世界のワンマンショー 「An Evening With John Denver」
日本では第2話でも紹介したNHK「世界のワンマンショー」として放映された作品で、1975年のエミー賞(アメリカですぐれたテレビ番組におくられる賞)を受賞したバラエティ番組。ゲストにダニー・ケイ、「カリプソ号」の船長であるジャック・クストーを迎え、ジョンの歌とパフォーマンスが存分に楽しめる作品となっています。なお、番組のタイトルは"An Evening With John Denver"となっていますが、L.A.のユニヴァーサル・アンフィシアターでのライブを録音した同名アルバムとは何の関係もありません。 |
番組の冒頭シーン。ジョンが小型機に乗り込み、アスペン管制塔ににむかって、「これからロスでテレビ出演だ」と伝えます。助手席にはなぜか子犬が同乗。バックには「わが故郷アスペン」のインストが流れています。 | ||
空を飛ぶ飛行機の実写がアニメに変わり、出演者のクレジット、タイトル画面が映しだされます。番組の途中、場面の切り換わりにいろんな格好をしたジョンのイラストが登場します。似てないんだけれど、とっても愛嬌のあるイラストですので、まとめて紹介しておくことにしましょう。 | ||
スタジオでは満員のファンがジョンの登場を待ちます。万雷の拍手に迎えられ入場してきたジョン。舞台中央で12弦ギターを手にとり、四季の組曲の中から「春」を演奏します。
歌い終わると、にこやかに一言。「今日はダニー・ケイも来てくれるし、クストー船長と撮った映画もあります。どうぞお楽しみに」。 |
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続いてもう1曲、「バック・ホーム・アゲイン」をしっとりと歌いあげるジョン。サビになると、ぐるりととり囲んだ数百人にもなろうかというファンたちが声をあわせて合唱、この歌がもつ独特の情感が会場にただよいます。 | ||
いよいよゲスト・コーナーです。タキシードでビシッと決めたジョンが登場、これから会場によぶダニー・ケイの紹介をおこないます。「今日は彼がゲストだから、どうしてもタキシードを着たかった。世界有数の芸人でパイロット、名指揮者で料理の名人。何にもまして暖かい人柄。共演できるのが光栄です」。
最大級の賛辞をうけ、ダニー・ケイが姿をあらわします。 |
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「いっしょに歌を」とうながされ、ジョンの隣に腰をおろすダニー。「ユニセフの仕事で世界中を回ってるが、いたるところで君の歌を聞くよ。西インド諸島に行った時は、あの歌を歌っていたな」と、「悲しみのジェットプレーン」を口ずさみはじめます。
ジョンがいっしょに歌いはじめると、チェックが入ります。「ちがうちがう、『バッグ』じゃなくて『バーグ』って発音するんだ」。どうやら西インド諸島では、訛りが激しいようです。「ジェットプレーン」も「イェットプレーン」になっちゃうし。 |
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さて、お次はイギリス風の「太陽を背にうけて」。このスローバラードも、行進曲になってしまうのがブリティッシュ。しかも相当訛ってますね。そうそう、映画「マイ・フェア・レディ」でオードリー・ヘップバーン演じるイライザが正しい英語に矯正される前にしゃべっていた、あのロンドンの田舎訛りですよ。
2拍子の弾むようなテンポの演奏に、ついに2人は踊りだしてしまいます。見事に息のあったステップを踏むジョンとダニー。 |
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おやおや、そうこうしているうちに、ダニーがズボンの裾をまくりあげ、コワモテで命令します。「ジョン、ギターヲヒケ」。こんどはドイツ風の「サンシャイン」です。本当のドイツ語ではないようですが、「ダッチェンドルフ」なんて単語も聞こえてきて、会場は爆笑の渦です。 | ||
「あの歌もいいね。『町の通り』(City Streets)」「ダニー、そりゃ、『Country
Roads』じゃないのかい」と、とぼけたやりとりのあと、ジョンが「カントリー・ロード」を弾き始めます。するとダニーは、「ちょっとまって。ロシア風にやってみよう」。
苦虫をかみつぶしたような顔で「カントリー・ロード」を歌いはじめるダニー。ロシア民謡のリズムはだんだん早くなり、最後には舞台狭しとコサック踊りに興じる2人。見事なエンターテイナーぶりを見せてくれました。 |
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場面変わって、ジョンのギターで「マシュー」。この歌にはプロモーション・ビデオ風の映像がついているんですよね。ライブの時は大きなスクリーンが下りてきて、歌にあわせて映しだされます。私は83年NHKホールでのコンサートではじめてこの曲を聴き、この映像とともに「なんてカッコイイ曲なんだ」と、感激したおぼえがあります。
今回は、この映像をスライド・ショーにしてお見せします。歌を聴きながら、じっくり味わってみてください。 |
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続いてのゲストはジャック・クストー。「カリプソ号」の船長です。ジョンがクストー博士とともにカリブ海を探検した時のフィルムが画面に映しだされます。 | ||
ジョン自身のナレーションで解説します。「行き先は調査中のグロバー・リーフ。クストーは64歳、ユーモアあふれる男性です」。
いよいよ潜水服を着て水中に潜ろうというジョン。「僕は潜水はシロウトなので、一同少々心配げです。あこがれのクストーと2人で沈黙の世界へ」。 |
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いったん海の中に入ると、そこはまるで別世界。バスケット・スポンジや70センチもある美しいエンゼル・フィッシュを見つけて、「すごい!」(Far Out!)といったら、口に水が入ってしまいました。 | ||
最後の晩は、カリプソ号でコンサート。クストーやクルーがとり囲む中、「わが故郷アスペン」「カントリー・ロード」を歌うジョン。
「心の通い合う数日でした。僕は歌で自分の生き方を伝えたかった。博士も僕もよく人にきかれます。海洋汚染などに対してどうすればよいのかと。クストー氏を支援してください。その前向きの努力が環境を改善し、地球を救います。クストー博士に感謝を」 |
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スタジオに戻り、ふたたびダニーとの競演で「おばあちゃんの羽根ぶとん」を歌います。バンジョーにフィドル、ベースなど、バックバンドも2人の歌と踊りを盛り上げます。 | ||
これでダニーともお別れ。「今日はありがとう。おかげで楽しかった」とジョンがいえば、ダニーも、「私もだ。来てよかったよ。実に楽しかった」と肩を抱き合います。大きな拍手に送られてダニーが退場します。 | ||
最後にジョンの弾き語りで、「ライムズ・アンド・リーズンズ」。
イントロの映像、これこれ、これですよ。左手の指運をなめるように追うカメラ。ギター・ファンなら思わず身をのりだしてしまうシーンですね。12弦ならではの響きがたまりません。 |
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大きな歓声と拍手に包まれて幕を閉じます。
いや、なるほど。ダニー・ケイの玄人芸にジャック・クストーとのドキュメンタリー・フィルム、ジョンの歌とパフォーマンスも全開という、まさにエミー賞受賞にふさわしい作品ですね。こんな楽しいライブを、観客席に座って見られたら最高だろうナァ。 |