そも、サリサリとは如何に!?





2005年9月13日、地元川崎にてかねてより目をつけていたフィリピン料理店を職場の同僚を誘って食べに行く。
川崎はフィリピン人の出稼ぎが多い。(いろいろと)
店も、3店ほど確認できた。これだけあれば一店くらいは入れるだろう、と大きな気持ちで。
「SARISARI RESTRANT」?なんだろう、このサリサリってと思いながら入店したが、そこはスーパーマーケットにしか見えない。
外国語のラベルの缶詰やトロピカルっぽい果物、袋詰め、雑貨、剥き出しのヴィデオテープ等々。
いや、もう判ってはいるのだ。これは出稼ぎフィリピン人のための マーケット。ビデオテープはさしずめフィリピンのテレビ番組直輸入であろうか、と。
中には、店の一角に無造作に、テーブルどん、とおいてあるところもあったが。ことによったらそこで軽く飯でもつまめるのが「レストラン」の由来なのかとも思ったが、
もはやそこで食べるだけの高揚感もなければ、逆にそれだけで夕飯済まそうと言う諦めもなかった。
「中国北方朝鮮辺縁部の郷土料理」という店で羊串や狗肉を喰って帰ったのだった。

捨てる神あれば拾う神あり。
13日の徒然肉を見て、ブルースが赤羽にフィリピン料理店を見つけてくれた。
早速行く。喜び勇んで行く。
ネットで、料理メニューとかも調べてから行ったから心配なし。

・・・・・・開いていない。
看板の電話番号に電話しても「お客様の都合により現在使用されておりません」


と、15日の徒然肉にある。
2日後にリベンジをして、そして無残にも打ち破られたのだ、俺は!
そう、あの日、香港小皿料理の店があまりにも旨かったので忘れたつもりだった屈辱が、しかし、喉奥のとげのように密かに心を突き刺していたのだった。
そして半年後…

2006年2月19日
東武東上線ふじみ野駅近くで車を降りた俺とブルース。
特に目的はない。軽く飯でも喰って帰るか、ということだったが、

「さて、どこで喰うか。ちょっと歩いて探すか」
「おお、まぶしいな、アレ。なんだ、アレ」
「あ、フィリピンの国旗だな。そんなことより、ちょっと歩いて探すか」
「ああ、そうだな。歩いて……違う!!フィリピンだよ!!あんなに焦がれたフィリピンが目の前にあるぞ!!」
「…………あ、」

間違いない。夜目にも眩しい、赤青白のフィリピントリコロール。
そう、ここはフィリピン料理店。
店外のショーケースにあるメニューからも、ココがただのマーケットでないことは一目瞭然だ。


(上の写真クリックすると更に大きくなります。)
さて、いつまでもトランペットを欲しがるブロンクスの子供のように窓に顔を貼り付けておくわけにも行くまい。
ご入店。偉大なる一歩をついにフィリピン料理店に印す時が・・・
「あ・・日曜日は・・」
俺らの顔を見るなり、店のお姉さんが困ったような顔をする。まさか、またか?またなんかあるのか!?
「・・バイキングしかやってないよ」
ああ、やってはいるのか。フリードリンクに食べ放題で1500円とのこと。
味見としてはいろいろ取れるバイキングのほうが帰ってありがたいと言うもの。第一飲み物付いて1500円は安いだろ。
当然食べることに・・・
「でも、フィリピン料理しかナイヨ。日本人のお客さんの口に合うかワカラナイヨ」
ええい、フィリピン料理店でフィリピン料理しかでないのは当たり前!
少し悲しくなった。フィリピン料理しかないじゃないか、と文句言う日本人がいたのだろうか?
まぁ、いい。それでも俺たちは
「大丈夫です」

そして、ワンプレートに盛り付けた料理がコレだ。

右下の黒いの。
これ、モツの煮込み。微かな酸味が食欲を盛り立てる。かなり油っこいはずなのに、モリモリ口に、胃に入っていく。
その隣の肉みたいなの。そのまま肉です。豚と鶏が一遍に微かに甘く、くっきりと酸っぱく煮られている。豚は三枚鶏は骨付き。濃くてクドくて、それでも口当たり良すぎ。
モツ煮の上、肉とか野菜とか豆とか、ちょいピリからで煮たやつ。煮たのばっかりだな。バイキングには都合がいいんでしょう。
やっぱりちょっと酸味。飯に乗っけてそのままスプーンでもりもり喰うのに最高。
左上。挽肉焼いたやつ。多分ゆでたまご入り。
これはかなり単独で甘い。
でも、いろんな香辛料が入っていて、歯応えも固くきゅっと締まっていて飽きない味。

解ると思うけど、主人公は白いご飯。でっかいお釜で炊かれたごく普通のご飯を勝手にしゃもじでよそっただけだが、1の力を10にも100にも。
このおかずども、ご飯がなければガツガツ喰えねえ。しかし、
ご飯があればどこまででも食べられる!!
フィリピンもまた、お米の国であったか。
いつかまた、こんどは日曜日以外、アラカルトでフィリピン料理の精髄を味わってからこのレビューは書き足され完成することとなろう。
だが、今は、ご飯でもりもり食べる家庭料理、フィリピンの常食に感動した俺たちのハートを伝えることで締めたいと思う。

アイシャルリターン。

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