その日、大道具係が忙しく走り回る倉庫の裏側で、頭を寄せて話し合いをしている三人の少年がいた。
「なんか、納得いかねー」
「うーん、…なんだかな…」
「二人はまだ良いよ。僕なんて……女官がいつだってどさくさ紛れにドレスを着せようとするんだ…僕の役って、一体何なの…」
「じじいどもは楽してる。あいつ等は好きかってやってる。オレ達は振り回されるばっかりだ」
「……オスカー様とオリヴィエ様、本当に好き勝手やってる。もう元ネタがどんなのだったか、忘れちゃったよ」
「忘れた方が幸せかもな…この後、俺とお前はあいつ等のために戦って、死体になるんだ」
「なんで?なんでそんな!いくら何でもあんまりじゃないかなぁ」
「……いつだってしわ寄せは僕らに来るんだ。僕らが子供だからって、こんなに振り回されて良いってわけないよ…」
「お、おい?」
「なんかオメー、目の色変わってるぞ…?」
「そうだよ!オスカー様達が好きかってやってるんだから、僕たちだって勝手にやって良いはずだよ!僕たちばっかりがシナリオに合わせてやる必要なんて無いじゃないか!」
「お…おい…落ち付けって」
「いや、こいつの言うことは正しい!オレ達だけが合わせてやる必要はないって!」
「おい、お前まで!」
「お前等、コケにされたまま終わりたくねーだろ?オレ達だってストレスたまっちまう。だからさ…ちょっと耳かせ」
金の頭、銀の頭、茶色の頭が輪を作り、人に聞かれないように潜めた声で何かを話し合う。
話し合いが終わったあと、三人の顔には晴れ晴れとした笑顔が浮かんでいた。
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