為せばなる

 

10月に入り、すっかり秋らしく涼しくなりました。キンモクセイが香るほんとうに過ごし易い季節ですが、日が短くなり、なぜか感傷的になるのもこの季節です。

 

8月に入ってから多少もたつきましたが、阪神タイガースが18年ぶりのリーグ優勝を決めました。私は優勝を決めた当日はちょうど岸和田だんじり祭だったので、テレビは見られなかったのですが、帰ってから何度もテレビでその歴史的瞬間を確認しました。また、次の日は駅売店にてスポーツ五紙の優勝セットを記念に買いました。18年前と同じように・・・。

 

日経新聞によると、星野監督は日産自動車を見事復活させたカルロスゴーン社長と共通点が多いとか。第一に、どちらも、生え抜きではなく、外部からの招へいであること。第二に、競争意識を植え付けたこと。星野はポジション争い、ゴーンは成果主義賃金制度を導入しました。第三に、外部からの採用を強化したこと。星野は他球団出身のコーチ陣やFA選手らを補強し、ゴーンはトヨタやホンダなどのライバル会社からも技術者を採用しました。第四は、大胆なリストラを実施。星野は選手の1/3に相当する26人を入れ替え、ゴーンは国内の5工場を閉鎖し全世界で2万人削減しました。第五に、高いコミュニケーション能力。星野は細かい気配り目配りをして選手を前向きにし、ゴーンは目標を従業員と共有し従業員との対話を重視しました。

 

思えば、タイガースは名門といわれながらも、セリーグでは一番優勝から遠ざかっていました。名将野村前監督をもってしても3年連続最下位。それを、星野監督はたった2年で記録ずくめのぶっちぎり優勝するチームに仕上げました。昨年原監督は就任1年目で日本一に輝きましたが、チームはすでに完成されていた状態での就任だったので、この差は大きいと思います。まず手がけたのは、長年チームに染み付いた負け犬根性の払しょくのための意識改革。「タイガースが優勝を目標に掲げるのは、企業でいえば前年比500%、600%成長を目指すようなもの。だが、妥協したら最初の一歩は踏み出せない」。昨年星野監督はこう話したそうです。

 

今年、タイガースが優勝するというのをシーズン初めに予想した人はどれだけいたでしょうか?ほとんどの人が巨人と予想したでしょう。巨人は選手層の厚さでは群を抜いていましたが、有力選手のケガでの離脱など不運な面もありましたが、タイガースには前半大きく負け越し、タイガース優勝に大きく貢献したことは間違いありません。かつて、ヤクルトはセリーグのお荷物とまで言われた時期がありましたが、1992年以降でみるとリーグ優勝5回、日本一4回という巨人のその間リーグ優勝4回、日本一3回という成績を上回り、輝かしい成績を収めています。星野監督はリーグ優勝にも気を緩めず、今後も改革を推進し常勝タイガースを目指すものと期待しています。

 

「為(な)せばなる 為さねばならぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」。これはあまりにも有名な言葉ですが、私もそうでしたが、案外誰が読んだのかを知らない人が多いです。調べてみると、これは、江戸時代中期に他藩からの養子でありながら米沢藩を立て直した上杉鷹山(ようざん)の言葉です。鷹山は、守旧派の抵抗にも負けずに大胆な藩政改革を推し進めた人物で、星野監督、ゴーン社長とダブル部分も多いのです。アメリカの故ケネディ大統領が最も尊敬する日本人の政治家であったことでも知られています。

 

小泉首相は、先日の総裁選で圧勝し、再選されました。相変わらず改革を訴え続けていますが、経済的には、大企業の製造業はリストラの効果などで景気が改善しつつありますが、中小企業にとってはまだまだ厳しい状況が続いています。後にアメリカ大統領から「最も尊敬する日本人政治家は小泉純一郎です」と言われるよう、総裁二期目はいよいよ成果があがることを期待しています。それと、必勝!日本一祈願!

2003年10月 西野 津