店を出ると、もう23時を回っている。
そうか、もうそんな時間か。
選択肢を突きつけられた。今日は土曜日。
帰るか、否か。
「じゃ、私は明日用事があるから!」
すの字か・・・しようがねーか、いつも付き合いの良すぎるコイツが用事だってからには、本当に用事なんだろう。
「んじゃ、俺もそろそろ」
ちょっと待て、杉並!いつも付き合いの悪すぎるお前がすの字と一緒になると思うなよ。
「そーゆーことで〜〜〜」
「ちっ、逃がしたか」
肉弾頭、フニャモラー、ブルース。
3人は深夜の池袋に残されたのであった。
否、自らの意思で残ったのだ。
「映画でも、見るか?」
オールナイト上映?そう、それも我々の定番の一つだ。
「なにかやってたっけ?」
なにかやってたどころではなかった。
リー・リンチェイことジェット・リーの最新作「キス・オブ・ザ・ドラゴン」だッッッッ!!!
俺達、ジェット・リーの大ファン。
そしてこの映画、俺達がファンであることを差し引いても、100点のできである。もちろん100点満点で。
つまり、ファンであることを加点してもイイならば、10100点なのだ!もちろん100点満点で。
これから見るみなさんのタメに、ネタバレにならない程度にストーリー紹介を行おう。
フランスは、花の都パリにて、
果てしなく悪いフランス人を、
果てしなく強い中国人が、
果てしなく気持ち良く倒してゆく、
とてつもなくカッコイイ映画だ!
是非、見てくれ。イイ映画だ。
俺達は明け方のモスバーガーで、この映画のかっこよさ、ジェット・リーの凄さ、悪役の悪さ、俺オリジナル邦題、続編のストーリー、などなどについて時間を忘れて語り明かした。
杉並よ!お前は帰るべきではなかった!!
こんなに面白い映画を見損ねたなんて。
そして、忘れていた時間を再び取り戻した時、
そう、その時すでに永利の開く時間であった。
2日続けて同じ店に行くなど、俺達にとっては言語道断!
しかし、闘うべきときに闘えぬ、負けてそのまま引き下がるのも、また言語道断であろう。
どちらにしても駄目だと言うのなら、ココはやはり、
「同じ死ぬなら、喰って死のう」
同じ店で喰った飯をまだ腸の中に抱えたまま、俺達は中華料理屋の暖簾をくぐったのである!
3人でそれぞれ、このようなランチ定食をいただきながら、中華クレープなども。
肉味噌の黄ニラ和えを巻き巻きしていただくのですが、これがまた濃い。
うまいけど。
・・・ごめんなさい。肝腎の肉味噌がうまく写ってません。
しょーがねーだろッ!喰うのに必死だったんだから。
そして、そして最後に、駄目もとで言ってはみたんですよ。
「バナナアン入り薄皮揚げ下さい・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・30分ほど時間かかりますけど、よろしいですか?」
ヤッター!!
「待ちます、待ちます」
「30分が3時間だろうと」
「え〜え、待ちますとも」
そして、バナナアン入り薄皮揚げは・・・来た。ついに俺達の元へ!
うまーい!
あまーい!
サクサク、ホカホカ
諦めない心はいつだって負けない。
俺達は意気揚々と池袋を後にできる。
だから、今こそ・・・今こそ言おう。
もう一度言おう。杉並よ!お前は帰るべきではなかった!!
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