たまには、ちょっとアカデミックな話題でも

些細なストレスの積み重ねが、やがて心と体の変調を来す原因となりうることは、

今では一般市民にもよく知られている。

ある者は心の働きのバランスを失い、抑うつ的になったり、被害妄想を抱いたりもするであろう。

またある者は、胃腸や心臓、脳の血管などの臓器に異常を来し、健康を損なってしまうかもしれない。

 しかしその原因であるストレッサーが何であるのかは、具体的に「これ」と自覚されない場合も少なくない。

あれこれ振り返り考えてみて、「そういえばこんなことが」と思い当たる程度である。 

そんな、意識にものぼらない不快体験の蓄積、あるいは持続。

それが、本人の知らないところで、 ちゃんと「脳」には記録されているのだ。

実はこのことは、案外世間では認識されていないようである。

外界から受ける刺激に対して、細胞体は何らかの反応を示す。

いや、刺激によって変化を生じるというのが正しい言い方かもしれない。 

それが強い刺激であれば、当然反応量も大きく、その変化は大きなうねりとなって

人間の意識にのぼり、 自覚を伴う強烈な反応を引き起こす。

しかし、ごく弱い刺激では、細胞(組織)のレベルでは確かに何らかの反応を起こしているのに、

その変化が人の意識にまではのぼらない。

「ただなんとなく」の不快感。意識化されない、個々の細胞レベルでの、神経のざわめき。

それが軸策とシナプスのネットワークを介して、最終的に視床下部から延髄にいたり、

自律神経を刺激し続ける。

そうして刺激され続けた自律神経は、ある時一斉に暴走するのだろう。

全身の臓器の無秩序な活動…それは意識体としての 『人間』にとって脅威となるのだ。

 …こうして、毎日の「何がどうというわけではナイんだけど、なんとなくすっきりしないんだよねー」

という 不満の積み重ねが、胃に穴をあけたり、血圧を上げたり、

鬱状態を招いて自傷行為に走らせたりするワケですね。 

みなさん、気をつけましょう。(でも、どうやって?)

 

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