「ウイグル料理は存在します・・・・・・・・・・・・ビルとビルの間に!!!」
そしてビルはウイグル料理とウイグル料理の間にありました

それは、いつだったかも定かでないほどの遠い過去・・・それとも不確定の未来・・・理想を具現化した夢の世界だったのかも・・・
いや!俺達は確かに見た!アレは・・・なんか、メシ屋を求めて新宿をさまよう昼下がりのことだったような気がする。
「おおっ!“ウイグル料理店”だッ!初めて見るぜ。おまえ、喰ったことある?」
「いや。初耳だな・・・一体どんな料理を出すんだろうなぁ?」
「うう〜ん。・・・蒙古覇極道ォォ!双条鞭!」
「ウイグル自治区だからなぁ。遊牧民の料理なんだろうなぁ、きっと・・・」
「蒙古覇極道ォォ!獄長ウイグル!双条鞭!」
「とりあえず入ってみる?」
「フフフ、ワシのことは獄長と呼べィ!蒙古覇極道!」
「あ、お客サン。ウイグル料理は夜しかやってませんよ。ランチタイムは中華料理オンリーです」
「ボフー」
「どんなウイグル屋だよ」

 

異様な出来事ほど、容易に記憶の澱の底に沈殿してしまうものらしい。人は、自分の常識を守るためにあっさりと歴史を改竄してしまう。理解の外にある出来事はなかったことにして、ささやかな日常ってヤツに帰っていくのサ。
オレ達がそれを思い出すのに、半年の時間を要した。半年の間に自体は急変していたのだ・・・
「そーいや、この辺にウイグル料理があったよね」
「うわッ!懐かしっ!いつの話だ、それ」
「結局食べなかったじゃん。今日、行ってみる?」
しかし・・・店の前には張り紙が。
『材料が尽きたので、3ヶ月程休業します。
ウイグルで食材を調達してきます』
「スゲェ」
「ホンモノだよ・・・この店」

 

そして3ヶ月後。期待に胸躍らせる我々の前に新たなる張り紙の魔手が・・・
『ウイグルまで、一流の料理人をスカウトに行っています。当分休業します。また、ウイグル料理人を募集中です。経験のある方はご連絡下さい』
「ナヌー」
「ブルース、応募すれば?」←当時、ブルースは失職中であった
「オレの専門はイタリア料理だよ」

 

またまた、1ヶ月後、
「また張り紙変わったねー」
「今更驚きゃしないけどねー」
『中国政府より、料理人の出国許可が下りません。もう暫くお待ち下さい』
「少数民族だしねー」
「政治的理由じゃしょうがないよねー」
「まー、でもノルマだし」
「ハイハイ」
「ドフッ」

 

その後もいろいろあったが、結局俺達はウイグル料理を食べまくることができた。
スタイルはほぼ予想通り、羊肉を主に使った中華風料理であるが、しかし、これがウマイ!羊がこんなにウマイなんて知らなかったよ!

ブルース「やはり“コルダック”がウマイ。羊肉の旨みが引き出されているし、野菜の処理も完璧だ。皿に残った汁の最期の一滴までが肉の旨みに満ちている」

タキオン@「それぞれおいしかったけど、1つ挙げるとすれば、やっぱり饅頭かな?蒸し物としてキッチリ味をまとめてあるのに、羊肉としての自己主張を忘れてないところがイイねぇ」

肉弾頭「断然“ソーメン”だね。素麺とは全然違う、正方形の平麺だけど、このコシとモチモチ感はどうだ!俺の人生におけるベスト麺だよ。肉野菜炒めとの絡み具合も絶妙だし」

店の名前は「ドスルク」中央アジアの味や羊肉に興味のある人は、新宿駅周辺を探し回って見つけてくれ!!

 

証拠写真

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