「私は此処に願って生まれて来た。」
このように観ずるかたはよくおられます。

これは、「来世もまた、此処に生まれたい。」という強い願いと同じものでしょう。

「来世もまた此処に生まれたい。」という強い願いを自覚する。
すると
「では、私が此処に生まれたのは、前世私が此処に生まれたい。
と、願ったからだろう。」
と、気付く。

こういう流れではないかと思います。

と、私が思うのは、私は、自分が激しく悲しい時にこう思うからです。

「ああ、いつか、どこかに、今の私と同じ激しい悲しみを悲しんだひとがいる。それは私だ。」
と。

私は、「来世も此処に生まれたい。」と強く願ったことがないので、
「私は願って此処に生まれたのだ。」という観を得ることができません。
代りに、あらゆる時代、場所で私と似た悲しみを悲しむ全ての私の悲しみが仏の智慧をいただいて善いものとなっていくように、と願う。

「私は願って此処に生まれて来た」とは実感したことがないけれど、法華経に出逢えたことは、ほんとうに良かったと思っています。
全ての私が悲しんだから、私もまた悲しむのだ。
と、実感するとき、どこに生じても法華経には出逢いたいものだ、と思う。
なので、私がいつかどこかで「どうにかして法華経に出逢いたい」と願ったから、法華経に出逢ったのか、
と思うこともある。