上場株式等の特定口座に関する課税の特例
平成15年1月以降、個人が上場株式等を譲渡した場合の源泉分離課税制度が廃止され、申告分離課税制度に一本化されます。それに伴い、面倒な申告作業を不要又は簡易にする「特定口座」に関する特例が創設されます。その「特定口座」のための「準備口座」設定の受付がこの9月から各証券会社にて始まりました。この特定口座の制度を含めた今回の新証券税制は超難解といわれる複雑な制度です。実施時期や適用要件をよく理解し、投資のタイミングを計って多いに活用しましょう。
(平成15年1月以降手続きの概略図)
証券業者に特定口座を設定(特定口座開設届出書の提出) | ||
↓ | ↓ | |
(源泉徴収あり) | (源泉徴収なし) | |
源泉徴収を選択(特定口座源泉徴収選択届出書の提出) |
↓ | |
↓ | ||
特定口座内で所得計算し15%の源泉徴収(証券業者は翌月10日までに国に納付、住民税5%は別途納付) |
特定口座内で所得計算 | |
↓ |
↓ |
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年間取引報告書(証券業者は、翌年1月31日までに税務署へ提出、投資家へ交付) |
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↓ (申告との選択可) | ↓ | |
申告不要 | 申 告 |
(一般口座と特定口座の比較)
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確定申告の有無 |
税制優遇措置の適用 全ての譲渡損益通算 |
扶養控除等の所得金額の判定に影響(所得税) |
一般口座 |
要 |
可 |
有 |
特定口座(源泉徴収なし) |
要 |
可 |
有 |
特定口座(源泉徴収あり) |
否(還付は要) |
不可(申告すれば可) |
無(申告すれば有) |
注)特定口座で売却した場合、実際の取得価額と異なる計算をする場合があり、
結果的に税金の計算上不利になる場合があります。
(上場株式等税制優遇措置の概要)
・平成15年1月から実施の恒久的措置
譲渡損失の繰越控除の創設 (最長3年間)
・平成17年まで譲渡の期限付き特例措置 (1年超
保有の場合)
申告分離課税の軽減税率
(20% → 10%)、譲渡益100万円の特別控除
・平成17〜19年譲渡限定の緊急投資優遇措置
購入額1,000万円(H13.11.30〜H14.12.31購入に限る)まで非課税
注)この非課税特例は特定口座内「源泉徴収あり」での適用は不可、
特定口座から引出し譲渡すれば可