 
黒「諦めろ、リュミエール…。いずれにしろ、旅立ちは遠い…。何しろ、すでにこの先の記憶は、
かなり薄れているようだからな…」
 
白「は?薄れているとは、どなたのことですか」
 
(?)「ぎく!」
 
白「あ、今どこかで誰かが、ぎくりとしているような…」
 
黒「図星だったか」
 
白「クラヴィス様、どういう事ですか?」
 
黒「…ふ…いずれわかる…」
 
赤「…あのさ、横から悪いんだけど、それってひょっとして、私らの旅、ここで終わりって事?」
 
黒「ふ…さて…全ては神の御心のまま…」
 
戦「この先の予定は未定って事か?ちゃんと考えてるのか?」
 
白「どうなるのでしょう…世界の未来は…闇の中?(うるうる)」
 
黒「神は何も何も考えていない…に一票」
 
 
 
             彼等の旅は、まだまだ始まらない…らしい…。