自分へのごほうび  

「パラサイトシングル」という言葉をご存知でしょうか?親と同居する20〜30代の独身者のことですが、独身OLでは親と同居するのは20代では88%、30代では65%とほとんど。今個人消費が低迷している中で、彼女らが消費を下支えしています。ちなみに「パラサイト」とは「寄生」という意味です。一部では、晩婚化・少子化の原因ともいわれていますが・・・。

 

「一人暮らしだと家賃を払わなければいけない、そんなお金あったら海外旅行に行きたい」。とあるOLがテレビで言っていましたが、日常の基礎的生活費を節約し、使うときはパット使うのが彼女らのライフスタイルです。高級ブランド店での行列はほとんど彼女らが占めているのかもしれません。10万円以上もするようなバッグや洋服をポンと買う。中には、100万円以上もするようなバッグを普通のOLが持っていたりする。価値観の違いといってしまえばそれまでですが、私ら庶民の感覚からいえば、何もバッグにそんな・・・スゴイとしか言いようがないですよね。

 

パラサイトシングルOLは全国で約550万人、一人年間200万円の消費と考えれば、11兆円もの市場になる。一年間の国の税収が約50兆円ですから、いかに巨大マーケットかがうかがいしれます。そのマーケットを狙って各社があの手この手で参入しています。キーワードは「自分へのごほうび」。ある高級ホテルでは、独身OL向けの週末宿泊プランなるものを設けたりしています。とかくOLも仕事や人間関係でストレスがたまるものです。マラソンの有森選手がオリンピックで銀メダルをとったとき、「自分で自分をほめたい」といいましたが、ちょっと贅沢して「自分で自分を癒したい」というOLのニーズをキャッチしたアイデア商法といえるのではないでしょうか。

 

日本経済新聞におもしろい記事が載っていました。「女と時間と日本経済」という特集で、女性の世代ごとの消費に関するポイントをうまくまとめていましたので、以下にご紹介します。

 

世代ごとに特徴が出る女性の消費

余  裕

消費のキーワード

お 金 時 間

50代以上

子育てほぼ終わる、孫には甘い

ゆとり、成熟

40代

高度経済成長期に育つ、

教育費、住宅ローン重い

健康、安全、若返り

30代

均等法の世代

バブルを経験、

ワンランク上を志向

主婦派・

親と同居派

ブランド品、母娘

キャリア派

ごほうび、自分に投資

20代

ポストバブルの世代、

失われた10年に育つ、就職難

プリクラ、ケータイ

 日本経済新聞より

 

街でよく見かける親子とおぼしき女性の二人組み。百貨店でショッピングのあとレストランで夕食がおきまりのコースだそうです。お金にゆとりのない娘が余裕のある母親におねだりしているのかもしれませんね。今月13日には2003年度の税制改正大綱の発表が予定されています。今回の目玉は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与税の大型非課税枠の創設です。景気刺激を狙っての政策ですが、親にも将来に対する不安があり、そう易々と贈与がすすむものか・・・効果の程は?

 

日本マクドナルドの創業者である藤田 田氏は、商売のコツを「女性と口を狙え」とよく言っていました。それを実行し、日本マクドナルドを外食産業NO1に育て上げました。GDP(国民総生産)の約60%が個人消費といわれています。景気回復は元気のある女性の消費にかかっているといっても過言ではありません。

 

そのマクドナルドでは、日中は若い世代のお客さんが多いそうですが、夜9時以降は飲んだ帰りのサラリーマンが多くなるそうです。飲んだ後はラーメンというのが相場だったのが、給料の減額でこずかいを減らされているのか、59円のハンバーガーとホットコーヒー、しめて300円でお釣りがきます。これもささやかな、自分へのごほうびなのでしょうか・・・。

            2002年12月 西野 津