平成15年度税制改正大綱(中小企業編)  

昨年12月に平成15年度の税制改正大綱が決定され公表されました。平成15年度においては1.5兆円の減税となりますが、平成16年以降は増税もあり、多年度においては税収中立となります。今回は特に中小企業に影響すると思われる主なものを以下に掲げます。

 

■研究開発減税

 中小法人(資本金1億円以下)の支出した試験研究費の12%(当初3年間は15%)の税額控除適用可。税額控除は法人税額の20%が限度で、控除不足額は1年間繰越可(試験研究費が前年を越える場合のみ)。

 −平成15年1月以降開始事業年度で、かつ、同年4月以降終了事業年度より適用−

 

■設備投資減税

・中小法人(資本金3億円以下)がパソコンやコピー機、ファックスなどの一定のハードウエアで年間140万円以上又はソフトウエアで年間70万円以上の投資をした場合に、投資額の10%の税額控除又は50%の特別償却を選択適用できる。リースの場合はハードウエアではリース総額200万円以上、ソフトウエアではリース総額100万円以上の場合、各々リース総額の60%につき10%の税額控除が適用可能。税額控除はいずれも法人税額の20%が限度で控除不足額は1年間の繰越可。

取得価額280万円以上の機械装置、器具備品で一定の開発研究用設備を取得した場合に、50%の特別償却を認める制度を導入。 上記はいずれも平成15年1月から平成18年3月までの間に取得をし、かつ、 

   事業の用に供した場合について適用

 

■小額減価償却資産の即時償却限度額の拡大

 中小企業が、取得価額全額を損金又は必要経費に算入できる減価償却資産の取得価額を現行10万円未満から30万円未満に拡大。 −平成15年4月から平成18年3月までの間に取得した場合に適用−

 

■交際費支出の損金算入限度額の拡大

 交際費等の損金不算入制度について、400万円の定額控除を認める対象法人の範囲を現行資本金5,000万円の中小法人から資本金1億円以下の中小法人に拡大するとともに、定額控除額までの金額の損金不算入割合を現行20%から10%に引き下げる。 −平成15年4月以降開始する事業年度に適用− 

 

■同族会社の留保金課税の停止措置の拡大

 現行創業10年以内の中小法人等一定の法人にのみ留保金課税が停止されているのを、自己資本比率50%以下(簿価ベースの見込み)の中小法人(資本金1億円以下)にも適用し、現行の5%軽減措置は廃止。

なお、同族会社の判定の際の持分割合基準が現行「50%以上」から「50%超」に改正。

−平成15年4月から平成18年3月までに開始する事業年度に適用−

 

■消費税に関する改正

 ・事業者免税点制度の適用上限の年間課税売上高を現行3000万円以下から1000万円以下に引き下げ。

 ・簡易課税制度の適用上限の年間課税売上高を現行の2億円以下から5000万円以下に引き下げ。  

  注)年間課税売上高は、個人は2年前、法人は2事業年度前の消費税がかかる売上高を基準とする。従って個人事業者の場合は平成15年分の課税売上高が上記基準を超えれば、平成17年分から各々、消費税の課税事業者になる、あるいは、簡易課税を適用できないなどの影響がでる。法人は、3月決算法人の場合は、平成14年3月期の課税売上高が上記基準を超えれば個人同様、平成16年3月期より影響がある。

・直前の課税期間の年税額が6000万円を超える事業者は、中間納付を毎月行う。

・課税期間を3月に短縮する特例制度について、課税期間を1月とする制度を新設する。

 −上記はいずれも、平成16年4月以後開始する課税期間から適用−

・消費税の価格表示方法を税込表示とすることを平成16年4月以降は義務付ける。

   

 

上記についてはいずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。ご意見、ご質問等はお気軽にお問い合わせ願います。