ニャン太郎 ねこの2002年登頂記

(Update:2002/08/14)

● レーダードームが無くなった測候所確認のための登頂。
・前日まで。
 突如忙しくなってしまった仕事に翻弄され、肉体的にも精神的にも疲労困憊気味の状態。
 それに輪をかけるかの如く2個の台風が日本列島の南に出現し、コンディションは最悪。
 次週に延期する事を考えたが、仕事の折り合いがつかず、7/28の夜に決行する事を決意。
 初の「雨天登山」も視野に入れつつ、天気図を眺めながら祈る日々。
 仕事ごときで自分の計画がつぶされる事を嫌い、半ば”意地”での強行登頂を目指す。
 本来、この様な形での決行は本意ではないのだが・・・。あまり気乗りがしない登頂となる。
・現地へ。
 やっぱり曇天模様。12:30出発。目立った渋滞も無く1.5時間で河口湖ICに到着。
 真っ白なガスに覆われた富士山はその姿を見せることなく、スバルラインでは
 対向車も見えないほど真っ白け。ところが4合目付近を越えるとガスが晴れ、
 山頂が顔を覗かせている。どうやら4合目付近に雲がかかっているらしい。
 「という事は、雲の上に出たのかな?」かすかな望みが出てきた。
 青空も見え、下界からは考えられないくらいの好天にほっと胸をなでおろす。
 14:30、5合目到着。早く着きすぎたため、若干の駐車場待ち渋滞にはまったが、
 無事に第1駐車場に駐車。昨年とほぼ同じような経緯を辿っている。
・5合目。
 昨年と同様に、神社で登頂の安全を祈願。暑中見舞い用のハガキを購入した。
 10枚購入したのに11枚ある。早速ご利益が・・・こんな事で無駄に運を使わなくても
 いいのだけれど。(-_-;) 5合目に居る観光客のほとんどは観光目的の人ばかり。
 いつものように車の中で彼等が過ぎ去るのを待つ。疲れていたせいか、若干仮眠。
 登頂前にリラックスできるほど「余裕」が出てきた証拠かな?(^^ゞ
・登頂開始。(2,305m〜2,390m)
 身支度を整え、いつものように5合目の広場に上がる。準備体操を始めながら回りを見渡すと
 去年よりも遥かに人が少ない。やっぱり「山沿いでは夕方から夜にかけて雷雨」という
 天気予報が当たっているんじゃないかと不安になる。元々「雨」は覚悟しているとは言え、
 「雷」とくれば”死”に関わる。仕事の忙しさに自暴自棄になってはいるが、死を覚悟するほど
 富士登頂に使命があるわけでもない。もう一度山頂を眺めてみる。山頂は視認出来る。
 「とにかく無事に」「帰りも元気で」を目標に第1歩を踏み出す。18:05。
 去年と同様、眼下に広がるのは真っ白なガスばかり。時折そのガスが登山道にまで押し寄せ、
 霧吹きをかけられた様に身体を湿らせていく。ガスに包まれると、10m程先が全く見えない。
 体力を温存するため、例年よりもさらに遅いペースで歩いたにも関わらず、6合目には
 予定通り約1時間で到着。山小屋の”穴小屋”はなぜか閉まっていた。
・登頂前半。(2,390m〜3,000m)
 6合目−7合目間はちょっと間が開いており、単調な上り坂が続く。
 この辺まで来ると、ガスの影響も無く、心配された天気はと言うと満天の星空が顔を
 覗かせるほど、風も無く穏やか。ちょっと”拍子抜け”したが、良い方に傾く分は一向に
 問題ない。道中、登山客の姿もほとんど見えず、たった一人で富士山を征服しているような
 なんとも言えない気分になる。下界ではほとんど見えない星空を眺め、北斗七星やカシオペア座、
 北極星や夏の大三角形などを夢中で探す。気が付くと頬に涙が・・・。
 天気が良かった事への安心感、満天の星空への感動、喧騒からの開放感。なんか色んな要因が
 絡み合って、しばらく泣く。”心の洗濯”。これが富士登山の一番の目的かもしれない。
 さて、7合目の花小屋にたどり着くとわりと岩場が続き登りやすくなる。
 チンタラ登っているはずなのに、昨年の到着時刻と比較して10〜20分ほど早い。
 原因は登山客が少ない事。やはり、天候を気にして自重した人が多いのだろう。
 適当に休憩を取りながら東洋館へと向かう。
・東洋館。(3,000m)
 昨年は22:00に到着したが、今年は25分も早く到着した東洋館。去年もここで30分ほど
 長居をしたのだが、今年もそうする事にしていた。なんとなくおじさんたちの雰囲気が
 良い。去年もねこの杖を眺めて”ベテラン”と誉めてくれたおじさん達。去年の事を
 覚えていてくれたようで、「また来たのか?」と声をかけられた。正直、嬉しい。
 「今日は客が少ない」とか「昨日はここから7時間(通常なら3時間)かかった」とか
 話していると、初めての登山とおぼしき中年男性が2人、話に入ってきた。
 「そこの”ベテラン”のお兄ちゃんに話を聞いてみな?ここから上へ行くと寒いし混んでいる
 から、ゆっくり休めないよ。」とおじさん。・・・!ピンと来たので、「無理して登らずに
 ゆっくり休んで明け方から山頂を目指した方が寒く無くて良いですよ。」と親切に
 教えてあげると男性客は東洋館でご休憩。立派に”サクラ”を勤めあげました。(≧∇≦)
・登頂後半。(3,000m〜3,700m)
 22:15。東洋館を後にする。去年より15分ほど早い。200mほど上がった”白雲荘”に
 ついた頃に日付が変わった。この時点で去年より45分早い。登山の速度は絶対に
