利率4%+15〜50%!? 

桜の花が開花するのではないかと思わせるほど暖かい日が続きます。我家の近所ではつくしが顔を

出し、子供たちが喜んで摘んでいます。ご承知のように、今は確定申告の真っ只中で、私ども税理

士にとっては繁忙期です。陽気は確定申告が終わったかのようですが、これからがラストスパート。

一方この時期は道路工事も急増します。深夜に仕事から帰るときに道路工事に出くわすと、「同じ

季節労働者やなー」と思うこともしばしば。

 

確定申告とは個人で事業をしている人などが前年一年分の所得、いわゆる儲けを計算し、負担すべ

き税額を確定させる作業をいいます。例年全国で約2,000万人の方が申告をしますが、その内約半

数はサラリーマンなどが医療費をたくさん支払ったり、住宅ローンを組んだりすることにより納め

すぎた税金を返してもらう還付申告です。ここ数年は不況を反映してか、この還付申告が急増して

います。また、近年は地価の下落を反映してか、自宅を売って損失が出た場合の還付申告も目立つ

ようになりました。

 

確定申告の相談会などでは少しでも税金を返してもらうために、医療費の領収書や薬局のレシートを

こつこつとためて持ってこられる方も多いのですが、金額が10万円超(所得の5%超か)でないと控除

できないので、「残念ながら控除できません」とお返しすることもあります。一方、税金のかからない

お年寄りの方が「なんぼ返ってきますかのー」と領収書を持って来られることもありますが、電卓

をたたくまでもなく、「還付申告とは・・・」と説明し、丁重にお引取りいただきます。

 

サラリ−マンの場合は、毎月給料から税金が差し引かれているのであまり負担感がないのですが、

事業者の方の場合は一時に納税することになるので、ものすごい負担感があります。なかには

「エー、こんなに払わないかんの!」「なんとかしてよ!」といわれる納税者もいらっしゃいますが、

正直その時点ではなんともならない場合が多いです。ある程度事前に税額を予測し、時間をかけて

合法的に対策を打ったり、納税資金を積み立てておくことも大事ではないでしょうか。

 

 

「利率4%+15〜50%」と聞くと、「今時そんなええ話ないわ」「どうせリスクも高いはず」と誰もが

思うことでしょう。ところが、政府系の機関が提供する一種の金融商品?でそれがあります。今話題

になっている「国民年金基金」です。国民年金基金というのは、自営業者などが加入する国民年金を

上積みする制度で、20歳以上60歳未満の国民年金の加入者であれば任意に加入できます。国民年金

基金の現在の予定利率は4%です。これだけでも驚きなのですが、この毎月の掛金が全額所得から控

除できます。つまり、税金がかからないのです。現在、個人の所得税・住民税の合計税率は15%〜50%

です。したがって、「掛金の年額×その人の所得に応じた税率分(定率減税は加味する)」だけ、税金が

この掛金を払うことによって軽減されることから、結果的にその税額軽減分の利息を得たのと同じ効果

があります。これが「+15〜50%」のカラクリです。

 

ところが、この予定利率4%がこの4月以降加入分から3%に引き下げられます。その結果、掛金が

30%上昇するとのことです。3月までに加入すれば4%が適用されることから、低金利を反映し

てか駆け込みの加入者が殺到しているそうです。私も、その一人ですが・・・。

 

その他、事業主の退職金制度として小規模の自営業者や会社の役員が加入できる「小規模企業共済」

というのも国民年金基金と同様、掛金が全額所得から控除されます。さらに、これらは受け取ると

きにも税金が軽減されるように優遇されています。これらは、いわば政府の「お墨付き」の節税対策

ですので、自営業の方などは来年の確定申告に向けて今からご検討されるのもいいのではないでしょうか。

但し、一般のサラリーマンの方は加入できませんのであしからず。

    2002年3月 西野 津