交際費課税

 企業が支出する交際費は、企業利益獲得のため必要な費用であり、企業の利益計算上は費用として控除されます。しかし法人税法では、冗費の節約(乱費の抑制)・企業の資本充実を図る観点から、企業が支出する交際費などは原則として損金の額に算入されず、法人税の課税対象とされています。しかし、中小法人は一定の範囲で交際費の損金算入が認められています。今年度の税制改正においてその限度額が緩和されました。以下、交際費についてまとめてみました。

 

1.法人税法上の交際費

交際費・接待費・機密費その他の費用で、企業がその得意先・仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待・供応・慰安・贈答その他これらに類する行為のために支出するものとされています。

 

2.損金不算入額

法人の支出した交際費等の金額のうち次の金額が損金不算入とされ、残額は損金の額に算入されます。 (平成15年4月以降開始事業年度)

期末の資本または

出資の金額

損金不算入額の算式

1億円以下の法人

支出交際費などの額が年400万円以下

支出交際費などの額×10/100

支出交際費などの額が年400万円超

支出交際費などの額のうち年400万円を超える額+年400万円  ×10/100

1億円超の法人

支出交際費などの全額

 

3.他の科目との関連

(1)福利厚生費

従業員のための運動会や旅行などの費用、その家族の慶弔に際しての祝金や香典などの費用、創立記念日に際し社内において一律に供与される飲食費用などは、福利厚生費になります。

(2)広告宣伝費

広告宣伝費は、不特定多数を対象にした広告費(カレンダー、手帳、うちわ、扇子、テレホンカード等の配布含む)をいいますが、抽選で一般の人を観劇に招待した場合の費用も含まれます。なお、特定の人だけを対象としたものは交際費とされます。

(3)売上割戻し

売上割戻は、一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対する売上代金の一部の返戻(リベート)をいいます。なお、金銭に代えて物品での返戻や旅行などへの招待は原則として交際費になります。

(4)会議費

会議費は、会議(来客との商談や打ち合わせを含みます)で茶菓や弁当などを出した場合の費用(一人当たりおおむね3千円以下)をいいます。なお、会議に名を借りた親睦会や接待であったり、程度を越えた飲食物を出している場合には、交際費とされます。

(5)寄付金

寄付金は、社会事業団体や政治団体への拠出金、神社の祭礼などの寄贈金などをいいます。 法人税上は、一定のもの意外は損金不算入となります。

       

         上記についてはいずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、

     ご自身の責任で実行されるようご留意願います。