路線価発表 

8月4日に国税庁より2000年分の路線価が発表された。今回は全国平均で7%の下落となり、これで平成4年をピーク(公示地価は平成3年がピークで平成4年は逆に下落している。これはその年路線価の水準を大幅に引上げたためピークがずれたもの)に8年連続の下落となった。都道府県別の平均では大阪府は10.9%の下落となり、千葉県の11.9%に次ぐ下落率になった。東京都の下落率は5.8%と落ち着いているのに比べると大阪の地価はなかなか下げ止まらない。

 

路線価は、その名のとおり各道路に設定された土地の価額(1u当り)で、その接する土地の面積を乗ずることによって相続税や贈与税の算定の基礎となる土地の相続税評価額が算定される。国税庁が毎年8月にその年の1月1日現在の路線価を公表する。

 

ここで日本の地価を整理しておくと、@実勢地価(実際の取引価額)、A公示地価(国土庁が毎年3月に公表する土地の標準価額)、B路線価(上記のとおり)、C固定資産税評価額(市町村が土地所有者に毎年4月頃明示する固定資産税の算定の基礎となる土地の価額)があり、一物四価を形成している。BとCはいずれもAを基準に算定され、それぞれAの8割・7割の水準となる。だから、ABCのいずれかの地価がわかれば他の地価(実際には権利調整とか複雑な計算を要するが更地ベースでのおおよその価額)が推測できる。例えば、C固定資産税評価額が1000万円だとすると、B路線価は1000万円×0.8/0.7で1140万円位になる、という具合に。

 

相続税の計算上、路線価を使用するのが原則であるが、実勢地価が急激に下落している場合や形状が悪い土地、雑種地などは路線価の方が実勢地価を上回るいわゆる逆転現状もあるので、時価(鑑定評価)を相続税評価額として算定しても認められることもある。平成3年から平成10年までの間に路線価によらない相続税の申告が約4200件あったのに対し、約2500件(約60%)が認められている。私も相続税の申告時に鑑定評価(路線価の1/2以下)で申告し、大幅な節税が認められたこともあった。

 

地価が下落するということは、事業用地であればその土地の収益性が低いということがいえる。東京は今IT(情報技術)ブームでオフィス需要が旺盛なため地価も下げ止まりを見せているようだ。大阪は逆にリストラなどで事業所を縮小するなどの影響が大きく、上記のように地価の下落率も高い。それに、大阪は東京に比べると今急成長しているIT関連(特に非製造業)に関しては相当遅れているように思う。先日ある大阪出身のIT関連(非製造業)会社の社長が「大阪ではあまり商売にならないので、今後は東京に拠点をシフトしていく」と言っていた。私もその話を直接聞いて自分が感じていたことを裏づけるようでショックをうけたが、これは、そもそも大阪人の情報やサービスに対する価値観(需要の低さ)をも反映しているのではないかとも思う。

 

ところで、夏の高校野球では智弁和歌山が圧倒的な打撃力で全国制覇した。また今大会は逆転の勝利が目立ち、「最後まであきらめない」という姿勢に心を打たれた。その決勝戦では関西と関東の対決となり、関西が見事勝ってセンバツの雪辱を果たした(いずれも相手は東海大系)。一方、プロ野球やIT関連では関西が劣勢している。今年のプロ野球はすでにあきらめざるおえない状況(「トンネルを抜けるとそこは最下位だった」と言っている場合ではないよ、ノムさん)だが、ビジネスにおいてはぜひとも高校野球にあやかり関西勢の逆転を期待したいものである。