快 進 撃 

これは夢か幻か、12年ぶり、27年ぶり、46年ぶり、64年ぶり、今春の関西は大いに盛り上がって

います。8連勝の球団新記録こそなりませんでしたが、つぎつぎと塗り替えられたタイガースの開

幕連勝記録。オープン戦は2位の巨人以下を大きく引き離すぶっちぎりの首位。「オープン戦だけや」

とか、「オープン戦で力を使い果たした」との声もどこ吹く風で、「春の珍事」とは言わせないホン

モノの強さといえる勝ちっぷりです。

 

とにかく、今年のタイガースの選手は実にはつらつとプレーしているように思えます。バントなどの

小技もキチンと決め、ホームランもここというときに打つ。何といっても投手がいい。昨年と比べて

若干のメンバーの補強をしたものの、主力選手のほとんどがそのままです。指揮官が変わるとこれだ

け雰囲気も変わるものかと改めて感じました。

 

星野監督はドラゴンズの監督時代に「開幕11連勝」という偉業を成し遂げたこともありましたが、

まさかあのタイガースが開幕7連勝(しかも敵地で)するとは誰が予想したでしょうか。当然、理論派

の前監督が種をまいて下地を作っていたということもありますが、それを開花させ、選手の闘志を前

面に出させ、「闘う集団」化させたという意味ではその力量は評価されますよね。

 

選抜高校野球は、優勝候補筆頭の報徳学園が優勝しました。ベスト8に残った高校のうち7校が西日

本勢で今回は西高東低でした。春は夏に比べるともう一つ盛りあがりに欠けると言われますが、高校

野球ファンとしては、あのはつらつとしたプレーにはいつもながら感動させられます。「春風のごと

くすがすがしく、最後までがむしゃらにプレーすることを誓います。」と関西高校(岡山)の宮本主将

元気いっぱいに選手宣誓をし、自身堂々のベスト4進出を果たしました。この宣誓分を「秘書給与ピ

ンハネ」「政治資金流用」・・・疑惑、日本経済が大変なときに、スキャンダル暴露合戦をしている

政治家諸氏にぜひささげたいと思います。

 

先日発表があった公示地価は、各地で大幅の下落でした。これで11年連続です。特に大阪圏は全国

平均を上回る下落幅となっています。いつになったら底が見えるのか。地価の下落を食い止めないこ

とには不良債権問題も一向に片付かないでしょう。不良債権をいくら償却しても、新たな不良債権が

どんどん湧き出る。これでは穴の開いたバケツで水をすくうようなものです。

 

税制の抜本改革論があちこちで議論されていますが、土地は税金のかたまりですから、地価対策とし

ての税制改革を早急に打つべきです。地価の先安感が根強く残るなかで、売りが多くて買いが少ない

のですから、当然価額は下落します。譲渡の税金は売り手側のコストですから、いくら緩和しても逆

に売りが増加するだけで、とにかく買い手のコストを緩和するような税制が必要です。たとえば、取

得時のコストである不動産取得税や登録免許税の一時凍結。保有時のコストである固定資産税の新規

取得後一定の期間免除など、今は緊急時ですから相当思い切ったことをやらないと、収支バランスが

どうのとか言っている場合ではないと思います。小泉内閣発足から丸1年経とうとしていますが、当

初は星野監督と同様、救世主との期待から脅威の支持率を誇りましたが、期待先行で今は支持率低下

気味。景気がよくならないことには支持率アップはもはや考えられない状況です。

 

タイガースが優勝すると1000億円の経済効果があると試算されています。そう言えば、前回優勝の

1985年は景気浮上の年でした。関西にとってはタイガースの優勝が最高の景気対策?とは大げさかも

しれませんが、少なくとも心の糧になるのは間違いないと思います。やれば出来るんだと勇気づけら

れ、士気が高揚すれば経済の活性化にも一役買うのでは。「ほしの」と「にしの」は半字違いですの

で、この快進撃、ぜひあやかりたいですね。ところで、関西の他チームのファンの皆さんも、今年は

関西の経済効果を期待してじっとこらえてくださいネ。しかしこの快進撃、秋まで続くかはハンシン

半疑ですが・・・。

                                                      2002年4月 西野 津