消費税の改正  

3月28日に平成15年度税制改正法案が原案通り国会で可決・成立しました。消費税法の改正は

中小企業にとっては「事実上の増税」ともいえる改正になっています。以下にまとめてみました。

 

1.事業者免税点制度適用上限を1000万円以下(従来3000万円以下)に引き下げ  

 (1)個人事業者(不動産賃貸含む)

 基準期間(注1)(H15/1〜12)の課税売上高(注2)が1000万円を超えれば、平成17年分から消費税が課税され、

 申告納付する義務が生じる。

 但し、課税期間短縮特例を選択している場合は、平成16年4月から影響がでる。

(2)法  人

  ・3月決算の場合:基準期間(H14/4〜H15/3)の課税売上高が1000万円を超えれば、平成17年3月期

      (H16/4〜H17/3)から消費税が課税され、申告納付する義務が生じる。

  ・9月決算の場合:基準期間(H14/10〜H15/9)の課税売上高が1000万円を超えれば、平成17年9月期

      (H16/10〜H17/9)から消費税が課税され、申告納付する義務が生じる。

  ・平成16年3月決算を2月決算に変更の場合:基準期間(H14/4〜H15/3)の課税売上高が1000万円

      を超えていても同3000万円以下であれば、平成17年2月期(H16/3〜H17/2)は改正前の課税期間

      になる為、消費税は免税となり、次年度 平成18年2月期(H17/3〜H18/2)からの課税となる。

      決算期変更前より免税期間を11ヶ月(H16/4〜H17/2)延長できる。

 

    注1.基準期間 :個人事業者の場合「その年の前々年」、法人の場合は「その事業年度の前々事業年度」

    注2.課税売上高:商品やサービスの売上、事業用固定資産の売却収入などは含まれ、土地の売却収入、

                     地代収入、住宅の家賃収入、受取利息などは消費税非課税のため、課税売上高には含まれない。

 

2.簡易課税制度適用上限を5000万円(従来2億円)以下に引き下げ

 基本的な考え方は上記「事業者免税点制度」と同じで、上記内容を「1000万円」を「5000万円」に読み替え、

「消費税が課税され、申告納付する義務が生じる」を「簡易課税制度を選択できない」と読み替えることにより

代用させていただきます。

 

3. 毎月の中間申告納付制度    

 直前の課税期間の年税額が4,800万円(地方消費税込6,000万円)を超える事業者は、中間申告納付を毎月(現行3月ごと)

行う こととし、原則として当該確定税額の1/12ずつを申告納付する。

 

4.課税期間短縮特例の期間を現行3月ごとに加えて、新たに1月ごとを加える

  課税期間は通常、個人の場合は「1〜12月」、法人の場合は「事業年度(通常1年)」だが、輸出事業者などが早期

に消費税の還付を受ける必要がある場合に、課税期間を1月又は3月ごとに短縮し申告することが出来る。

 

上記1〜4はいずれも平成16年4月以降開始課税期間より適用

 

5.消費税の総額表示義務付け

  課税事業者が、表示する価格を不特定多数の最終消費者に対して、取引を行う前からあらかじめ

明示する場合には、消費税額等を含めた総額で価格表示しなければならない。

                                                    −平成16年4月1日から適用−      

  例えば、パンフレット、カタログ、ホームページなどが該当 

 具体例@10,500円(本体価格10,000円+消費税等500円) A10,500円(うち消費税等500円)

   B10,500円(本体価格10,000円) C10,500円(税込) D10,500円 E10,000円(税込10,500円)

   ある、専門誌のアンケート結果では、@→A→Dの順に人気があったそうです。

 

上記についてはいずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。ご意見、ご質問等はお気軽にお問い合わせ願います。