「ア、アオザイじゃねェ〜〜ッッッ!!!」
天よ!地よ!花よ!星よ!ブルースの哀しみを誰ぞ知ろう!
その夢を、純情を・・・・・・誰が判ってやれるというのだ?
俺には・・・俺達には、コレほどの絶望へ慰めの言葉なんてあるワケがない。
つーか、
判りたくもないし、慰めるつもりもない。だって、
「いやさ、アオザイ着てなくてもあの娘やっぱり可愛いよね」
と、1分後には立ち直っているのだ、ヤツは。
まぁ、確かに可愛いが。
ベトナム人らしい、童顔の女の子なので、それもうブルースのストライクゾーンだろうし。 すの字も同意してくれました。ええ。
さて、お食事です。

早い話、豚の冷しゃぶなんだけど、特有の甘い酸っぱさが、野菜のシャキシャキ感と、こうなんというか渾然一体ってーか、とにかく香菜がどっさり乗ってて、フワ〜ンつーか、こう、アレなんですよ。 ここはガツガツいくところでしょう。

ンで、ココでビーフン番長ブルースの面目躍如たる、ベトナムビーフンの登場だッッ!! ワオ!!
そしてその実力は・・・・・・
いや、基本的にはふつうのビーフンなんですけどね。
ただ、エビのプリ感がやはり違う。ベトナム料理の最大のキモは、このエビ使いにあると俺は思ってるんだけど、皆さん、どーでしょう?
調味料にしたり、歯応えを主眼にプリプリにしたり、甘味を主眼に掏ったり叩いたり・・・
ベトナム料理道の始祖は、おそらく極度のエビ好きなであったろうな、と思わせるにやぶさかではない、思い入れようだ。
「俺はエビへの愛にに殉じるタメに、女色を絶つ!!」とか言いきって、そのせいで後継ぎができず、4人の高弟の間で後継者争いが起きたりして、それがベトナム料理道の発展をを50年遅らす結果になったりして・・・

なーんて、馬鹿なことを考えておったら、ここで第1の山が来てしまいました。
エビ団子です。
「コレはお勧めだぜ」とブルースとすの字が珍しく声を揃えていうのです。
見てください、この色艶。皮モッチモチの、中身はプーリプリです。
噛むほどに味が出るのです。
まだ感触が口の中に甦るのです。もう2ヶ月は前のコトなのに。
こんな隠しダマがあるとは・・・やはり侮れぬわ、このソンフォン!!

ココで、いつのまにか雪が降り出していた。もう、春なのに・・・・・・
「くくく、天も泣いてやがるゼ!アオザイの見られない俺のタメに・・・天が涙したァ!」
ブルースよ、お前って・・・
シソ(あるいはそれに似た葉っぱ)で肉包んで揚げてナッツまぶした料理。
こんな解説ももどかしい。
写真を見て欲しい。すでに盛りつけの状態ではないだろう?
もう、この辺りからは写真撮ることなんか忘れ初めているのだ、俺は!
まず箸をつけている時に「おい、写真は?」とか言われてようやく気がつくのだ。
「おいおい、コイツ自分の役割を忘れてるよ」
違うだろ!俺の目的は、写真撮ることでもなくて、記録を上げることでもなくて、喰うコトなんだから、コレでいいんだよ!

そして、いよいよスープですよ、麺ですよ。
俺の腹がかかってますよ。

コレ。
いいすね。トリスープですよ。
うう〜ん、ウマイ。
ただ、ダシの濃厚さで、ドンーアのが上でしょうか。
フォーについては、一応、そういう軍配で。
命拾い。

おおッ!この紅いのは唐辛子!?
辛味が苦手なブルースが身構えるが、
「コレ、トマト味だよ」とすの字。
おお、確かに。不思議不思議。なんかイタリアンっぽいよ。このトマトの酸味はこういう料理にも合うものなのね。
勉強になった。

真打は最後にやってくる!! なるほど、ブルースの余裕はここにあったのかァ!!
「フフ、ココよちウマイベトナム料理は確かにあるかも知れん。だがな、ここよりウマイバナナはねーぜッッ!!」
焼きバナナだッッ!説明不要!
・・・・・・では不親切なので、敢えて説明しますが、
まずこれ、“焼き”つーより“揚げ”ですな。
さっくりフリッター風の衣に、中はトローリ完熟バナナ。
でも、なんかバナナ自体違うカンジ。
輸入してるのかも?
とにかく、俺が今までに喰ったバナナの中で一番美味しかったのは確かだ。
ソンフォンの最高料理も、問題なくこの焼きバナナに決定!
いいぞ、バナナ!!
アオザイよりバナナ!!!

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