例え暴食の末オレという果実が過熟ゆえに堕つとしても、その運命嬉々として受け入れよう・・・・・・
地獄の鬼も喰らってやるゼ!!

 

「山奥の屋台にイノシシ食べまくりに行かないか」
1999年秋深き紅葉の季節。肉弾頭を誘って、ブルースは奥秩父へ向かった。

最盛期には僅かに早いが、燃えさかる山々を縫って車を進めるブルースたち。すでに数時間が経過、空腹は頂点に達しようとしていた。
「し、鹿だ!」なんと、ガードレール外の絶壁の上に鹿が!
「丁度いいじゃねぇか・・・モミジ狩りだゼ〜」

鹿に逃げられて更に1時間、ついに到着。しかし、
「こんな、人も通わぬ山奥に・・・」
いや、マジ驚くよ。山奥の登山道脇の広場に、ポツンと屋台だけがあるんだもの。実際、途中ですれ違う車も数えるほどだったし、人里からは数10キロ離れてるんだぜ。ホントに商売成り立ってるの?って、余計な心配しちゃうくらい。
紅葉の時期だけ出店してるそうだけど・・・

「うまぁ〜い」
そらそーだ。冷えた体に熱いシシ汁だ。しかしウマイのは確かだ。
「次、田楽行く?」「い〜ねえ、こんにゃく」
これがまた、次の瞬間から、2人ともイノシシの話をしなくなったね。
断言しよう。それが生涯最高のコンニャクであったと!!未知の歯応え、未曾有の弾力・・・そうか、コンニャクとはこのような食物であったか!

しかし、更なる発見を求め、2人はひたすら奥地へ、奥地へ。
何故か「自然村」到着。
キノコ汁、かやくご飯、焼き鳥、ソフトクリームなどを食す。うまかった。

「いや〜満腹だね」「うぃ〜食いすぎかね」
しかし、心の空虚が完全に埋められていないことに、2人とも気づいてしまっている。シシ汁は確かにうまかったが、ダシにつかったシシ肉のこまぎれを食っただけで、イノシシを食べまくったといえるのか?
いいや、否!断じて否!
「そーいや、来る途中に“イノシシ亭”ってのがあったな」「腹は平気だろうな?」「ようし、イノシシ亭にGO!」

まるで民家のような造りのイノシシ亭。よくぞ見つかったものだ。
しかし、完全予約制の店に飛び込みで入ってしまったとは!
泣いて頼むと30分待てば片付けてくれるという。おばちゃん、サンキュー!!

5000円のコースを頼んで通されたのは完全個室。ちょいとビビリ入りますな。
「5000円って基本料金だけだったりして」いや、とにかく食べまくるしかない。
ワイングラスに涼やかな薄紅色の・・・「ふふ、トマト果肉のゼリーよせか・・・考えやがるゼ」
うう!このタレのコクは・・・「ウニが隠し味か!なるほど」
すでに見えない料理人との闘いを始めているブルース。和食の技巧に酔う30分間である。

そのあとのイノシシ鍋はうまかった。野性味ある固い肉だが、噛めば噛むほど味がでる。やるぜ、イノシシ。
もう、思い残すことは・・・なにもねぇ。さぁ帰るか。・・・と、
「お客さん、まだお餅とうどんがありますよ!」
え!?ボクたち今日、シシ汁とみそ田楽と焼き餅と串いもとキノコ汁とかやくご飯と焼き鳥とソフトクリームと凄い種類のオードブルとイノシシ鍋食べたんですけど・・・この店入ったとき、すでに腹がはってたんですけど・・・
『ブルースよ!!お前達はこの店に入るべきではなかった・・・もう一度言おう。お前達はこの店に入るべきではなかった!!』

ブルース、鍋の残り汁で、うどんで玉砕。肉弾頭、なんとか2人分の餅を平らげる。・・・残すともったいないからね。
まぁ、しかし、値段のワリには出し惜しみをせず、味に妥協せぬよい店であった。つーか純粋にうまかったよ。

肉弾頭「うー、もう喰えねぇ〜」
ブルース「同感だ。イノシシ、コンニャク、キノコ・・・喰えるだけの奥秩父を食べまくったからな」
肉弾頭「奥秩父でうまいものはすべて食べまくった気がするね」
ブルース「う〜ん、あとは、ここらへん、ソバがうまいんだよな」
肉弾頭「・・・・・・ソバなら、まだ入りそうな気がする・・・」
ブルース「ドフゥ」

 

証拠写真

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