政権交代秒読み 

森政権の支持率がついに一桁台になった。これは内閣としては末期的症状、政権交代も秒読み段階になったものといえる。先般の潜水艦衝突事件の際、第一報をゴルフ場で聞きながらゴルフを続けたことの危機意識のなさがさらに支持率低下に拍車をかけた。確かにご本人が言うようにゴルフを止めてすぐに官邸に戻ったところで大勢に影響はなかったにしても、被害者の心情を察すればゴルフをすぐに止めて官邸にすっとんで行くべきで、もしそうしていれば支持率を一時的にでも上げることができたに違いない。ある意味では正直者なのかもしれないが、無頓着もはなはだしい。 

例えば自動車の名義をBさんからAさんに無償で変更し、名義変更料はAさんが支払い、Aさんがその自動車を利用し、かつ、その維持費である自動車税やガソリン代もAさんが負担しているとしよう。これは明らかにBさんからAさんへ自動車の贈与があったとされ、Aさんに贈与税が課税される。ところが、これが自動車ではなくゴルフ会員権だと贈与にはならずに贈与税は課税されない? 確かに自動車は有形、ゴルフ会員権は「権利」という無形のものという違いはあるが、使用収益を受けているのが名義人であればその名義人が形式・実質共に所有者であるのは明らかである。 

上記のプレーを止めなかったゴルフ場の会員権は実は知人名義から森首相名義に無償で名義変更を受けたものとのことであるが、「首相には贈与税が課税されない」という法律はどこにもない。そのことが「税法上問題ない」とはよく言えたもので、開いた口がふさがらないとはこのことをいうのかもしれない。当時の時価4,000万円相当での贈与とすれば、1,974万円の贈与税になる。税務当局の公平なる税務執行に期待したい。 

外務省の元室長が政府の機密費横領疑惑で告発されたが、そもそも政府に「機密費」というものが存在することさえ多くの方がご存知なかったのではないでしょうか。これは、対外的なスパイ活動などの工作費に使われる詳細な報告書や領収書の必要のない費用であるが、これはすべて国民の税金でまかなわれている。いくら機密費とはいえ1人の職員が億単位の金額をすべて管理できたのであろうか、競走馬や愛人のマンションは国の工作費とは思えないのだが・・・。

 一方、企業(法人)において使途不明金(税務上は使途秘匿金という)があれば、その使途が明らかにできない金額に対して約半分の法人税等がペナルティとして追加で課税される。これは一般の法人税等とは別に赤字法人でも課税される。企業においても表にだせない工作費等必要なことは実際あるが、それが不正の温床になるとのことで数年前から導入された税制である。 

今はちょうど確定申告の時期です。確定申告とは、個人事業者などの1年間(暦年)の収入に対する納めるべき税金を計算する作業のことをいいます。私は立場上、真面目な納税者に対して適正な(合法的な節税を含む)申告を指導するよう心掛けていますが、この時期に上記のような不正や矛盾が発覚すると、やるせなさと腹立たしさが湧き出る思いです。新政権にはぜひ、真面目な納税者が報われるように税金の無駄のない適正な使用を期待しますが・・・。

 2001.2 西野 津