椰子の殻に注がれた白濁したお酒。椰子から作ったヤシ酒です。
本日は、西アフリカ料理店「アフリカ大陸」にお邪魔しています。







辺境シリーズと銘打って、前回は北アフリカ、チュニジアの辺りのお料理をいただいたわけですが、そこでは地中海世界の辺境としての薫り高い、洗練されたお料理をいただけました。
では、我々が思うようなもっともっと“アフリカ”な料理はどんなものか?
いつもどおりの案内人ブルース、記録者肉弾頭に加え、すの字、ナツカの4名による食べまくり。まぁ、記録には食い物しか出てきませんが。

ちなみに、表題はハンニバルのカルタゴ軍を打ち破り、「アフリカの覇者」の称号を与えられた、スキッピオ・アフリカヌスからいただきました。
チュニジア料理の次の回だということで。
さて、そのスキッピオですら入ったことの無いアフリカ大陸の奥深く分け入ってみましょう。




ペペ

ずばり言って、モツ煮です。いろいろな内臓が煮込まれています。
結構辛いですが、スープにもコクがあって、本当にモツの味噌煮込み、な感じ。
懐かしいなァ。ウチは昔ッからモツ煮込みの多い家庭でした。
結局聞きそびれた。あのスープのもとはなんなのかと。まぁ、いずれ行く機会もありましょう。
とか言って、チェックしてた店が潰れてるのよく見つけるんですよね、最近。



サモサ

サモサはもさもさ。
揚げ餃子なんですが、中の具はイモ。舌触りは少しもさもさ。パリパリした皮と相まって、面白い食感です。
中央のタレは酸っぱ辛いよ。言わばチリソース。この辺りは熱帯で、冷蔵庫のない家庭が多いため、殺菌のために辛、酸が味付けの基本になっているとのこと。


モイモイ

モイモイで萌え萌え。
メニュー見て、おかしな人が騒ぎ出しました。
ちなみに、萌えるとは、草木が若芽などを付けること。転じて自然と湧き上がる想い、などを指します。最近特定の使われ方ばかりなのでとりあえず説明。
閑話休題。
で、これはびっくり、さっくりとした粒々の食感ありながらももちっとした塊感。
豆のプディングだそうです。
中にはゆでたまごも入って、ボリューム感も言うこと無しでした。


ヨケタタレ

バナナ料理の登場で、またまた熱帯っぽさが出てきましたよ。
料理に使うのは熟しきっていない青バナナ。
しかし、バナナを練りこんだホットケーキはほんのり甘くておいしいです。
豆をトマトで煮込んだソースはピリからで、それがバナナの甘みを引き立てているのかもしれません。
モイモイ、ヨケタタレはお菓子っぽい食べ応えのものをしっかりしたおかずに引き上げていて、食べていてワクワクします。
素朴でいながら洗練された技巧の感じられる料理です。




スイヤ

カリカリに焼き上げた牛(上)と羊(下)
表面は本当に揚げたかのような見事なカリカリ感。少し辛目のパテをつけていただきます。
このパテが、かなりコクがあるのですが、それでもさっぱりしていて肉の味を引き立てます。
単体でも普通にうまい肉を。
聞いてみると、エビと干魚を砕いて練ったものだとのこと。
これも熱帯の知恵。魚はほとんど干魚にしておくそうです。
干物故の濃厚な旨味を利用するテクニックは中華料理など、いたるところにありますが、最初は保存のための知恵から来た怪我の功名なのでしょうね。
また、このメニューでおっと思ったのが、肉と魚を一緒に食べる、という発想。ダシとしては肉と魚を同居させることは多いですが、一緒に料理することって結構少なくありませんか?
それをさらに顕著にしたのが次の料理です。



オボノ

肉、野菜、魚を煮込んだ餡。
これはもうはっきりと、干魚と肉が塊で煮込まれています。
最初はびっくりしますが、別に不協和は感じません。
これを、かけて食べます。餡ですから。


オボノをかけるのはコレ、エヴァ。
モチです。食感モッチモチ。
微かに酸っぱくこなれた粘りがあるのは、なんとこれ、発酵食品だそうです。
キャッサバのでんぷんを練り固めて発酵させているとのこと。
なるほど。道理で川崎名物久寿餅を思い出す歯応えです。アレも発酵したでんぷんだものな。
とにかく、この粒々感、さらにその粒々の粘り感の複合は新しい経験です。是非一度体験することをお勧めします。


ヤサ
この後2品は飯です。
シメにがっつり食べまくるわよ〜〜
ヤサは酸っぱく煮込んだチキンとタマネギのスープをご飯にかけてがつがついただきます。
言わばぶっかけ飯。カレーライスのような家庭料理。
煮込まれた肉汁と飯のボリューム感。
しかし、このあとに同じような料理が控えています。


マフェとクスクス
ヤサとともにセネガルの代表的な家庭料理とのこと。
やっぱり、アフリカ料理と言うならクスクスを食べないとその気になりません。
締めの締めはやっぱりクスクス。
セモリナ粉を粒々にまとめた原始的なパスタ。粉のようであり、米のようであり、その上パスタ。とにかく吸水性が高いのでスープのぶっかけには最高の主食なのです。
マフェは、ピーナッツ味のごった煮。牛肉とか野菜とかいっぱい入ったものをピーナッツペーストで味付けしてあります。
もう理屈はヌキです。ガツガツ行きましょう。
なんと言ってもクスクスです。


というわけでご馳走様でした。
やっぱり違う文化圏と感じさせる初めての食感、味わいが次々と。辺境の向こう側、新世界に出会いましたよ。
同じ材料でも、違う前提で調理すれば違う味になります。それでも、家庭料理の元の発想は同じ。
おいしく飽きずにお腹いっぱい。
とっても家庭料理感いっぱいのアフリカ大陸。お店のムードもアットホームでとっても幸せなひと時でした。


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