企業組織再編税制

 

4月1日から、会社の事業を分離・統合する手続きが従来の営業譲渡などより簡素化される改正商法

の会社分割制度が施行されます。税制上もそれに伴い一定の要件に該当すれば優遇措置を手当てする

など、会社分割のみならず従来の合併・営業譲渡・現物出資・事後設立を含めた包括的改正を行いました。

これは法人税制では歴史的な大改正になります。企業の組織の再編が容易になるので大手企業の4社

に1社が検討しているとのことですが、中小企業においても活用することによるメリットも期待されます。

ただ、本格的に再編が加速するのは企業グループ内の赤字を通算することのできる連結納税制度

2002年度に予定)が施行されてからになると思われます。そこで今回は、3月31日から実施される

企業組織の再編税制の概要をご紹介します。

 

1.会社分割制度の内容

1)新設分割 :A社が営業の全部又は一部を新設法人B社に承継させる方法

@分割型(人的分割):新設の分割承継法人B社の株式をA社株主に交付する

A分社型(物的分割):新設の分割承継法人B社の株式をA社に交付する

2)吸収分割 :A社が営業の全部又は一部を既存法人B社に承継させる方法

@分割型(人的分割):既存の分割承継法人B社の株式をA社株主に交付する

A分社型(物的分割):既存の分割承継法人B社の株式をA社に交付する

※B社株式をA社とA社株主双方に交付する分割型と分社型の中間型も認められる

 

2.移転資産の譲渡損益

 (1)税制適格組織再編成 → 移転資産の譲渡損益を繰延べることができる(簿価による移転)

@  企業グループ内(持ち株比率50%超)の組織再編成として一定の要件に該当する場合

A  共同事業を行うための組織再編成として一定の要件に該当する場合

B  税制適格事後設立として一定の要件に該当する場合          

※従来の合併の清算所得課税及び特定現物出資課税(法人税法51条)は廃止される

 (2)税制非適格組織再編成 → 移転資産の譲渡損益にたいして課税される(時価による移転)

 

3.繰越青色欠損金の引継ぎと含み損の取扱い

 適格合併・分割型分割(事業全部移転、かつ、分割会社が解散の場合)のみ

   原則:繰越欠損金の引継が可能

   例外:企業グループ内の再編成では一部制限あり ※合併法人等・被合併法人等双方共

 

4.株主の課税(分割型分割・合併のみ)

@  株式の譲渡益

分割承継法人等の株式のみの交付 → 旧株の譲渡損益の繰延が可能

A  みなし配当

税制適格分割型分割・合併 → みなし配当課税なし

税制非適格分割型分割・合併 → みなし配当課税あり(ただし施行後一年間は課税停止)

※資産の交付のない(利益消却・利益の資本組入)みなし配当課税は廃止される

 

5.法人税の諸制度その他消費税・登録免許税等の整備あり

6.租税回避の防止措置あり