携帯電話

 

最近電車内で携帯電話の電源を切るようさかんに呼びかけている。ちょっと前までは「通話はご遠慮下さい」だった。そのかいあって電車内での通話がかなり減ってきたなあと思っていた。代わりに若い人を中心に携帯電話の画面を見ながら親指をこまめに動かす「メール交換」が目立って多くなった。電車での「通話禁止令」がメール交換(iモードなど)の普及を後押ししたようにも思う。それがこの10月位から、心臓ペースメーカーに影響(22p以上離せば影響はないとのこと)がでるので「メール交換も遠慮ください」となった。東京のある私鉄では、携帯電話の使用できる車両と使用禁止の車両を分けている。たばこでいうと禁煙車と喫煙車みたいなもので、これはいいアイデアなので関西でもぜひ採用してほしいと思う。

 

ちょっとデータが古いが平成11年版通信白書によると、携帯電話(PHS除く)の保有割合は男性50%、女性30%。年代別では20代が60%、30〜40代は40%が保有している。また携帯電話の主な利用場所としては保有割合の多い40代以下では移動中(駅構内・乗物内等)が最も多い。私も移動しながら利用できるというのが携帯電話の最大のメリットだと思う。一方、15〜20代(一人ぐらしでない)の若年層では自分の部屋で利用というのも相当あった。親に内緒で会話をするこの年代の特徴が表れている。

 

携帯電話がこれだけ普及したのは通信の自由化により、通信料や端末の価格が手頃になったことと、小型・高性能化と共に音声の伝達以外のメールをはじめとするインターネット端末としての利用が拡大したからだ。現にある調査によるとインターネットの利用機器としてはパソコンが約90%に対して携帯電話も約35%(いずれも複数回答有)を占めている。

 

思えば、10年程前NTTが出した重さ2kg程の移動電話(携帯とはとても呼べない)を歩きながら通話していたときはもの珍しさからか皆が振り向いたものだった。それからすぐに通信の自由化により、外資系のセルラーが折りたたみ式の私が知る限り携帯電話の先駆けと思われる端末を世に送りだした。その頃から、営業職を中心に普及しだしたが、まだ一般庶民には端末・通話料共高くてとても手の届くものではなかった。携帯電話があまり普及していない当時、電車内で「誰やひとりごと言っているのは」と思って振り向くと携帯電話を使っていた、ということもよくあった(携帯電話を使っているのかなと振り向くと、ひとりごとだったということもたまにあるが・・・)。いまや小学生も持っていて、更に重さ60gそこそこの端末に機能ぎっしりである。当時から考えると夢のような現実であるが。

 

先般の道路交通法改正により運転しながらの携帯電話の通話に制限が加えられた。これは、通話中の事故が増えた為である。また、病院などは医療機器に悪影響を与えることから携帯電話の使用禁止の所が多い。職場内でも携帯電話の利用制限があるところが多く、更に、映画館・劇場・図書館などもそうだ。とにかく乗物内や人の集まるところは利用が制限されると考えた方がいい。となると、使用できるのは人の少ない屋外で歩きながらか自分の部屋の中しかないのかな・・・。

 

世の中便利になればなるほど連鎖的に弊害も出てくるが、携帯電話は今急成長している情報通信産業の中核を担う分野だけに、悪影響を及ぼさない電磁波か、電磁波に影響されない機器の開発を望むところである。それと、電車内での大きな声での「通常の会話」も制限できないものか・・・。