株式等の小額譲渡益非課税制度
本件は先の通常国会において、緊急経済対策に関する税制措置として成立しました。個人の低迷する
株式市場への参加の呼び水になるものと期待されている上記内容を紹介します。
1.要 件
@
個人が
A
所有期間1年超の上場株式等を
B
証券業者等を通じて売却し
C
申告分離課税を選択した場合に
D
年間の譲渡所得金額から100万円を控除する
2.適用期間
2001年10月1日から2003年3月31日までの譲渡に限る。
3.適用にあたって
@ ・ 所有期間1年超ということは、適用開始時においては少なくとも2000年9月以前に取得
した株式等であり、さらに適用終了時は2002年3月以前取得分である必要があります。
A ・ 適用期間は正味1年と6ヶ月間ですが、個人の所得は12月で締めるため、控除額100万円
は期間中最大300万円使えるものと思われます。すなわち2001年10〜12月、2002年1〜12月、
2003年1〜3月の各期間の譲渡でそれぞれ100万円の控除となります。
B ・ 源泉分離課税制度(譲渡収入の1.05%の課税)も2003年3月31日まで存続していますので、
申告分離課税(100万円控除後)との有利不利を判定して売却時に課税方法を選択する必要があります。
C ・「年間譲渡益(損失控除後)−100万円」が譲渡収入に対しておおむね4%を超えるかどうかが分岐点
となります。4%超→源泉分離有利 4%未満→申告分離有利
D
・年間の譲渡損を超える譲渡益が100万円までであれば事実上非課税とすることが可能となります。
4.具体例
いずれも株式の取得価額 200万円 売買手数料等は考慮しないものとして
(ケースA)株式譲渡収入 310万円 譲渡益 110万円 の場合
申告分離 (310万円−200万円−100万円)×26%=26,000円(所得税・住民税)
源泉分離 310万円×1.05%=32,550円(所得税のみ)
(ケースB)株式譲渡収入 350万円 譲渡益 150万円 の場合
申告分離 (350万円−200万円−100万円)×26%=130,000円(所得税・住民税)
源泉分離 350万円×1.05%=36,750円(所得税のみ)