損失の取扱い  

 個人が、事業や日常生活において損失を受けた場合に、そのことにより担税力(税金を納めることのできる経済力)が減殺されるこ

とから、税務上必要な措置がとられています。そこで、今回は所得税・住民税上の損失が発生した場合の取扱いについてまとめてみました。 

損失対象資産

損失発生事由

損失額

取扱い

特定の居住用家屋

一定の買換え

譲渡損失額

損益通算、3年繰越可

譲渡代金未収金等

回収不能

回収不能額

ないものとみなす

棚卸資産や金銭債権以外の資産

個人に対する時価の1/2未満での譲渡

譲渡損失額

ないものとみなす

山林

災害・盗難・横領

必要経費相当額

必要経費

別荘・クルーザー・時価30万円超の貴金属等

災害・盗難・横領

取得費相当額

譲渡所得(株式等除く)から控除、1年繰越可

住宅・家財・衣類・現金・時価30万円以下の貴金属等

災害・盗難・横領

時価相当額

所得控除、3年繰越可

強制換価手続等による譲渡資産

資産の譲渡及び債務の返済

譲渡損失額

ないものとみなす

保証債務の履行により発生した求償権

資産譲渡及び求償権の行使不能

求償権の行使不能額

ないものとみなす

業務用建物・機械・備品等

除却・滅失・取壊し等

取得費相当額

必要経費

賃貸不動産・店舗・業務用車両・機械・備品等

譲渡損失

譲渡損失額

損益通算、青色申告者は3年繰越可

別荘・クルーザー・時価30万円超の貴金属等

譲渡損失

譲渡損失額

譲渡所得(株式等除く)から控除

家財・衣類・時価30万円以下の貴金属等

譲渡損失

譲渡損失額

ないものとみなす

株式・公社債等

譲渡損失

譲渡損失額

ないものとみなす

売掛金・事業上貸付金等

貸倒れ等

貸倒れ金額

必要経費

たな卸資産

陳腐化・損傷等

帳簿価額

必要経費

注1)            取扱いにおいて「ないものとみなす」とはその損失額は他の所得との通算や繰越ができないことを意味します。

2) 上記はすべて詳細な要件や限度額がありますので、実施にあたっては専門家にご相談のうえ行って下さい。