小規模企業共済

 

年金制度改革に関する議論が盛んになっていますが、事業主にとってはサラリーマンと違って退職金というものがないので、老後の資金をどのように今から準備するかというのは関心の高いことだと思います。それと年末を控えたこの時期、個人の所得に関する税金もそろそろ気になるところ。そこで今回は、国が全額出資する中小企業総合事業団が運営する、「小規模企業共済」について制度の概要をまとめてみました。安全で確実な節税や、老後の生活資金を確保したいとお考えの事業主さんにはおすすめです。

 

1.制度の趣旨

小規模企業共済制度は、小規模企業共済法に基づく制度で、小規模企業の個人事業主の方や会社等の役員の方が事業を廃止したり役員を退職した場合などに、その後の生活の安定や事業の再建などを図る資金をあらかじめ準備しておくための共済制度で、いわば「事業主の退職金制度」といえるものです。

2.加入資格
   製造業、建設業、運輸業、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下、商業(卸売業・小売業)又はサービス業を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の各々個人事業主又は会社の役員で、年齢制限はありません。

 

3.   
 
毎月の掛金は、千円から7万円までとなっており、5百円刻みで選択することができます。掛金  は、税法上、全額が小規模企業共済等掛金控除として課税対象となる所得から控除することができます。原則月払いですが、年払いも可能ですので、年末間際に年払いで新規加入、又は、月払いを年払いに変更することにより、より節税効果が期待できます。

                月額7万円(年額84万円)の掛金の場合の減税額       (単位:円)

  

所得金額

加入前の税額 A

加入後の税額 B

  

  

減 税 割 合(A-B)/84万

所得税

住民税

所得税

住民税

300万

240,000

174,000

172,800

102,600

138,600

17%

500万

536,000

364,000

401,600

280,000

218,400

26%

1000万

1,520,000

954,000

1,268,000

844,800

361,200

43%

 

 

 4.共 済 金

  共済金は、加入後6ヶ月以降に、個人事業の廃止、会社等の解散、役員の疾病・負傷又は死亡による退職、老齢給付など、加入者の方に生じた事由により、掛金の納付月数に応じて、法律で定められた額が支払われます。共済金の受取方法は原則「一時払」ですが、一定の要件により「分割払」又は「一時払と分割払の併用」のいずれかを選択することもできます。

  共済金は、税法上、一時払共済金については退職所得、また分割共済金については公的年金等の雑所得として取り扱われます。いずれも、収入金額から一定の控除があり、優遇されています。

         共済金の課税関係

一時払い

退職所得扱い(1/2課税 退職所得控除あり)

分割払い

公的年金等の雑所得扱い(公的年金等控除あり)

死亡による共済金

相続税の対象(500万円×相続人数 の非課税枠あり)

   

退職所得扱い(1/2課税 退職所得控除あり)

 

解約手当金(65歳以上)

退職所得扱い(1/2課税 退職所得控除あり)

解約手当金(65歳未満)

一時所得(1/2課税 特別控除あり  ※掛金の控除はできません)

 

 上記はあくまで現行税制に基づいての記載であり、いずれも税務上の適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。

                           

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