TVショー 「ロッキー・マウンテン・クリスマス」


「ロッキー・マウンテン・クリスマス」は、数あるジョンのクリスマス・アルバムの中でも私がお薦めしたい珠玉の一枚です。そのアルバムをフィーチャーしてつくられた米テレビ番組がこれ。残念ながら日本では未放映だと思います。伝説的な「蝶呼び寄せ」の冒頭シーンから随所にみられる見事なカメラワーク、少なくとも半年はかけたと思われる撮影期間に豪華ゲストの登場と、まさに見どころ満載のTVスペシャルです。美しいロッキーの山々や登場する愛くるしい動物たちの姿を見ていると、私のような山好きならずとも、自然を愛したジョンの心の一端にふれることができるのではないかと思います。

 
オープニングはジョンの弾き語りで「アスペングロー」。雪山をバックに、しとやかなジョンの歌声が響きます。

歌い終わると特設ステージの紹介です。実は、この野外ステージ、コロラド・ロッキー山脈中腹の雪の中に透明なドームを設置してつくられたものなのです。

「どう? このセット。外は見渡す限りの雪、そして中は木や花や植物がいっぱい。ちょうちょだって飛んでるんだ」とジョン。ひらひらと近寄ってきた一匹の蝶に、「やあ、よく来たね。こっちだよ」と声をかけると‥‥
なんと蝶が吸い寄せられるようにジョンの手にとまったではありませんか! これこそ、伝説の「蝶呼び寄せの術」。

あの蝶はニセ物だとか、手に蜜を塗っていたのだとか、いろんな噂も飛んでいたようですが、蝶の方が、ジョンの発するオーラに思わず吸い寄せられてしまった、というのが真相のようです。(んなわけない!?)

タイトルクレジットが映し出されフェードアウトすると、場面は一転して雪山の頂に。そこへ、スキーをはいたジョンがフレームイン。

「どうだい、きれいだろ。まるで天国さ。きのう降ったばかりの新雪の上をこれからすべるんだ。わあぉ〜!! ついてきなよ」といって、すべり始めるジョン。その後を追いかけるカメラ。まるでジョンといっしょにスキーをしている気分になってしまいます。

さらに、超高速カメラを使ったスローモーション。う〜ん、これだけでも撮影たいへんだったろうな、と思ってしまいます。バックには、「鷲と鷹」が流れてきます。それにしても、見事なまでのジョンのスキー・テックニック。いまだにボーゲンしかできない私には、うらやましい限りです。大ジャンプだって、ほら、この通り(結末はこちら)
さて、ステージにもどって最初のゲスト、女優のヴァレリー・ハーパーの登場です。ジョンとのデュエットで「四季の組曲」の中から「冬」。指をならしながら、なかなかのハモリ具合です。

この女優さん、私はあまりよく知らないのですが、テレビドラマを中心に活躍されている方のようです。ニール・サイモン脚本の映画「第2章」、刑事コロンボ「アリバイのダイヤルなどに出演しています。

親友ジョー・ヘンリーとともに馬にまたがるジョン。雪の上でクリスマスを過ごすカウボーイの気持ちを歌います。曲は、もちろん「カウボーイのクリスマス」。
♪高い鞍にまたがり、クリスマスを過ごす
 雪に覆われた平野で、牛を追いかけるんだ
 たくさんのプレゼントが贈られる日
 僕らには大空と広大な山脈が一番の贈り物さ

あれ、画面では追いかけているのは牛じゃなくて馬だね。辞書で調べたら、"cattle"には、「馬」という意味もあるようですね(《俗》マーク入りですけど)。

お次は、雪山の小学校を訪ねるジョン。今日は、ベニヤ板と釘、トンカチを使って、子どもたちに何かをつくってあげるようです。この丸メガネをかけたヘンテコなおじさん(お兄さん?)が、かのジョン・デンバーと知ってか知らずか、後ろからちょっかいを出してくるいたずらっ子もいるようで、なんとなくやりにくそうなジョン。
「それ、できたぞ。僕らはスノー・スクーターって呼んで、よくこれで遊んだんだ」。

