個人の株式等譲渡益に関する改正

このほど、証券税制関連法案が国会において可決・成立しました。これは、低迷する株式相場に個人

投資家を呼び込む為に年度途中での導入という異例の措置です。当面の長期保有株式等の譲渡益に対

する非課税又は税額軽減を目的にしています。一方、手続き上は株式等の譲渡益に対する源泉分離課

税が廃止され、すべて申告が必要となります。個人投資家の方必見です。

 

 

T.申告分離課税の見直し(平成15年実施)

 

1.申告分離課税への一本化

源泉分離選択課税は、平成14年12月31日をもって廃止され、平成15年1月1日以降は申告分離課税

に一本化されます。(改正前の平成15年3月廃止より3ヶ月間前倒し)

 

2.上場株式等に係る申告分離課税の税率の引下げ

平成15年1月1日以後に上場株式等を譲渡した場合の税率を、現行の26%(所得税20%、住民税6%)

から20%(所得税15%、住民税5%)に引き下げられます。

 

3.上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除制度の創設

平成15年1月1日以後に上場株式等を譲渡したことにより生じた損失の金額のうち、その年に控除しき

れない金額については、翌年以後3年間にわたり、株式等に係る譲渡所得等の金額からの繰越控除が認

められます。

 

※ 平成13年9月30日以前に取得した上場株式等に係る取得費の特例の創設

平成15年1月1日から平成22年12月31日までの間に譲渡をした上場株式等で平成13年9月30日以前

に取得したものの取得費については、選択により、平成13年10月1日における価額の80%相当額とする

ことができます。

 

U.長期(1年超)保有上場株式等に係る特例

 

1.暫定税率の特例の創設

平成15年から平成17年までの間に1年超保有の上場株式等を譲渡した場合の税率が、上記(20%)にかか

わらず10%(所得税7%、住民税3%)となります。

 

2.100万円特別控除の特例の延長

長期(1年超)保有上場特定株式等の譲渡所得に係る100万円特別控除の特例について、その適用対象に

上場不動産投資証券が追加された上で、その適用期限を平成17年12月31日まで延長されます。 (改正前

期間 平成13年10月1日〜平成15年3月31日)

 

V.緊急投資優遇措置

個人が、平成13年11月30日から平成14年末までの間に購入した上場株式等を、平成17年から

平成19年までの3年間に譲渡した場合において、その購入額の合計額が1,000万円に達するまでのものに

係る譲渡益については、一定の要件の下、非課税となります。