消費税総額表示と印紙税

  本年4月からスタートした消費税の総額表示の義務付けに伴い、印紙税に関する通達が改正されています。総額表示はあらかじめ消費者に対して価格を提示する値札や広告などに対しての義務付けであるので、取引の結果作成される領収書や契約書までをも税込み表示を義務付けるものではありません。しかし、それらも連動して税込みで表示するケースを想定して、従来の取扱いを踏襲しつつ、印紙税の取扱いを明確化するために今回通達が改正されました。

 

1.印紙税法上の「記載金額」とは

   印紙税法上、不動産売買契約書、請負契約書、領収書など(第1.2.17号文書)の課税文書を作成したときは、原則として書類の「記載金額」に応じた収入印紙を貼り付け、消印する方法により納付することとされています。その「記載金額」は、印紙税の免税点や税額算定の基礎となるものですが、@消費税額等の金額が区分されている場合  A税込価格及び税抜価格が記載されていることにより、その取引に当って課されるべき消費税額等が明らかである場合、には消費税額等は「記載金額」に含めないこととされます。

 

2.「記載金額」の具体的な取扱い

(1)請負金額 1,000万円、消費税額等 50万円の請負契約書の作成上、消費税額等を含めずに記載金額1,000万円(印紙税額1万円)として取り扱う事例

                イ、請負金額1,000万円 消費税額等 50万円        計1,050万円

                ロ、請負金額1,050万円  うち消費税額等50万円          

                ハ、請負金額1,050万円  税抜価格1,000万円      消費税額等50万円

                ニ、請負金額1,050万円  税抜価格1,000万円

                ホ、税抜価格1,000万円  消費税額等 50万円       計1,050万円

                ヘ、本体価格1,000万円  消費税額等 50万円       計1,050万円

                ト、1,050万円(税抜価格1,000万円       消費税額等 50万円)

                チ、1,050万円(本体価格1,000万円       消費税額等 50万円)

                リ、1,050万円(税抜価格1,000万円      

                ヌ、1,050万円(本体価格1,000万円      

 

 (2)税抜価格29,800円、消費税額等 1,490円の領収書の作成

                @記載金額29,800円として、印紙税法上非課税文書(3万円未満)となる表示形態

                イ、31,290円(税抜価格29,800円)

                ロ、31,290円(うち消費税額等1,490円)         

                ハ、31,290円(税抜価格29,800円、消費税額等 1,490円)

                A記載金額31,290円として、印紙税法上課税文書(3万円以上)となる表示形態

                イ、31,290円

                ロ、31,290円(税込み)

 

3.消費税の免税事業者が作成する領収書の取扱い

      消費税の免税事業者は、領収書を作成する際、消費税額等の金額を上記2(2)@のように区分して記載したとしても、その金額は消費税法により課されるべき消費税額等の金額ではないこととなりますので、印紙税法上は消費税額等を含めた金額が「記載金額」となります。

 

上記はあくまで現行税制に基づいての記載であり、いずれも税務上の詳細な適用要件及び注意事項があります。実施に当っては専門家にご相談の上、ご自身の責任で実行されるようご留意願います。

 

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