相続時精算課税制度

 

平成15年度の税制改正において創設が予定されている「相続時精算課税制度」について、その概要をまとめてみました。正式には3月頃国会において可決成立の予定ですので、詳細はその後発表されると思われます。なお、相続税・贈与税の税率緩和措置も合わせて適用される見込みです。

 

■ 適用対象者

贈与者:満65歳以上の親。  

受贈者:満20歳以上の子である推定相続人(代襲相続人を含む)で、人数の制限なし。

 

 ■ 適用手続

・現行制度との選択制とし、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに税務署へ本制度を選択する旨を届出。

   ・最初の贈与の際に届出れば、相続時まで制度の適用が継続。

 ・受贈者である兄弟姉妹が、贈与者である父、母ごとに選択可能。

 

 ■ 適用対象財産

       贈与財産の種類、金額、回数には制限なし。

 

■ 税額の計算

 (贈与時)

・制度の対象となる親から子への贈与につき、各2500万円の非課税枠(限度額まで複数回使用可)あり。

累積で2500万円を超える部分の金額に対しては一律20%の税率で贈与税を課税。

・住宅取得資金等の贈与の場合に限り、贈与者の年齢制限(65歳以上)を撤廃し、かつ、非課税枠を1000万円上乗せし3500万円とする。

(相続時)

・制度の対象となる親の相続時に、本制度を選択した贈与財産を「贈与時の時価」にて相続財産に合算し、通常通り相続税を計算する。

・本制度を選択した子の既に支払った贈与税は、その子の納付すべき相続税額から控除し、控除しきれない贈与税額部分は還付される。相続税がかからない場合は、贈与税は全額還付。

 

■ 利用制限

・本制度を選択した親から子への贈与は、従来の年110万円の控除は利用できない。但し、選択した親以外の親族や第三者からの贈与には110万円の控除の利用は可能。

・現行の住宅取得資金の贈与の特例(550万円まで非課税)を平成15年以降適用した場合は、適用年以後5年間はその贈与者(親)からの贈与には本制度を適用できない。

 

■ 従来の贈与との比較

 

相続時精算課税制度(新)

現行住宅取得資金

(5分5乗方式)

現行暦年課税

贈 与 者

65歳以上(住宅取得資金等は年齢制限なし)の親

親、祖父母(年齢無制限)

原則制限なし

受 贈 者

20歳以上の子

所得1200万円以下の子、孫 

原則制限なし

非課税額

累積2500万円(住宅取得資金等は3500万円)

550万円まで非課税(1500万円まで軽減あり)

毎年110万円

利用回数

制限なし

生涯1回

制限なし

住宅取得資金の場合の条     件

床面積50u以上の新築又は筑後20年 (耐火建築は25年) 以内の既存住宅の取得

100万円以上の一定の増改築

床面積50u以上の新築又は筑後20年 (耐火建築は25年) 以内の既存住宅の取得

1000万円以上の一定の増改築等

 

制限なし

 

適用期間

平成15年1月以降(住宅取得資金等は平成15〜17年の3年間)

平成17年12月まで

期限なし

 上記についてはいずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。