自然とのふれあい 

私の住む岸和田市に相川(そうがわ)町というところがあります。「そうがわ」は天然のゲンジボタルが乱れ飛ぶ「ほたるの里」として有名で、毎年6月中旬から下旬にかけて「ほたるまつり」が行われます。私も近くに住んでいながらこんなところがあるとは知りませんでした。地元の新聞をみて知ったのですが、さっそく家族で行って来ました。小川のせせらぎとすぐ隣りの竹やぶで淡い光を放ちながらたくさんのホタルが乱れ飛ぶ姿は正に幻想的で、心地よい川風に吹かれながらしばし浮世を忘れさせてくれるものでした。こんな間近にこのようなすばらしい自然があるとは、いたく感動しました。子供達も初めて見る生ボタルに大変喜んでいましたので、これから毎年の恒例行事にしようと思いました。 

「そうがわ」のホタルは川の水の汚れで一時絶滅寸前に陥りましたが、地元の人が農薬を制限したり、家庭からの汚水を流さないなどの努力をしたことにより少しずつホタルが戻ってきたそうです。今では「相川町ほたると自然を守る会」を旗揚げし、町おこしの起爆剤にとホタルの保護に乗り出しているそうです。現場ではこんな立て札がありました。 

「生きているかぎり、ホタルは火を消すことができずに、逃げても逃げてもつかまえられてしまうのです。はかなく悲しい光です。ホタルの成虫は露を飲むだけのわずか一週間の命です。持って帰ってもすぐ死んでしまいます。ホタルをとらないでください。この川でホタルの命を終わらせてやってください。」   

数年前から、自宅近所の友人(私と同年代のおっさんばっかりですが)の間では「かぶと虫」や「くわがた虫」の採集がブームとなっています。私はあまり関心が無かったのですが、先日のホタル見物に刺激されたのか、無性にとりに行きたくなり、友人にくわがた虫(かぶと虫はまだ時期が早いとのこと)のいるスポットを教えてもらってある林へ行ったら、なんと、おすとめすがそれぞれ一匹ずついるではありませんか! 見つけたときは子供のように喜び、子供に「おったよー みにおいでー」と叫びました。子供も大喜びでした。今では私自身がすっかりはまってしまい、毎週のようにとりにいっています。 

バブル崩壊以降も個人の預貯金などの金融資産は一貫して増え続け、1400兆円(国民一人当り約1200万円)にまで膨らんだものが、一転2000年度末は初の減少になったそうです。「失業率最悪」「消費者物価指数過去最大の下げ幅」など景気のさらなる悪化を伝える報道がここにきて目立ってきています。しかしこれらは人間の世界であって、自然界において昆虫たちはそういうことはどこ吹く風で同じように関係なく生活しています。それはそれで人間にとっては癒される部分もあるのかもわかりませんね。今のペットブームはそういうことを反映しているのでしょう。 

大阪市内からさほど離れていない(現に私は毎日1時間くらいで通勤している)地元岸和田は、まだまだ自然がいっぱいで、子供達に自然のふれあいをさせるには、ほんとに「いいとこだなー」と思います。第一、自然とのふれあいはお金がかからないのがいいですねー。

2001年6月 西野 津