高齢者と税金
9月15日は敬老の日です。高齢者に対しては、財政支出の面で社会保障を充実する
一方、税金の面でもいろいろな特例が設けられています。
そこで今回は、高齢者と税金の取扱いについてご紹介します。
1.高齢者本人が受けられる特例
(1)老年者控除
所得税・住民税は、1年間の所得金額から基礎控除や扶養控除などの所得控除を差し
引いた金額に税率を掛けて計算しますが、この所得控除の一つとして老年者控除があ
ります。所得者本人の年齢が65歳以上で、合計所得金額が
1,000万円以下の場合に所
得金額から所得税は50万円、住民税は48万円、それぞれ控除することができます。
(2)公的年金等控除
国民年金、厚生年金、恩給などのいわゆる公的年金等は、雑所得として所得税の課税
対象となります。公的年金等に係る雑所得の金額は、公的年金等の収入金額の合計額
から公的年金等控除額を差し引いて計算しますが、年齢が65歳以上の人の場合は、
65歳未満の人よりその控除額が多くなっています。
(3)マル優などの利子の非課税
年齢が65歳以上の人は、預貯金や国債・地方債及び郵便貯金の利子の非課税制度を利
用できます。この制度を利用すれば、それぞれ
350万円、合計 1,050万円までのこれ
らに対する利子については、所得税・住民税(税率の合計20%)はかかりません。
2.高齢者を扶養している方が受けられる特例
配偶者控除や扶養控除の対象となる親族が70歳以上の場合の配偶者控除額や扶養控除額
については、通常の1人当たり所得税38万円、住民税33万円に代えて、それぞれ48万円、
38万円を所得金額から差し引くことができます。
なお、扶養控除の対象となる高齢者が、納税者やその配偶者の父母や祖父母などの直系
尊属で、納税者やその配偶者のいずれかと同居を常況としているときは、さらに所得税は
10万円を加算した58万円を、住民税は7万円を加算した45万円を差し引くことができます。
ところで、配偶者控除や扶養控除の対象となるのは、納税者と生計を一にし、その年の
所得金額が38万円以下の親族です。例えば、その年の収入が公的年金や恩給だけである
65歳以上の人は、その収入金額が
178万円以下であれば公的年金等控除額の 140万円を
差し引いた雑所得の金額は38万円以下となりますので、その高齢者の方と生計を一にし
ている納税者は配偶者控除や扶養控除の適用を受けることができます。