 去年より遅くしているはずで、体力的にも全く問題ないのにこれほどの速さとは、
 如何に去年の登山客が多かった(今年が少ないのか?)かがわかる。
 この辺りから、宿で休んでいたツアー客が再び行動を開始する。赤く点滅するランプを
 持った列がチラホラと姿を現してきた。去年はその列に飲み込まれるのを嫌い、
 若干ペースアップして登ったのだが、今年はあくまでもマイペース。
 必死に山頂を目指す彼らを横目に「下りも辛いのよ〜」と体力を温存しながら登る。
 1:00。富士山ホテルに到着。お気に入りの展望台で長休憩。去年より暖かい。
 時間調整をして、去年より15分ほど早く出発するも、山頂渋滞の影響もあまりなく
 3:20に山頂到着。去年より約30分弱早い。真っ白なガスに覆われた山頂は風が
 若干あるが例年ほどの寒さは無い。ブルドーザーの陰でお湯を沸かし、カップラーメンを
 頬張る。頂上で食べるこのラーメンは本当に美味しい。暖を取ったところで、
 人気を避けて大日岳に足を運ぶ。
・ご来光。
 相変わらず、火口からガスが吹き抜けている。岩陰に隠れて日の出の時刻を待つが
 一向にガスがやむ気配は無い。辺りは明るくなるが結局日の出時刻を過ぎてもご来光は
 拝めず、6度目にして初めての残念な結果となった。まぁ、雨が降らなかっただけでも
 良しとするかと気持ちを切り替え、ビデオカメラを片手にお鉢巡りに出発する。6:00。
・お鉢巡り。
 お鉢巡りに歩き出したものの、視界は数mという悪さ。白いガスの中から突然人が現れるような
 悪天候に、持って来たカメラもあまり意味をなさない。
 訓練なのだろうか、途中で自衛隊の列に合流。後を追うように奥宮に到着。
 山頂郵便局でハガキを出し、奥宮でお守りを購入。妹の”安産祈願”のお守りを買ってくるのが
 もう一つの目的だったので、無事にその任務を達成。他の目的はと言うと・・・。
 「山頂で登頂記念のバッチを買う」「”暑中見舞い”を出す」だったので、一応目的は全て
 果たした事になる。なんとも手間のかかる「お使い」だこと。(-_-;)
 ”バイオトイレ”の前で”客引き”にあった。有料トイレというのは日本ではあまり
 馴染みの無い習慣だから、折角作ったものの利用者が少ないのだろうか?
 利用はしなかったが一応寄付金を入れる。トイレなんかよりもごみ拾いや登山客の
 マナー向上に精を尽くしてもらいたい。
・剣が峰。
 ガスで視界の悪い剣が峰までは、まるで天国へ続く一筋の道のようになっていた。
 両側が切り立った崖になっているので、踏み外そうものなら一巻の終わり。
 しかし、慣れた調子でこの急坂を登り切り、レーダードームの取り外された測候所と
 ご対面。予想はしていたことだが、やっぱりなんか物足りない姿に変わり果てていた。
 ここでも自衛隊の方々に遭遇。女性隊員が1人いた。一応チェックするオヤヂ。(^^ゞ
 「これから下山するが、気分が悪くなったものは・・・」「こんなところで気分が悪くなっても
 下に下りるしかねえよ!」上官と班長らしき人のこんなやり取りに、山頂にいたお客全員が
 大爆笑。「頑張って下山しましょう。」と言った班長らしき人のバツの悪そうな笑顔が
 ちょっと引きつっていてとても印象的でした。(≧∇≦)
・下山。
 お鉢巡りの後半、ガスに包まれながら歩いているうちに現在位置を見失って、
 「道を間違ったかな?」なんて不安な気分を味わいながらも何とか山小屋へ。
 慣れていたつもりでもこんな事があるので、やっぱり油断は禁物。(-_-;)
 7:30、下山開始。今回の目標の「帰りも元気で」を遂行するべく、多くの休憩を取る。
 意外と気が付かないものだが、膝にかかる負担は相当大きいようで、休憩のたびに
 ”熱をもった膝を冷やし薬を塗る”を繰り返しながらゆっくりと下山。
 途中、隣りで休んでいたおじさんの荷物が1つ下の下山道まで転げ落ちるハプニングを
 目撃。下に人がいなかったから良かったようなものの、あんな形のものでも本当に
 見事なくらい転げ落ちます。ちょっと感動さえ覚えました。声も出ず、ただただ転げ落ちる
 荷物に見入ってしまいました。とにかく絶対に石など落とさないように。
 適度な休憩の甲斐があってか、6合目に合流しても全く膝が痛くなるようなことは無く、
 5合目のお土産屋群が見える頃には走り出せるくらいのコンディション。
 結局、登り9時間20分、下り4時間。休憩を含めた時間だけどこの位が無理なく
 行ける時間でしょうか。まぁ、あくまでも「0泊強行」の場合の目安であって、
 体力的に自信の無い方は山小屋での休憩を挟む「1泊コース」をお奨めします。
・総評。
 とにかく、覚悟していた”雨”が降らなかったのがなにより。「スーパー晴れ男」の
 面目は無事に保たれました。(≧∇≦)
 今回は”強行”する事になったけど、やっぱりコンディションのいい時に登るのが
 一番いいですよね。日時を先に決めてしまうと天候を選べないから、余裕があれば
 「何日〜何日の間の1日」と言う計画で動けるとBESTなんですが・・・。
 土曜日の登山は止めた方がいいと言うのは東洋館のおじさんも言ってました。
 混むのを覚悟して土曜に登るなら、山頂でのご来光は諦めた方が良さそうですよ。

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