変革への期待

 

4月15日、システムアドミニストレータ(略してシスアドという)の試験を受験した。シスアドとは企業内でコンピュータを利用するユーザー的立場から情報化を進めるためのリーダー的な人材のことをいう。受験勉強はインターネットを利用した自動添削システムを利用した。問題を解きインターネットを通じて解答を送信すると瞬時に採点結果と解説が還ってくる。受験勉強は税理士試験以来のことだが、勉強スタイルも相当変わったなーとつくづく思った。又、ひさびさに仕事と受験勉強の両立という充実した日々をおくることができた。

 私にとってパソコンはもはや無くては成らないものとなっている。会計帳票の作成や申告書の作成はもちろんのこと、表計算を使ったシミュレーション、インターネットによる情報収集、メールの送受信など、私の場合デスクワークのうち80%以上はパソコンに向かっている。同業者の中には「コンピュータ会計事務所」などと名刺に刷り込んでいたり看板を掲げたりしているところもいまだにあるが、20年前なら新鮮味があったかもしれないが・・・。一方、企業にとってもパソコンは無視できない存在だ。ただ、パソコンを導入すること自体が目的ではなく、情報化・標準化・効率化の手段としてパソコンを導入する。従って、業務改善を進める上では、パソコンのハード・ソフトの知識だけではなく、通信や業務改善の手法、会計など幅広い知識が必要となる。これらの知識を広く習得するシスアドは私にとって格好の資格だと思った。

 2002年には約20年ぶりに税理士法が大改正される。中でも一番の目玉は「税理士法人制度」の創設だろう。一般の法人と比較して制限が多いものの、従来個人でしかできなかった納税申告書の作成などの税務業務が法人でも可能となる。さらに、2003年には納税申告書のインターネットによる申告が予定されている。前回の税理士法改正の1980年から現在までの間、国際化・IT化・少子高齢化など著しい経済環境の変化があったものの我々の業界は遅れていると思われる部分が多々ある。我々の業界もこの2〜3年の間に大きな変革がもたらされようとしている。今後ますます多様化するユーザーニーズに対応するため、研鑚することは宿命だと思う。

 変革の人(略して変人)、小泉首相が誕生した。今回は民意が間接的にではあるが反映された画期的な内閣だと思う。ご自身「改革断行内閣」と命名し、「構造改革なくして景気回復なし」と宣言している。自民党政権ながらインパクトのある今回の内閣は、8年前の細川内閣の時以上に大きな国民の期待があるものと思われるが、期待が大きいだけに国民の信頼を裏切った時の反動も大きくなる。選挙戦の間は具体性がないという政策だったが、これからがほんとの真価が問われる。今や待ったなしの深刻な経済状況であり、急激な構造改革に伴い、今回の人事で火種を残した党内のみならず官僚や既得権者などの相当な抵抗が予想されるだけに、有言実行で信念を貫いてほしいと私も大きな期待をしている。

2001年4月 西野 津 

 

 本書は昨年の5月に始めて今回で1周年となりました。おかげさまで、本書に対するご意見や激励のメール、お手紙も多数ちょうだいしました。また、「毎月楽しみにしている」といった声もお聞きし、大変励みとなっています。今後共継続して行きたいと思いますので、ご愛読の程よろしくお願い申し上げます。