韓国数え歌にここまでつきあってくれてありがとう。
ココまで読んでいただいた諸君になら、俺たちの次の目的地がもうお解りのことと思う。
そう、当然だ。あの秘密が気になって気になって仕方が無いはずだ。
俺も、そうだ。気になって仕方が無いさ!!
三軒並びの一番奥の店はどんな味なんだ!?


韓国料理シリーズ。俺は、この三軒を喰い尽くして終わりにしたいと思う。そして、仲間も承知してくれた。
俺たちの死に場所はこの階段を降りた細い路地の上にある・・・と。
ここで最後まで食べまくって、食べまくって死ぬのならいいじゃないか。その運命、嬉々として受け容れよう。
地獄の鬼まで喰らってやるぜ!!

俺とブルースとすの字は堅く誓い合った。
いま、3つの心は1つとなった。
いくぜ!闘いだ!!

「今晩は。あの、ここ、韓国料理店ですよね」
「ここは日本料理屋ですよ」



劇     終





あっけない・・・・・あっけなさすぎる。
数ヶ月掛けた俺たちの旅はここに終着駅を迎えたのだった。
いやあ、馬鹿だよね。何ヶ月かでここの前は何度も通りかかって、覗いているのに、一度も何のお店かチェックしていなかったなんて。
だって、思うじゃん?2軒並んで韓国料理なら、その奥も同じだって。
まあ、いい。抑え切れぬ韓国料理への渇望も、この職安通りを流していれば適当に満たされることだろう。

「おい!」
え?なに?
「手打ちうどんだってよ」
今日はいいよ、和食は。
「違うよ、ホラ。韓国手打ちうどんだってばよ」

ワリと面白そうな看板につられて、入店。ま、話題くらいにはなるだろう。
店はビルの地下1階。
やっぱり、日本語のあやしいおばちゃんが厨房に。
日本語の判る店員さんはいないのかな・・・・・
そのとき、グラサンのナイスガイが!
「いらっしゃいませ」
お茶とメニューを運んできたアニキは、手馴れた仕草でグラサンを外すと、爽やかに笑った。
決まっている!
否、決まりすぎている!!
以降、追加注文で呼び止める度に、何故か毎度毎度格好よくグラサンを外す仕草も、ちっとも嫌味に感じない。険もない正統派の二枚目。所謂、戦隊物のレッド役がしっくりくる爽やかなアニキなのだ。
こんな、アニキの給仕してくれる店で、俺たちは喰った。




いろいろ、喰ったが、まずは豚三枚肉の焼肉。
ニンニクと一緒に焼く、豚の脂の匂い。
たまらないネエ。
野菜やなんかと巻いて、コチュジャンとかつけて好き放題にいただきましたよ。
ま、これは当り前のように旨い。




そして、真打ち手打ちうどん。
鶏!鶏スープを胡椒とネギを薬味にいただくスープ。
そして、麺はシコシコの弾力手打ち麺。
うどんはかつお節+醤油の関東風か、こんぶ+塩の関西風かよく議論が成されるワケだが、ここでその解答を断定しよう!!
鶏だよ!鶏!



暫らくして、俺とブルースはたまたま新宿を歩いていた時、言葉にしたことがある。
あれ、夢ではなかったかと。
あの、アニキの存在。そして、鶏すぎるうどん。地下の店構え。
なんだか、現実感の薄い体験だったのだ。
ただ、舌と胃袋だけが鮮明な記憶を留めている。
「行くか?」
「ああ」
記録さえ留めていなかった。だから、デジカメを持っている今日、記録の撮り直しといこうじゃないか。
とは、いいわけであろう。俺たちは、要するにもう一度たべまくりたかったのだから。

店は、あった。アニキはいた。
以前のまま。
ただ1つ違うのは、日韓共同開催のアレがテレビに映ってて、アニキが気もそぞろだったことくらいか。

前回と違う注文の1つ、春雨サラダ。
サラダと言うより炒めた感じ。これが、意外とコクがあって旨い。やはり、韓国食だ。


そして、そして、最後はうどんで締め!とかいう段階になって、目に入ってしまったメニュー。
その名も「モミナビビンバ」
なんぞや?
いや、ならば喰うしかあるまい。



これ。
ニラキムチ、海苔などの食材に加えて、上にドッデンと目玉焼きが鎮座する、これが必殺モミナビビンバ!!
ユッケビビンバのタマゴは生である。
石焼きビビンバのタマゴはスクランブル状に火が通り切る。
しかして、タマゴの味が一番濃厚に出るのは半熟ではないか?それも、黄身と白身が混ざらずにそれぞれの味が濃厚に残された状態。それが俺の見解だった。

そこへこの、トロ〜リ感!!
旨い!旨すぎる!何杯でも入るぜ!腹なんか張り裂けろ!!



でも、最後にはキッチリうどんで締め。
もはや、これを喰わないと落ちつけなくなっているようだ。


以上3店が俺たちの心に残った韓国料理店。
もちろん、この近辺には俺たちのまだ知らぬうんまい店は、掘り出されぬダイヤの鉱脈の如く眠っていることだろう。
が、それを踏まえた上での中間報告としてこの項はお読みいただきたい。
満足せず、いつまでも挑み続ける。
またいつか、韓国数え歌四以降でお目にかかりたいものだ。

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