固定資産税の節税  

平成15年は3年に一度の固定資産税の評価替えの年になります。固定資産税は所得税など納税者が自分で計算して申告する「申告納税方式」ではなく、「賦課課税方式」といって市町村がほぼ一方的に1月1日現在の所有者に対して評価額と税額を計算し課税する方法です。市町村に誤りがないかは納税者自身がチェックし、修正を求める必要があります。必要以上の税金をずっと払い続けていたということも実際にはよくあるケースです。そこで、注意すべき点を以下にまとめてみました。

 

1.固定資産課税台帳の閲覧制度等の改正

従来は土地建物の所有者しか固定資産課税台帳の閲覧等ができなかったのを、平成15年4月以降は所有者の承諾なしに、以下の者にも閲覧等の対象を拡大しました。したがって、家主や地主はこの制度があることを承知の上で賃料の更改をする必要があります。

@土地建物の所有者による同一市町村の土地・家屋価格等縦覧帳簿の縦覧(価格の比較可能に)

A土地建物の借地・借家人による固定資産税課税台帳の閲覧(賃料交渉の参考に)

 

2.住宅用地の軽減特例

住宅(賃貸含む)の敷地になっている土地は、固定資産税の課税標準が固定資産税評価額の

/6(200u超部分は1/3)に軽減されます。家屋を住宅へ用途変更した場合には市町村へ届出し、又、次のような場合には、軽減の特例を適用されているかどうか確認する必要があります。

@賃貸住宅と一体利用の駐車場部分 A店舗兼住宅などの住宅部分 B店舗から住宅への転用があった場合 

C貸店舗が賃貸住宅になった場合 

 

3.その他の軽減特例

@新築住宅の3年間 (3階以上の一定の建築物は5年間) 税額の1/2(120uまで) A複数利用の私道(セットバック含む)は非課税 B国、地方公共団体、学校、公園などの公益団体への無償貸与は非課税 C日照阻害による減額

 

4.1月1日現在の所有者及び利用状況に対して課税

  固定資産税は1月1日(賦課期日)現在の所有者に対して課税され、又、その時の利用状況により特例などが適用されます。毎年航空写真などで土地の利用状況を確認しているようです。不動産の売買では、買主が所有権移転日以降の税金を精算し負担します。ちなみに、その固定資産税負担金は、所得税などの税法上、売主の譲渡所得の収入金額となり、買主の不動産の取得価額に算入することになります。賦課期日を意識すると次のような対策が有利となります。

(1)建物新築の場合は、年末完成より翌年1月2日以降にずらせば、1年分税金が少なくてすむ。

(2)店舗などから住宅への転用は、年末までに済ませると翌年から軽減を受けられる。

(3)古い住宅の取り壊しは、年末より翌年1月2日以降にずらせば、軽減が1年多く受けられる。

(4)1月1日を挟んで住宅の建替えをする場合は、その旨届出すれば住宅の軽減が継続可能に。

 

5.審査請求制度

  土地建物所有者が、固定資産の価格について不服がある場合は、固定資産評価審査委員会に対して、市町村長の価額公示の日から納税通知書交付後60日までの間に審査の申出を行うことが出来ます。価格が修正され、税金が還付された事例としては以下のようなものがあります。

@集合住宅の専用駐車場を通常の青空駐車場として、住宅用地の軽減特例を適用していなかった。

A利用形態が2以上である一筆の土地を、評価の高い一つの利用形態として評価していた。

B店舗併用住宅として利用していた建物を住居専用にしたにもかかわらず、その敷地が住宅用地の軽減特例の

適用がされていなかった。

C複数利用の私道で非課税なのに、宅地として課税されていた。        

 上記についてはいずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。