生命保険の加入形態と保険金の課税関係

 

  今回は世帯別加入率は約90%となじみのある生命保険等(簡易保険、各種共済等含む)の保険金を受取ったときの課税関係についてまとめてみました。生命保険等は一般的に住宅に次ぐ大きな買い物になりますが、内容を正確に把握せず、すすめられるままに加入している人も多いのではないでしょうか。一定額以上の保険金が出るとすべて税務署に通知がいくことになっています。「思わぬ税金がかかってきた」、ということのないように保証内容も含めて今一度保険契約を見なおすことをお薦めします。

 

 

加入形態

課税関係(保険金受取人又は権利承継者に対する)

 

契約者

被保険者

満期受取人

死亡受取人

満期時

解約時

被保険者

死亡時

契約者

死亡時

@

所得税(一時)

相続税(保険金)

相続税(保険金)

A

贈与税

相続税(保険金)

相続税(保険金)

B

所得税(一時)

所得税(一時)

相続税(権利)

C

贈与税

所得税(一時)

相続税(権利)

D

贈与税

贈与税

相続税(権利)

E

所得税(一時)

所得税(一時)

相続税(権利)

 

(解  説)

1.契約者と保険金受取人が同一人で、かつ、生存の場合の保険金は(@BCE)一時所得として給与所得や事業所得と合算して所得税が課税されます。実務上この申告漏れが非常に多く見受けられますので注意しましょう。但し、契約期間が5年以下ですと雑所得扱いになります。

      一時所得={(保険金−払込保険料)−特別控除(50万円限度)}×1/2

 

2.契約者で被保険者になっていない人が死亡した場合(B〜E)は、その契約の権利を承継する人に対しては、その承継する権利に対して相続税が課税されます。

なお、養老保険など積立型の生命保険等では、実際の解約返戻金よりも下記算式の方が低くなり、相続税の計算上有利となるので、税務当局ではその評価を「解約返戻金相当額」に改正する動きもありますので注意しましょう。

「生命保険契約に関する権利」の評価額=払込保険料の合計額×70/100−保険金額×2/100

 

3.契約者と被保険者が同一人(@A)の場合の死亡保険金には相続税が課税されます。死亡保険金受取人が法定相続人である場合は、その保険金のうち「500万円×法定相続人」が相続税の非課税となりますが、法定相続人以外の人が保険金受取人の場合は非課税にはなりません。