またまた、回想になることをお許し願いたい。

2年前の肉とブルの2人旅。既にご存知の通り、最高の経験は雲南にあることは間違いないのだが、ほかにも忘れ難い宝石のような思い出は、胸の宝箱を覗けばいくつでも転がっているのだ。
その一つに、「おばちゃんの水餃子」と我々が呼ぶ事件があった。

朝から5時間ほどもぶっ続けで台北市街をうろつきまわった2人は、腹を空かして「ええい、どこでもいいや!」とばかりに店に入った。
大通りから横道に一本入った路地の、道路に半分はみ出したコンロで餃子を茹でたり湯(タン)を煮出したりしている店である。
よーするに、市街地を1ブロック歩けば必ず1軒はあるようなオーソドックスな店だ。
魯肉飯と湯を2つづつ、そして、一皿10個と書いてあったので、水餃子は2人で一皿を頼み、俺達は席に着いた。
飯はすぐ来る。早い早い。
アレレ!??
飯も湯も、そして水餃子までもが2つづつ来たのだ。
「おばちゃ〜ん、これ一人前しか頼んでないよ」
「いーの、いーの、サービスだから」
と、日本語と北京語で会話する我々。いや、何故か意思の疎通は取れてるんだって。
でも、いいのか?1品15元とか20元の店ですぞ!
こんな気前が良くて儲けは出るのですかッッ??
1元=3.5円くらいでした。当時。
魯肉飯・・・早い話がそぼろご飯をかっ込む俺ら。濃いイ味のひき肉が飯に合う〜
湯・・・香菜がたっぷり入った、微かに魚のダシが効いた鶏スープ!俺はこれで香菜の決定的はファンになったのだが、おや、具のだんご、これは白身魚のすり身ですね。これが淡い魚ダシの風味を出しているのかな・・・・・・ガブリと齧ったら吃驚仰天
中から肉の味が〜〜
あー、驚かされた。素敵な吃驚だ。
そして水餃子がまた、ウマイ。バカみたいな紹介でもうしわけないが、ウマイからウマイというしかない。
皮がツルンと弾力があって、噛むとブジュウと肉汁が、そしてプルンプルンと歯の中で遊んで、舌の根から食道まで滑り落ちていく感触が・・・とか書いたって、ナンのコトだか判らないでしょう?
そしたら、湯気を上げる可愛い水餃子を皿に一個置いていくおばちゃん。
「茹で立て、おいしいよ」
おばちゃーん!サイコーだよッ!

ところがッッ!返す刀で湯の器を持ってかれてしまったのだ!
待て!待ってくれ!!まだ一口残ってるんだよ!!!最後まで舐め取りたいくらい気に入ったンだよ、アンタの湯が!!!!待ってくれよ〜〜
「人間に、あんな情けない顔ができるモンとは、初めて知ったよ」ブルース後日談
とまで言われる程の顔を、俺はしていたらしい。(自覚なし)

10秒後、おばちゃんはなみなみと湯を注ぎなおした器を両手に戻って来たのだった。
「10年付き合ったが、あんな嬉しそうなお前は初めて見た」ブルース後日談
もちろん自覚なし

もちろんお代は、最初に頼んだ値段の通り。確か110〜120元くらいだったと思う。2人分で。

回想終わり。
で、一人だから重く喰えないし、いい機会だからもう一度言ってみようかな。
俺のもう一つの心の故郷、おばちゃんの店に。

2年ぶりのおばちゃんの店!

戻る