「む!?」
もちろん、止めはしゃぶしゃぶ麺だ!そんなことは最初っから決めている。2年前から決まっているコトだ。
肉弾頭とブルースにとっては、そのために再び台北を訪れたと言っても過言ではない。
だから、メニューを見て迷うなんてことは、200%ありえないハズだったが・・・・・・
過橋米線
過橋人工蛋麺
なんと、なんと、メニューには2つのしゃぶしゃぶ麺が!
ビーフンと、たまご麺。もはや胃の容量に限りの見えた俺達にとって、それは崖っぷちの2者択一。
踏み外せば・・・死、あるのみッッ!!

・・・・・・みなさんは真田昌幸をご存知だろうか?
武田信玄の家臣として川中島に戦い、武田家滅亡の後には徳川家家臣となりながらも造反、篭城の末に徳川三河軍団を撃退までした猛将が、天下分け目、関ヶ原の戦いに際して用いた不敗の戦略があった。
昌幸自身と次男幸村は西軍石田方につきながらも、長男信之には東軍徳川方に味方させたのだ!!
東西どちらが勝とうとも、真田家は決して滅びることはない。
昌幸を二股膏薬と罵る武将もあった。しかし、真田に限らず、前田、鍋島、九鬼などもその戦略をとっていたし、なによりも信之の真田家が明治まで命脈を保ったことが、昌幸の判断の正しかったことを証明しているのだ。
そうだ・・・なにもみんなで死ぬことはない。ダメならダメで、分けあえばいいだけのことじゃねえか・・・なんにも恥ずかしいことはねェ
「じゃあ、この過橋米線を2つとォ・・・」
「ダメダメダメ!5人ともこっちの過橋人工蛋麺にしなさい。絶対にこっちの方がおいしいよ」
おいおい、
止めるくらいなら最初っからメニューに載せるんじゃあ・・・
いや、お姉さんの目は信念に輝いていた!一見の客にも確実に一番ウマイものを喰って帰らせようという揺るぎなき信念がそこにはあった。
たとえ明治まで生き延びようとも、信之真田家を知るものがどれだけいるというのか?
豊臣家臣団最強最後の武将として、度重なる家康の誘いも断って闘い続けた真田幸村。家康の肝を冷やした唯一の男、幸村。
その苛烈なまでの生き様こそが、真田の名を永遠のものにしたんじゃないのか?
いいとも、死ねと言うなら死んでやろうじゃねえか!!だがな、俺たちはただじゃ死なねえ。同じ死ぬなら、俺達は・・・
喰って、死ぬ
「と、いうわけで過橋人工蛋麺を5つ下さい」

まずは鶏のスープ。
「き・・・記憶よりも澄んでいるッッ!!」
肉とブルの脳髄に衝撃が走った!記憶していたよりも遥に透き通った湯。
写真だと照り返しでちょっと判り難いが、器の底までハッキリ見える透明な湯。
それでいて、濃厚なる鶏の香りはそのままなのだ。

これが豚極薄切りの入場した瞬間だッッ!!
白濁した豚エキスゾーンがジワリジワリと器の中に広がっていくのだ!
ここでお断りしておく。このあと、写真はどんどん酷くなっていくが、これは肉弾頭の未熟さと、それ以上に「早く喰いてェンだよ」という焦燥感の表れであることを、予めご承知おきいただきたい。

具。ネギ、湯葉、青菜。

たまご麺も入って、完成!!
さあ、喰うぞ!
ウマイ!!
記憶の中で美化されたハズの2年前の味。
なんと、それの倍はウマイ。
スープの旨さは当り前。体中に広がるこの味わい。
しかし、麺の喉ごしの快感はどうだ、これは!?おい!!どうなんだ!?
平べったい縮れ麺のスルスルのツルツルが喉の内壁を擦りながら滑り落ちていく快感はどうなんだってば!
オマケにその極限の食感のBGMは、口中に広がる鶏豚のハーモニーなのだゼ。
オイオイオイオイ!

「まさか初日にクライマックスを迎えてしまうとはな・・・」とブルース。
「これで、台北に来た目的は果たしたな」と肉弾頭。
「明朝帰ることになっても、別に悔しくないな、もう」
5人は2泊3日の初日に燃え尽きてしまった。
闘いはこれからなのだぞ!!大丈夫か?食べまくりバカどもよ!

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