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タイトル大乗戒
記事No2314
投稿日: 2013/12/07(Sat) 12:40:19
投稿者桃青
日本仏教は戒律が甘いといわれるようになったのは、最澄が叡山に戒壇を開く際、大乗戒(菩薩戒)を積極的に取り入れたからだという説があるようだ。

大乗戒(菩薩戒)

円頓戒
最澄師が提唱した大乗戒を天台宗では円頓戒と呼んでいますが、
具体的な内容は、三帰戒に三聚浄戒(『瑜伽師地論』)十重禁戒、四十八軽戒(『梵網経』)から採ったものです。

具足戒好きのかたがたからは、大乗戒は「甘い!」「努力目標が曖昧で混乱する。」「罰則規定のない戒律は、遵守されないので無いと同じ。」と、大変評判が悪い。

しかし、大乗戒、といわれるものを、よくよく眺めてみれば、
甘い、どころか大変厳しいものです。
努力目標が曖昧てね、仏教の目標はただひとつです。
すなわち成仏。
罰則規定がない戒律は守られない、って、ね。
罰則が恐くて戒律を守っているうちは、成仏とは程遠いところにいるんじゃない?

例を挙げましょう。
「配偶者を愛しなさい。」という教えのある教会。具体的な方法として、毎日一度は配偶者に「愛しているよ。」という言葉と共にキスなんかすると良いですよ。
と指導する。
ある男性、真面目にこれを聞き、毎日「愛しているよ。」とキスをして、その日したかしないか忘れるといけないので、手帳に印をつける。
(冗談でなく、世の中には、これを実践しているかたもおられるのです!)

具足戒というものは、この真面目な男性の守る「毎日、一回は配偶者に愛していると言ってキスしましょう。」
みたいなものなんですね。
どこから「毎日、一回は配偶者に愛している。と言ってキスしましょう。」という毎日の行動の決めごとが出てくるかといえば、その元は何なのだ。ということね。
というの「その元」の重要性にポイントを当てたのが、大乗戒だということになります。

大乗戒、本気で行おうと思ったら、とてもじゃないけど、大変ですよ。
「毎日、1回、愛していると言って、キスしてたじゃないか!
 ほら!手帳にもこうしてつけてある!何年も!」
これを笑ったかたなら、大乗戒の有り難さも、大変さも、素晴らしさも、解っていただけると思いますが・・・。

タイトルRe: 大乗戒
記事No2315
投稿日: 2013/12/08(Sun) 14:39:37
投稿者桃青
『梵網経』にみる大乗戒の理念。
  (*梵網経自体は、中国で作られた偽経のようです。)

「大衆、心にあきらかに信ぜよ。汝は当にこれから成仏する仏、われは既に成仏した仏なりと。常にかくの如きの信をなせば戒品すでに具足す。

一切、心あらん者は皆まさに仏戒を摂(しょう)すべし。衆生、仏戒を受くれば即ち諸仏の位に入る。位、大覚に同じうしおわる。まことに是れ諸仏のみ子なり」

具足戒が好きなかたは、『梵網経』が偽経であること、と、↑これを本覚思想で読んで、よって大乗戒には戒としての意味がないとまで言われます。
『梵網経』には中国の老荘思想の影響がありますので、老荘思想と本覚思想は確かに親戚兄弟のように近しいので、『梵網経』に本覚思想を読みとってしまうこともあるかもしれませんが・・・。

生き方として心掛けを説いた大乗戒には、偽経だから、老荘思想だから、価値がないと捨ててしまうには、惜しいところが多々あります。

最澄師、道元師という巨人が老荘思想を超えたところにある成仏観をもって共感した大乗戒です。

タイトルRe^2: 大乗戒
記事No2316
投稿日: 2013/12/12(Thu) 09:12:31
投稿者しんのすけ
> 『梵網経』にみる大乗戒の理念。
> (*梵網経自体は、中国で作られた偽経のようです。)

盂蘭盆経や十王讃嘆経とかみんな偽経ですね。
でも、ほとんどの経典はお釈迦様直筆ではありませんから偽経でしょ(笑)
大切なのは本門の意にそって解釈する事ですよね。
ご遺文も真筆でないと意味が無いと言われる方がいますが、
後世に手が入ったとしても三大部の意を汲み取って書かれた良いご文は大切にされれば良いと思います。
梵網経も父母恩重経とかもやさしくて好きです。とくに最後の方の
どんなに勉強ができて出世しても仏の教えを学ばなければ道を踏み外すからダメだとか(意訳)のところが好きです。
そやっぱり!とかいって自分を慰めてます、それもまたダメだね(笑)