青色事業専従者給与と法人成 

個人の青色申告者は、家族従業員にたいして一定の条件のもとに給料を支給し、必要経費に算入する

ことができます。一方、個人事業者が有限会社や株式会社に法人成することにより、社長自身の給料

を支給することもできます。そこで、以下の前提条件に基づき、個人事業者のまま、奥さんに給料を

支給する場合と、法人成で社長と奥さんそれぞれに給料を支給する場合とで、各支給額に応じて一族

の税金がどれだけ増減するか試算してみました。

 

(前提条件)

・個人事業所得(青色専従者給与控除前)  1,000万円

・本人の所得控除額           150万円(但し、妻の給料0の場合は76万円加算)

・妻は、事業に専従していること

・妻の所得控除額は基礎控除額38万円とする

・消費税は考慮しない

・住民税の均等割及び所得税と住民税の所得控除の差額は考慮しない

・個人事業者の本人の税額は事業税を含み、その税率は5%で計算

・法人の税率はいずれも軽減税率等を適用

 

個人事業者の場合  (単位:千円)

本人所得 妻給料 本人税額 妻税額 一族税額

10,000

0

2,269

0

2,269

9,500

500

2,330

0

2,330

8,000

2,000

1,775

126

1,901

6,000

4,000

1,075

356

1,431

法人成の場合                  (単位:千円)

法人所得 本人給料 妻給料 法人の税額 本人の税額 妻の税額 一族税額

10,000

0

0

3,453

0

0

3,453

8,000

2,000

0

2,557

0

0

2,557

4,000

4,000

2,000

1,232

174

126

1,532

1,000

6,000

3,000

308

452

231

991

(解 説)

個人の所得税.住民税の税率は超過累進税率(15〜50%)となっているので、所得が多いほど税率が上がります。

 従って、所得を分散させることにより、全体の所得にたいする税率が下がることになります。

   ・給料には「給与所得控除」という概算の経費の控除がありますので、その分所得が減少することになります。

  ・個人の事業所得や法人の所得は事業税の対象になりますが、給料に対して事業税は課税されません。

(将来外形標準課税が導入されると法人が支給する給与に対して課税される可能性があります)

 

(留意事項)

・青色事業専従者給与の適用は事前に届出(3/15まで)が必要で、その支給金額は、届出書の記載金額の範囲内で、

   かつ、労務の対価として相当であると認められるものである必要があります。

  ・法人の役員報酬(給料)のうち不相当に高額な部分及び役員賞与は原則損金に算入されません。