政 策 減 税  

日中はまだまだ暑い日々が続きますが、朝夕涼しくなり、すがすがしい季節になりました。私ら岸和田人にとっては、そわそわする時期でもあります。プロ野球はセパ両リーグとも優勝が決まり、私のささやかな夢はかないませんでしたが、来年こそはと大いに期待しています。

 

先日、 日経平均株価がついに終値で9000円を割り込みました。実に19年ぶり。一足早く発表された全国の商業地の基準地価も下落が続き、これも19年前の水準だそうです。19年前の1983年(昭和58年)といえば私の社会人1年目です。日本はこの間に大きく経済発展を遂げ、バブル盛んな頃は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とまで叫んだものです。しかし、頂点を極めてから坂道を転げるように経済と資産価値の下落。ジェットコースターのように過ぎ去ったこの19年間は、結局振出に戻ったような複雑な思いがあります。ただ、現在と当時とでは大きく違うのは、ものがあふれていることと、高齢者が急増し、又、経済が成長過程ではなく衰退していることだと思います。よく、株式市場は6ヶ月から10ヶ月先の景気のバロメーターと言われるほど、見事に景気に連動します。一時回復しかけたかに思えた景気がまだまだ悪化するのかと思えばゾットします。

 

小泉改造内閣が不良債権処理を加速するとの思惑が株価の下落に拍車をかけたようですが、以前であればこれはプラス要因となって株価は上昇したもの。ところが、今回は不良債権処理の加速が一時的に金融機関の損失が拡大し、さらに企業の淘汰が進み、失業者が増加するとの目先のマイナス要因が大きくクローズアップされたようで、いかに市場が目先のマイナス要因に神経質になり、長い目でみる余裕がなくなっているかが読み取れます。

 

特に深刻なのは建設業界です。公共事業の縮小などで2001年度の国内建設市場は約60兆円。これは5年前より30%も減少しています。ところが、建設就業者数は5年前より5%しか減少していないとのこと。今後も公共事業はますます減少すると思われますので、供給過剰状態は解消されず、就業者数は益々減少せざるおえなくなるでしょう。

 

株式市場の回復を狙った新証券税制は、非常に複雑で超難解。せっかくの株式大型減税も株価対策どころか逆に市場から敬遠されるような状態です。個人の株式等の取得価額1000万円までの非課税措置は本年(平成14年)中の取得に限られているのに、買いが増えるどころかますます売りが増加している状態です。私自身個人的には歴史的な買いのチャンスだと思っているのですが・・・。

 

いつも思うのですが、税制でなぜもっと政策的に思い切った手を打てないのでしょうか?小出し、複雑、後手の繰り返しで、効果が半減し、さらに追加対策を強いられることになり、返って税収が減ったということの繰り返しです。年初に小泉首相が税制の抜本改革を指示し、大型の改正があるのかと思いきや、政府税制調査会(財務省の諮問機関)の議論から聞こえるのは実質増税の声ばかりで、抜本改革とは程遠い内容となっています。

 

「消費税の免税事業者をなくしすべて課税する」 「赤字企業でも人件費などの付加価値に対して事業税を課税する」 これらはいずれも株式会社や有限会社などの法人に対する税制改正の議論です。ちなみに、消費税の納税免除を受けている法人は全体の約36%もあります。これでは「今後法人化を止めなさい」「既に法人となっている企業は個人企業に変更しなさい」と言っているようなもので、経済の活性化とは明らかに逆行するものといえます。

 

小泉内閣発足から1年半で株式の時価総額は131兆円も減少しているそうです。これは、過去の

8内閣で最大の減少額で、ちなみに積極財政を打った小渕内閣は160兆円の増加だったそうです。小泉改造内閣には首相が就任当初の口癖「ゼロベース」からの政策見直しを今一度実行し、目先の税収確保にとらわれず、今は非常時なので、思い切った景気浮揚、資産デフレ対策に比重をおいた政策減税をぜひ実行してほしいものです。

2002年10月 西野 津