平成14年度税制改正大綱 

昨年12月14日に与党税制改正大綱が決定され公表されました。今回の目玉は企業の連結納税制度の

創設です。発泡酒・たばこの増税は見送られたものの、全般的に小幅で、単なる帳尻合わせのような

内容といえます。なお、抜本的な改正は年初からじっくり時間をかけて検討するようです。特に中小

法人に影響すると思われるものを以下に掲げます。

 

連結納税制度の創設

・親会社と一体とみなされる100%子会社を含めたグループ単位で課税する制度の創設。

 ・課税対象となる連結所得金額はグループの黒字と赤字を通算して計算する。

 ・創設後2年間の2%の付加税の導入及び子会社の赤字の持込制限あり。

・平成14年4月以降開始事業年度より導入可で、導入企業は原則半年前までに申請要。

  −グループで赤字がゼロかわずかだと当初増税になるので導入企業は限定的でしょう。−

 

   受取配当の益金不算入割合引下

     ・会社が受けとる配当金の二重課税防止のための制度において、投資目的の株式の配当金収入に

    対する課税を強化し、課税されない割合を80%から50%に引き下げる。

 ・中小法人は平成14年度70%、平成15年度60%とする経過措置あり。

 

退職給与引当金制度廃止

・     ・将来の退職一時金支払に備えて無税で積立可能な退職給与引当金制度を廃止。

・     ・4年間(中小法人等は10年間)で従来の引当金を取り崩す。 

      −受取配当金の措置と合わせて連結納税制度導入に伴う財源確保のために、すべての法人が対象

   となり実質増税となる。退職一時金は終身雇用の崩壊や401K導入に伴い、廃止する企業が増え

   ているが、引当金廃止がさらに拍車をかけるものと思われます。−

 

中小法人の自社株に係る相続税軽減制度の創設

・対象法人は相続税評価額10億円未満の株式で、50%以上を被相続人等が所有し、相続人が引き続

 き所有し、役員として経営参加していること。

・軽減額は、株式の総数の1/3以下で、3億円を限度に相続税の課税価額の10%を軽減。

・小規模宅地の評価減制度と選択適用。

−自社株の評価軽減額は最大で3000万円となる。小規模宅地の評価減との選択適用なので、例えば、

自宅の敷地が240u以内で、評価額が3750万円以上であれば、自宅敷地の評価減(3750万円×80%

3000万円)のほうが有利となります。−

 

その他

・    ・中小法人の同族会社の留保金課税は留保税額の5%軽減。

・資本金1000万円超5000万円以下の法人の交際費における損金算入限度額を240万円から320万円に引上げ。

・中小法人の機械等を取得した場合の減税措置を機械装置の取得価額要件を緩和し(取得:230万円以上→160

 万円以上、リース:300万円以上→210万円以上)、平成16年3月まで延長。  

・自己株式の譲渡損益は資本取引となり課税されない。(株主の株式発行法人に対する所有株式の譲渡は

 「みなし配当課税」及び「譲渡損益課税」扱い)

・個人の青色申告における簡易帳簿による45万円控除の特例を平成17年分まで延長。