2004年度税制改正大綱

 

昨年12月17日に2004年度税制改正大綱が発表されました。これは枠組みですので今後法案として国会にて審議され、3月末には法律として正式に成立します。主なものを以下に掲げてみました。

 

1.個人の住宅税制

   (1)住宅ローン減税

2004年 借入金の年末残高5,000万円以下の部分 控除率 1% 控除期間10年(現行制度の継続) 2005年以降は、2005年 借入金4,000万円以下で1〜8年目 1% 9〜10年目 0.5%、2006年借入金 3,000万円以下で1〜7年目 1% 8〜10年目 0.5%、2007年借入金2,500万円以下で1〜6年目 1% 7〜10年目 0.5%、2008年借入金2,000万円以下で1〜6年目 1% 7〜10年目 0.5%と段階的に縮小。

 (2)特定の居住用財産の買換えの場合の譲渡損失の繰越控除の要件緩和

    譲渡資産の残債要件を除外し、適用期限を2006年まで3年間延長 

 (3)特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度の創設

個人が2004年〜2006年の間に所有期間5年超の一定の居住用不動産を譲渡し、損失が生じた場合で、住宅ローンが残っている場合は、その損失の金額(ローン残高−売却額を限度)は他の所得との通算および3年間の繰越控除をすることができる。

 (4)特定の居住用財産の買換え及び交換の特例を2006年まで3年間延長

 

2.土地税制

 (1)個人の不動産の譲渡所得の税率引き下げ 

    所有期間5年超不動産の特別控除後の譲渡益に対して20%(現行26%)に引下げ

    所有期間5年以下の不動産の譲渡益に対して39%(現行原則52%) に引下げ

 (2)個人の優良住宅地の造成等の長期譲渡所得の特例の税率引き下げ

    譲渡益の2,000万円以下の部分14% 、 2,000万円超の部分20%、※他の特例との併用不可に

    (現行4,000万円以下の部分20%、4,000万円超の部分 26%)

 (3)個人の長期譲渡所得の100万円特別控除の廃止

 (4)個人の土地・建物等の譲渡損失は他の所得との損益通算及び繰越控除不可

    −(1)〜(4)は2004年以降適用−

 (5)特定の事業用資産の買換え特例を2006年まで3年間延長

 (6)法人の土地譲渡益に対する追加課税制度の適用停止措置を2008年まで5年間延長

 

 3.中小企業税制

 (1)個人の非上場株式の譲渡益に対する税率を20%(現行26%)に引下げ  −2004年以降譲渡より適用−

 (2)特定事業用資産の相続税の課税価額の特例の拡大

自社株の相続税の軽減の上限価額が10億円(現行3億円)に引上げされ、相続税の課税価額の計算上軽減される金額の上限が3千万円から1億円に拡大される。 −2004年1月以降相続等より適用−

 (3)相続財産に係る非上場株式を発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税特例の創設

従来は、個人株主が自社に株式を譲渡した場合の譲渡益は、みなし配当課税として所得税・住民税で最高50%の税率により課税されていたのが、相続により取得した自社株を相続日より3年10ヶ月  以内に自社に譲渡する場合は株式に係る譲渡所得の扱いとなり、一律20%の税率による課税及び相続税の取得費加算の適用  が可能となる。 −2004年4月以降相続及び譲渡より適用−

 (4)青色申告特別控除で正規の簿記に係る控除額を65万円(現行55万円)に引上げ、簡易帳簿に係る

    45万円の控除は廃止             −2005年以降適用−

 

 4.その他

 (1)法人の欠損金の繰越控除の期間延長

    繰越期間を7年間に延長     −2001年4月以降開始事業年度より生じた欠損金について適用−

 (2)老年者控除 (65歳以上で所得1,000万円以下の場合の控除額 所得税50万円、住民税48万円) の廃止

 (3)公的年金控除の65歳以上の上乗せ部分を廃止し、最低控除額を120万円(現行140万円)とする。

      (2)〜(3)は2005年以降適用−

 

大阪市天王寺区堂ヶ芝1 丁目11番16号桃陽ビル202号 西野会計事務所

TEL 06−6774−8282 -mail wataru-n@mwc.biglobe.ne.jp