ジョンからもらった特製の雪ゾリで楽しく遊ぶ子どもたち。童心にかえったジョンの笑顔が印象的です。

ふたたびステージに戻って、2人目のゲスト、スティーブ・マーティンの登場(若い!)。日本でもコメディ俳優として有名ですが、なんとバンジョーを巧みに弾きこなしながらジョンとのかけあいです。

ところが、スティーブと顔を見合わせたとたん、ジョンが吹き出してしまいます。

「僕の古くからの友人のスティーブを紹介するよ。もうみんな気づいてると思うけど、こいつはとっても変テコでクレイジーは奴なんだ。ハッハッハ」

「おいおい、ひどいな。変テコでクレイジーって、そりゃどういうことだい」と真面目な顔で問い返すスティーブの鼻に蝶が一匹。そう、冒頭の「蝶呼び寄せ」のパロディなんですよね。スティーブはこのあと、バンジョーの弾き語りで「おばあちゃんに教わった」というクリスマス・ソングを一曲披露。

場面変わって、かわいいクマちゃんとたわむれるジョン。無邪気にじゃれあっているようですが、「ガブリッ」なんてやられないかとひやひやします。でも心配ご無用、一才半のかわいい子グマ(メスなんですよ)のために、ジョンが一曲、コミカルな「グリズリー・ベア・ソング」です。
ドーム・ステージに戻り、ピアノと弦楽器の伴奏で歌う「コヴェントリー・キャロル」。あたりはすっかり暗くなり、夜のとばりがおりています。厳粛な雰囲気が漂う一曲です。
とにかく、この番組には自然と生きものが盛りだくさんに出てきます。雪の降りつもるロッキーですが、ジョンが指さす先を見てみましょう。

「こんな雪と氷に覆われた中でも、水の中ではいろんな生きものが生活してるんだ。ほら、川マスの姿が見えるだろう」。

カメラがそのまま水の中に潜ると、確かにいました。川マスの大群が。詳しく紹介できないのが残念ですが、冷たい水のなかで産卵し、稚魚がりっぱな親マスになるまでを映像で紹介しています。この撮影も、本当に日数をかけていますよ。すごいですね。
さて、お待ちかねのゲストの登場です。そう、オリヴィア・ニュートン・ジョンです。曲はもうこれ以外にはないですね。「フライ・アウェイ」。ジョンとオリヴィアがツーショットでハモる貴重なシーンです。

で、こちらはサービス・ショット

ゆるやかなテンポの「ジングル・ベル」にのって、雪原を犬ゾリで走るジョンが映し出されます。ところで、一緒に乗っている女性は誰?(ゲストの方か、はたまたアニーさんのようにも見えますが)
楽しいステージもそろそろフィナーレが近づいてきました。3人のゲストとともにジョンが歌います。これまた選曲バッチリの「友への誓い」。
ジョンが、「僕は、友だちや家族で集まってクリスマス・ソングを歌うのが大好きなんだ。さあ、スティーブ、ひとつブルーグラス風にやってみようじゃないか」とよびかけ、ギター、バンジョーの伴奏で軽快に歌い出します。「ジングル・ベル」そして「赤鼻のトナカイ」とメドレーが続き、会場のお客さんも全員が声をそろえます。

このあと、ジョンが弾き語りで「きよしこの夜」を奏でます。

最後に、誰もいなくなったステージにジョンが一人。「この曲は、ジョー・ヘンリーといっしょに書いたんだ」と紹介して、「ベイビー・ジャスト・ライク・ユー」を歌います。

「みなさん、よいクリスマスを」――名残り惜しい番組のラストです。しかし、う〜んとうなってしまうほどよくできた番組ですね。みなさんも、ぜひよいクリスマスをお迎えください。
 

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